VRMMOというジャンルの話

 およそ一週間ぐらい前に投稿されたエッセイ
VRMMOで無双するのはあり得ないと思う
 及び同作者による短編
VRMMOで無双したら恐らくこうなる
 を受けて同意とも反論とも言い難いが1人のジャンル読者としてのお気持ちを綴ろうかと思う。
 先に記述して置くが、これらの作品で述べられている意見に対し対策や工夫、そうならない様に読者に納得を与えられるよう苦心されている素晴らしい作品もそれなりに存在しているので全てのVRMMOというジャンル作品に対して共通の問題があるというのは勘違いしていると強く主張したい。
 また残念ながらこの記事中で取り上げる要素を持つ作品について一つ一つ作品名を挙げて紹介するという事は殆ど無いと思われる、どう考えてもとある作品を指してしまう事があるかもしれないがご容赦願いたい。

 え!?この記事投稿する直前に消されてるんだが!?俺の1人遊びになっちゃうんですけお!

興味の無い人はおススメのTRPG動画を貼っておくのでご視聴をどうぞ。

楽しむことをあきらめないクトゥルフ『ネームレス・カルト』 #01

楽しむことをあきらめないクトゥルフよりネームレスカルトです。
同タイトルシリーズは全て良いのですが個人的にはやはりネームレスカルトこそこのシリーズの顔かな、と思っています。
こないだなんとなく見返してしまったんですけど何年前ですっけ?6年ぐらい前?

無双するVRMMOはどこに向けられた作品なのか?

 まず大前提として個人的には昨今デイリーランキング等で上位を占めている無双系のVRMMO作品って従来のVRMMO作品とは狙っている客層が違うと思っている。
 はっきりと言えば無双系VRMMO物はファンタジーだ、現実的かどうかとかVRだとかMMOだとか関係なく、VRジャンルに不法投棄されたハイファンタジーもしくはローファンタジー作品だと思っている。
 不法投棄と言うのはちょっと強く否定しすぎかな?まぁ筆の勢いという事でご勘弁願いたい。

 そもそも作品の冒頭部分やキャラクターの成長面というシステムが非常に似通っているし、なんなら異世界転生物はよく”ゲームみたい”だなんて表現をするし、逆にVRMMOは”異世界へやって来たみたい”だなんて言う。

 もちろんそれは共通類似するだけであって、作品単体で言えばそりゃステータスなんてゲームみたいなシステムが出たらまるでゲームの様だと言うしかないし、現実世界とは違うファンタジー世界を旅するゲームだったらそりゃログインしたら広がるのは異世界ファンタジーの光景なのだから真っ当な表現である、何一つ否定する事ではないが、ここでは物として似たような現象がそれぞれのジャンルで起きているという事だけ考えて欲しい。

 キャラクタークリエイトは神様からチートを貰う場面で、異常なリアルスペックは勘違い系なのである。
 主人公だけが手に入れる事が出来たユニークなんてゲーム上の存在ではなく異世界ファンタジーの能力でしかないのだ。


”ファンタジー”と”ゲーム”の違い

 さて、そんなわけで構成要素が似ている、という話をしたわけだが。ではファンタジーではないゲーム要素とは何かという話。
 逆に言えばファンタジージャンルではなくVRMMOもしくはゲームをプレイするジャンルを読むとき求める物の話。
 もちろんこれは私個人の趣味趣向である事を前提とします。読者全員が求めてるわけはないと思うし、そこまで広い想像力を所持している自信はないので。主語を小さくしていこう。

 まず私が重視するのは、再現性の有無です。
 同じ手順を踏めば同じ結果が得られる。
 もちろん完全な同一性までは求めませんが、ゲームとは一種のシミュレーターなので同じデータを打ち込んだら同じ結果が出るべき存在です。
 当然すべて同じ結果が出てしまう事が完全なる正義とも言えないので多少の乱数(ランダム)要素があるのは構わないでしょう。
 真向から対立する要素としては、唯一という意味のユニーク要素。
 リアルラックによる乱数の極端な振れ幅。
あたりでしょうか、特に乱数の極端な振れ幅に関してはゲームそのものの設定がおかしい、100のダメージを与えるという所に対して乱数によってその幅が±10000ぐらいあるようなのはもはやただのバグでしょ、修正して。大抵の場合は±5%ぐらいが許容範囲だと思います。100のダメージが基準だったら最低値95最高値105、このぐらい。
 唯一のという意味で実装されているユニーク要素に関してはただその存在が悪いわけではないと思います。ただそれを取得するだけで永続的に1人が独占出来るのは好みではない。ロストするとか、ロストしたら所有権が浮くとか、PvPによって奪えるとか、その所有権が移ろっていく要素があれば存在しても良いと思っています。今書いてて思ったけどワンピースの悪魔の実じゃん。
 いわゆる装備とかアイテムとか称号とか職業的なモノの話になってしまいましたが、同じ意味でただ1人のプレイヤーしか受けられないクエストというのも正直どうかなと思います。ユニークって言葉だけで唯一って意味じゃない珍しいとか発生条件が特殊みたいな意味のユニークならいいんですけど。
 ただ1人しか受けられず以降誰一人もそのクエストを受けられないのはね、なんだか寂しいじゃないですか、えっちな女が目の前で喋ってるのが見れないとか損失でしょ。
 まぁなんか新しい街を開放するだとか、クリアしたらゲーム全体の文化とか技術レベルが向上するとか、全参加者に恩恵があるクエストなら構わないと思いますけど。えっちな女が目の前で喋るなら私も見たいじゃん。そういう事ですよ。


 次に私が気に掛けるのは、ダメージの計算式です。
 これは最悪の例を出すんですが、攻撃力100で防御力100を殴ったらダメージ0になる計算式。は最高にクソです。小学生が開発したのかな?
 少なくとも、足し算引き算で終わってしまうダメージ計算式は無理です、いや現実にもいくらでもありますよ、攻撃力より防御力が高かったらそれだけでダメージが0になるっていうクソゲー。現実にも存在するんだから創作物にも存在して良いだろ!うるせー!現実からも消え失せろ!!そういうのは小学生のノートで卒業しろ!
 失礼、小学生は別に嫌いではありません。
 しかしながらせめてもう少し考えて頂きたい、何かしらのゲームのwikiでダメージ計算式を見て来ていただきたい。そこにあるのがただの引き算だったら笑うしかないんですけど。
 基本的にゲームのダメージ計算というのは攻撃側が優勢である事が多いです(絶対にそうとは言いませんが)。
 何故なら戦闘という物はHP的なモノを削って0にして終わる物だからです。もちろん経過時間による引き分けもあるかもしれませんが、少なくともも経過時間による引き分けが無いのなら永久に終わらなくなってしまうからです。ただのテレビゲームや、そもそも制限時間がついたクエスト的な位置ならそれも良いでしょうが、MMOの場合例えばフィールドで起こる偶発的な戦闘全てに制限時間をつけるでしょうか?私はつけないと思うし、フィールドに出てスライムでも兎でも良いんですけどエンカウントした途端制限時間のカウントが視界にポーンって表示されたら、
「アホなのでは?」
と呆気に取られてしまうと思います。
 故に基本的に戦闘を終わらせられるようにするために攻勢有利のシステムであり、単純な計算によって最終的なダメージが決定すべきではないと思っています。
 また最低ダメージ保証(最低でもこれだけのダメージは与えられる)というのもありますが、あまり好ましくないと思います、最低でも1ダメージ与えられるんだから5000兆回殴ればなんでも倒せるぜって言い出すからです。
 これには割り算という高度な数学知識が求められるので一筋縄ではいかないと思いますが。是非修得のご一考を願えればと思います。
 面倒臭い?それなら簡単です。ダメージ計算に対して数値の表現をしなければ大丈夫です。下手にステータスの説明の時に攻撃力はいくつで防御力はいくつでどうなるこうなるとか言い出されると個人的には、ははーん、これは小学生計算式の予感がしてきたぜ、と思っています。


 さて、三つ目ですが、カウンター(メタ)要素の有無です。
これは特にPvP、対人戦をシステムとして含むゲームの場合、一強を作り出さないバランス調整の為です。
 PvP無い?じゃあ別に無くてもいいよ、PvP要素も無いのに強すぎたから修正するとかクソ運営でしょ。PvP要素無いなら弱い奴に強化調整入れてくれ。どうせ新規追加のボスには一強要素に対する強力なメタを新規実装すれば良いだけだしな、パズルなドラゴンみたいな。
 簡単に言ってしまえばじゃんけんですし、究極的に言えばじゃんけんこそ対人戦、PVPの完成形です。ローカル役はやめろ、グーチョキパーでやれ、握力で相手の手を強制的にゆがめるな。
 グーはチョキに勝ってパーには勝てない、というほどの絶対性は必要ないですし、極端な優位性があると面白くなくなってしまうので、相性差と言えるぐらいのマイルドなモノで頑張れば覆す事も出来るし、その相性に対する対策をとる事も出来るぐらいの存在でも良いのですが、要素としてはPvPをするならほぼ必須なので考えて頂きたい。
 ただあまりその有利不利の数を増やすとわけわかんない上になんかマスクデータにも有利不利あってわかんないし頭おかしくなるでって程無意味に増やすのは読者の理解を離れてしまうので危険です。

 ちょっと話はズレるんですけど、PvPイベントを描写される作品、多いですよね。闘技大会的な。それそのものは全然構わないんですけど。問題がある作品のコレ系のイベントの特徴があるんですけど。
 それは”一切調整無くそのままのデータでごちゃまぜにして参加させる”っていう物なんですよ。
 Lv100のキャラとLv1のキャラをそのまま対戦させたり。常に半径100mの周囲に即死を与えるパッシブスキル持ちと一辺50mの正方形ステージに鮨詰めにさせたり。
 ちょっと……よくわかんねぇっすね……。
 前者ならばLv帯で別けるのが妥当ですし規定レベルまで強制的に調整したり、後者ならばまぁ難しい所ではありますがスキルの範囲の縮小、スキル自体の制限、即死の成功率減少などある程度は専用の調整が必須だと思いますし、なんだったらスキルを作る時点でモンスターには通用するがプレイヤーには効果が無いと最初から設定すべき存在だと思います。大抵の事はポケモンでもやってない?ポケモンでもやってるよね?
 PvEとPvPでは計算式が変わったり(PvEでは爽快感を、PvPでは競争を、求める物が違うので)そもそも使えなくなったり制限があったりするのは現実でもよくある話。むしろそういった調整が行われている方がマシなゲームだと思いますよ。
 ポケモンをやれ。私は初代しかやってない。


 大体私が個人的に特に重要視、気になってしまう要素はこの三つでしょうか。これらの要件が満たされていれば神ゲーとまでは言えませんが、少なくとも読んでてストレスを感じる事はあまり無く読み続けられる舞台(ゲーム)設定だなと思っています。
 ただ勿論これらを十分に満たし均衡が保てているゲームが舞台だからといって作品そのものが面白いかどうかは別なので、難しいジャンルだなと考えています。


リアルスペック問題

 及び、VRMMOのハードウェアって物凄いハイパーウルトラスーパーチート機器だなって話。

 リアルスペックで無双する作品、結構ありますよね。個人的にリアルスペックつよつよで楽しめた作品は片手の指が余るぐらいしか記憶にないんですけど。作品数としては結構沢山ありますね。
 リアルスペックも所詮個々のプレイヤーの能力でしかないのでプレイヤースキルと呼ばれる物に属してしまっても良いのかもしれませんが、これは度し難いレベルの超リアルスペックを超反映させたもはやチーターがかわいく思えるような、そのぐらい突出した超リアルスペック主人公によるゲームシステムやバランスを無視した無双物に対する苦言だと思ってください。
 それに付随してVRジャンルのハードウェアの仕組みや脳波入力とは現実でどうなってるのかというにわか知識の話を付随させたいと思います。


 さて、ではまず苦言を呈したい程の超リアルスペック物がどんなレベルかという話ですね。
 作品名を挙げる必要もないんですが、特にこれ系に多いのが
 主人公はリアルで武術の達人である
 なんなら現代に残る暗殺者の一族である
 現実世界のどこそこの国の紛争で活躍した傭兵だった
とかです。
 やば……なぜこんな所にあなたのような存在がおられるのか……。
 ゲームに参戦する理由は様々ですが、武術の達人系の場合だとリアルでは試せないからゲーム内で試したい、とかがよくありますね。
 派生して作品によっては、VRゲームでの需要が増えたので現実の道場でVRゲーム向けのコースを開設して繁盛してる。なんて設定のキャラクターが居たりしますが、まぁそれは置いといて。
 これらで問題になるのが、ゲームシステムを些か無視したキャラクター操作技術です。
 これによって、先にLv100とLv1で戦わされるクソ闘技大会で、Lv1側が勝ってしまうという話。
 まぁまぁ、絶対にありえない話ではないと思いますけど、問題になるのは例えば、

 Lv1初期装備ログインしたての主人公(武術の達人)がLv100のならず者に絡まれてPvPを申し込まれた。
 戦闘が始まるとステータス差を無視してあらゆる攻撃を紙一重で避ける主人公。
 隙だらけだったり一瞬の隙を突いたりしてLv100は目に指や武器を突っ込まれて失明。
 続いてLv1の主人公はLv100の腕を斬り飛ばしたりあらぬ方向に向くようにしたりして恐怖を植え付ける。
 とどめは初期装備で首を飛ばしたり首の骨を折ったりして勝利。

みたいな奴です。
 いや、まぁ、システム的に部位破壊によって失明や即死がある事については良いと思いますけど。目つぶしならまぁ許されたとして腕を斬ったり折ったり、首を斬り飛ばしたり折ったり出来るのはゲームシステムの崩壊では?
 もはやこのレベルになるとステータスという概念の存在が疑われます、まぁ元からステータスなんてないゲームですよ、いくら鍛えてもゲームデータ上初期状態の頃から一切キャラクターは成長しません、という設定なら良いかもしれませんが。いやだったらそもそもLv表記やめてくれ。
 ちょっと私は納得しがたい現象を見せつけられてますね……。なのでそもそもタイトルの時点で回避するようになってるんですけど、問題にされるのは大体こういうタイプだと思います。
 ゲームとしてのあらゆる要素を全て筋肉で捻じ曲げる、プレイヤースキルとかいう域を超越した存在の事。
 仮にステータスの概念があるゲームでこれをされた場合、この主人公は攻撃も命中も回避もステータス的には全て無視出来てその分を他に振り分けられる超アドバンテージを得た上その超絶リアルスペックで更なる高みへと至って行くわけですよ、そのまま昇天して帰ってこないでいただきたいのですが。


 という最大の問題児は置いておくとして、リアルスペックはどの程度ゲームに反映されるのでしょうか。難しい匙加減だと思いますし、これを全て否定してしまうのもなんだか違うとも思います。
 本当に難しい、そもそも格闘技や武術やスポーツ経験者はVRゲームに置いて主流と思われる脳波によって操作する環境でそうでない人間よりも明確に有利となるのか。
 そうなった場合ステータスという概念は一体どれほどの価値があるのか。いっそリアルスペックの反映度を売りにしたゲーム、そうではなくステータスを重視したゲーム、どちらもそれぞれのジャンルとして並立するだろうし、作品もまたそれぞれでよいとは思う。
 その際、この作品および登場するゲームはそういうものである、と強く読者に訴える必要はあると思う。ただ一文やあらすじにちょろっとリアルスキル重視のゲームだとかステータスが無い完全スキル制のゲームだとか書くだけでは読者は盲目なので見えない。もっと目が見えない読者が見えるように訴えてくれれば文句は減るだろう。

 あ、別に本当に盲目の人も居るんですよ!とかそういう本気っぽいのではなく、プレイヤーは運営のお知らせを読めないことのネタ的な意味です。重く受け止めないでください。


脳波入力による操作の話

 というわけですけど、先んじて結論から言うと。

 体を動かすイメージを明確に持てる人間程、脳波入力の正確性は有利である。

 というのは現実的にほぼ確定的ですので、格闘技や武術、スポーツ経験者は自然とちょっとだけ初期段階から有利だと思われます。
 ただし条件として、自分の体が動く確固たるイメージを持てる。というのがありますし。
 それが出来るならそれらの経験者でなくても有利は取れます。まぁただ共通の経験値としてそういう経験者のが素地は出来ているかな、という話なんですけど。
 なお先天的に身体に何らかの問題を抱えてる場合、特別な訓練か特別な環境が必要だと、少なくとも現代では考えられます。

 さて、脳波入力の話になるんですけど。一応この分野に関しては大学院までやらせて頂いたのでちょっとだけ知識がありますのでにわか知識程度でありますがどういう物なのか、現状どこまで研究が進んでいるのか軽く記述したいと思います。

 まず脳波入力が如何にして入出力しているのか、という話。
 基本的に現状で行われているのは、言ってしまえば音声入力なんかと同じパターン認識と呼ばれる物が使われています。
 音声は波形で出るし、脳波も波形で出るので、同じ手法が使えるなって話ですね。
 パターン認識というのは言葉そのものをイメージしてもらって良いのですけど、特定のパターンと同じパターンが確認できたらそれを実行する、程度の認識で宜しいと思います。詳しくはぐーぐる先生に聞いてもろて。
 つまり、右手を動かすという脳波のパターンがあらかじめ用意されて、それに近似する脳波を出す事によって右手を動かすという出力を行うわけですね。
 はっきり言うと現状ではヘッドギアどころか、脳に直接電極を設置する、所謂侵襲式の物でないと無理です。ゲーム内のキャラクターを五体満足に操作する事はほぼ不可能です。
 侵襲式、というのは簡単に言えば外科的手術によって装置を取り付ける事で、非侵襲式というのは逆にそういった必要が無い身体に影響のない方法ですね。
 ヘッドギアなんかは非侵襲式ですし、大半の実験は似たような電極と取り付けたヘッドネットみたいなので行われています。
 この非侵襲式最大の問題点はなんだと思いますか?
 髪の毛です。
 どうしても脳の電位変化を受け取るための電極とその間に髪の毛や皮膚や空間があるため、正確な計測は難しく、それでも出来るだけ計測するために通電性をあげるのに塩分濃度の高いジェルなんかを注入して計測しています。
 出来れば非検体の学生には皆スキンヘッドにしてもらいたいと思っています。
 まぁね、これは現状の現実の話であって、創作物の近未来に存在する超ハイテクVR機器が現実的じゃないなんて文句をつけたいが為に書いてるわけではないです。そこは全然ファンタジーで良いじゃないか。
 それは話の本質ではなく、脳波から何の情報が受け取れるようになるのか、脳にどんな情報を与えられる可能性があるのかという話に戻していきましょう。

 まぁちょっと調べれば出てくると思うのですが、侵襲式(脳に直接電極をぶちこむ必要がある)ではありますが現実で指の先まで操作できたという報告は結構出て来ています。
 その訓練の為に、動いている腕の3Dの動画を見ながらその動きを頭のなかでイメージして実際に義手を動かす、みたいなのが動画で確認出来たりもしますが、ここで重要なのはその腕を動かすイメージの困難さです。
 例えばですね、脳波入力によってなんらかのボタン操作をする。という事ならば結構訓練期間は短くても出来るんですよね。それこそ非侵襲式でもです。10年ぐらい前に読んだ論文では3週間ほどの訓練で出来るようになったみたいなのがあった記憶があるので、今ではもっと短くても可能になってるのではないかと思います。
 が、体を実際に動かす脳波を、体を動かさずに出す。と言うのは侵襲式でより明確な入力を得られたとしてもとても難しい。
 例えば右手を上げる、とか比較的大雑把なわかりやすい物はまだしも、指を動かしてカップを握る。という行為は難易度が格段に上がります。
 現実の現状ではこれに関して特に難しくしている要因がとしては、カップを握った感触を脳にフィードバック出来ない、というのが一因ではあるのですが、まぁ未来の超技術VR機器ならそのぐらいはやってくれるでしょう。
 なんなら現状でも確かVR機器の派生で連動して体に圧力をかけるスーツ的なモノが出てたような気もします。オナホールもVRAVに連動して動くし。
 ただそれは同時に、体に直接なにかしらの圧を掛けて感触を与えないと、感触を認識できない。という事にもなります。
 もちろんこれは電気刺激で行っても良いんですけど、重要なのは、体の方に刺激を与えないと入力できない。という事ですね。
 視覚に関しても10年前の時点で既に、目の部分に電気刺激を与える事で脳に入力し風景の画像を認識させる様な論文が発表されていましたが、あくまでも外からの刺激が前提になっています。
 目や体の感触はまぁ割と外から刺激を与えやすいですが、味覚はどうでしょうか、おそらく口の中の舌自体に刺激を与えれば味覚を再現する事は可能でしょう。
 ですが口の中にデバイスを突っ込むのはヘッドギアではもはや不可能な領域では?口を開けっ放しでゲームプレイを?
 コクーンの中に溶液を満たしてナノマシンが刺激を与える以外ではちょっと難しすぎる事になるのかなとも思います。

 そうそう、個人的に一番気になっているのが声です。
 脳波入力で発声は可能なのか?
 調べてみました。
 2019年、2020年、どうやら可能になりそうだという研究結果が発表されているみたいです。
 もちろん侵襲式、更に脳波としては声そのものというよりはどうやら口の動きを入力としてパターン分けする感じみたいです、正確性を上げるために口の筋肉の動きと脳波を両方取ってるっぽいですかね。
 声色に関しては、ちょっと前に見かけたんですけど、電話は実は合成音声だったみたいな話を見まして、同じ事で現実にもゲームで適用できるのではないかなと思いわりかしそういうのが現実でき出来そうだなと感じた昨今です。

 ただ問題として、脳の表層、大脳新皮質って言うんですけど、そこって割と最近できた部分で論理的というか合理的というか、そういった複雑な部分担当なので、そこに電気刺激を送るだけでは与えられる情報は限られるでしょうし、原始的な機能、例えばそれこそ触感などの五感を刺激するにはもっと奥の方に電気信号を届ける必要が出てくるのではないかと思うので、非侵襲式ではやはり脳への刺激だけでどうこうするのは限界が訪れるのではないかなと愚考いたしております。


 良いですよね、うらやましいです、侵襲式の実験、脳に直接電極を挿しているというだけでロマンを感じてしまいます。私は院生時代も非侵襲式しか触れられませんでしたし触れて見たさが今でもあるのですが。
 実際にはこれらの実験をするために手術をしたわけではなく、てんかん等の脳疾患を治療するために手術を受けた方々に協力して頂いている研究なので、うらやましいとか言うと非常に不謹慎なので炎上してしまいます。
 今後もそういった患者の方々の生活補助や改善の為、日々これらの研究が進む事を既に関わりのない身にはなりましたが祈るものです。


 そんなわけでこの項目最後になりますが、最大の現実としての問題点を挙げておきます。
 最初に言った通り現状での脳波操作というのはパターン認識とよばれる方法で行われています。
 これはその名の通り特定のパターンと、入力されたパターンが似ているか似ていないか、どのパターンに似ているか、といった判定を行うモノです。
 つまり元となるパターンの母数が重要になりながらも、無作為に多くなりすぎると誤判定が増える問題を抱えています。
 電話先に声を届けるシステムに置いて合成音声のパターンが200だかなんだか用意されていた話から同数程度でも不特定数の人間の脳波を判定し近似したパターンデータを採用しそれによって身体操作を行う事は未来において可能になるかもしれません。
 が、それは一般的な、という括りになると思います。
 特別な動きを十全に再現するには、それようのパターンをそもそも予め用意しなければなりません。
 達人の身体操作をVR空間で脳波入力によって再現するには、その達人専用の脳波パターンの計測が前提にあるのではないか。特に特別な流派の動きには必要があるのではないだろうか。これはただの想像に過ぎません。組み合わせによって可能なのかもしれません。やってみなければわからないし、もしかしたら2020年既に研究が進んでいるかもしれません。
 もし現実的な要素を組み込みたい、と言う事ならば、脳波パターンを予め多く収集しているという基盤があると良いかもしれません。
 例えば学校の授業がVR空間で行われるようになっていて、VR空間での身体操作に対して一定水準の教育が施されており、同時に国民の脳波をパターンデータとして健康診断のついでに収集し、それを各社会福祉サービスに提供している背景があったり、ゲーム開発会社が医療機器や医療機関の母体を持っており十分に利用可能な脳波パターンデータを所持している。みたいな。


廃人とは、検証勢とは

 廃人なら検証勢ならあらゆることを試し尽くしているし主人公1人の脳みそで対抗できるはずはない、それは本当なのだろうか?

 結論から言えばYESでありNOでもある。

 如何にプレイ人口が数千万人いたとしてもある時名も無きただ1人の人間が思いついた一つの方法が虚を突き、しかし画期的で分解してみたら非常に合理的だった事は現実にもある。
 システムへの理解とデータとの組み合わせ、ひらめきや発想。そもそも思考回路が宇宙人な可能性もあるが、ともかく今まで如何な人数を投入し如何に試行錯誤した所で、突然ただ1人がブレイクスルーを発生させる事は稀によくある話。これはゲームに限らずあらゆる分野で起こっている事でもある。
 廃人を舐め過ぎた作品もあれば、廃人に求めすぎている読者も居る。更に言えば現代よりも進んだ先にあると考えられるVRゲームという環境に置いて廃人の代表とされるプレイ時間に対して疑問点があるのは確かな事だ。

 オンラインゲームを嗜む人達にはほぼ常識と言って良いほどに、ゲームを長時間ぶっ続けでやると現実的に死ぬ。というのがある。いや実際どこかの国で死んだ人が居るとか居ないとか、もはや10年以上前のニュースだかデマだかしらないがそんな話題になった事もある。
 そして廃人という奴のイメージは大体そんな感じである、寝食を忘れ小便はペットボトルに、栄養はゼリー的な奴、ペットボトルに排泄するにしても小便はしない方がアドなので水分補給自体を減らす。カロリーは友達的な奴でカロリーを摂取しなら、エナジードリンク?本物ならエナジードリンクより栄養ドリンクだ、ファイト一発!
 流石にちょっとね、それをやられると死人が出てしまうしなんなら毎月数名病院から自撮りを上げるプレイヤーがいるゲームもありますから困りますプレイヤーさんあぁ~~困ります困りますプレイヤーさん困ります病院に担ぎ込まれては困りますってものです。
 そもそもにしてVR機器に接続して没入型のゲームをしてる最中にプレイしながら飲食は難しい、点滴でも打ってるのならまだしも、いややりそうだな、やりそうだから廃人って言うんだ。

 まぁそんな廃人イメージは置いといて現実的にVRゲームという物が一般的に供給された場合、プレイ時間への制限という存在は確定するのではないか、という懸念事項ですね。VR空間に置いて身体的に問題が生じる事があるのか、プレイ時間への制限として妥当なのは何時間程なのか。ゲームは一日一時間までと相場が決まっている、知らないのか?

 さて、実の所VRChatって奴があるのは皆さまご存知だとは思いますが、その中で大変興味深い実験が行われていた事は知っていますか?
 ラックという方が、完全に連続ではないですが、食事時間などを区切った上で連続で丸一週間VRChat内で過ごしたという物です。

 結果だけ見るとどうやら特に身体的な不具合は生じなかったようです。少なくとも現実の今あるVR機器によるトラッキングによるアバター操作は自らの体を動かす事が出来ますし、エコノミークラス症候群などが発症することもほぼ無いと思われるので、姿勢を固定した状態でプレイする設定が多いVRMMOのハードウェアとはかなり違いますが、精神的や脳的に長時間のプレイによってなんらかの問題が起きる事は無いと、確定は出来ずともその可能性は高いかもしれません。
 まぁ他にも要素として色々興味深い話題もある記事なのですが今は割愛しましょう。

 同じ姿勢でいると危ない事になる代表、エコノミークラス症候群はまぁそもそも同じ姿勢である事以外にちょっと代表的な条件があるので横になった姿勢だとどうなのかはわからないのですが、これに関して言えばリスク的に4時間以上になると危険度が上がるとされています。
 寝た状態で同じ姿勢、と言うと床ずれというものがありますね。こちらは2時間、もしくは3時間での体位変換が推奨されています。
 となるとまぁ何の疾患も無い健康な成人が連続でのプレイとなると4時間程の制限があった方が安心なのかもしれません。ただこの場合あくまでも連続でのプレイ制限であって、一日の総プレイ時間に制限をかける必要性の有無となると健康面的にはイマイチな感じでしょうか。
 4時間の連続プレイ制限の後、1時間程の休憩を入れる、このループ上ならば特に総プレイ時間への制限は必要が無いみたいな事も十分にありそうです。
 まぁ現実に準じてここらへんの時間設定を考える必要性は特にないですね。
 その作品それぞれの世界でそうと決まればそうなのだろう、その世界では一日中なんなら死ぬまでずっとプレイし続けられる世界なのかもしれないし、数時間毎に休憩を挟めば再度ログイン出来る世界かもしれないし、一日の総プレイ時間に制限があるのかもしれない。それは作品それぞれの自由だと思います。

 で、その時間制限がある世界に置いての話が主題ですね。
 プレイ時間に限界があるのに、プレイ時間に対するアドバンテージがメインである廃人が存在する事が出来るのかどうか、限られた時間の中で検証という作業は着実に行われるのだろうか。という話。

 廃人プレイ、という面に置いてこれは可能です。プレイできる時間が公平に制限されていたとしても、ゲームを実際にプレイしてる時間だけがそのゲームへの没入であるとは限りません。
 攻略サイトでデータと睨めっこする事も、他人のアップロードしたプレイ動画を見たりする事もゲームプレイの一環でしょう。
 先述したリアルスペックは脳波入力によるVRゲームに通用するのか?という話題でも触れましたが、より操作を確実に行ったりスムーズな動作を実現するために実際の武道を学んだり扱う武器の知識を得たり、明確なイメージを行うためのイメージトレーニングもまたゲームの為の行為となる筈です。
 寧ろこれらの行為はVRMMOという物が流行りだした時、現実よりも大きく重視されていく可能性を感じています。今までとは操作系統がそもそも違いますし、リアルスペックで無双されるならばこちらもリアルで筋肉を鍛える事で対抗できるのならばそれを行わないというのは甘えでしかありません。
 VRゲームに熱中すればするほど人は現実世界で強くなるのです、凄いな、寧ろ健康的になっていく……不思議な関係性が生まれて来てしまった。
 もちろん肉体をついでに鍛えるプレイヤーも居ればイメージトレーニングに特化したプレイヤーも居るでしょうから全員がマッスルになるとは思えませんが。ネットイキリ廃人とか現実ならワンパンでしょ笑いとか思ってたら筋肉モリモリマッチョマンのネットイキリ廃人が現れるの強すぎない?ヤバ……。


 現実的にも割とプロゲーマーと言う存在は結構重度のゲームプレイに耐えられるよう体を鍛えてるみたいな話もあったりなかったりしますしね。

 まぁともかく廃人という存在は生き続けられるかと思います。今現実にゲームプレイをしている廃人とは別の人種に進化する可能性が高いですが、ゲームを操作する事だけがゲームではなく、ゲームをプレイする為に環境を用意するのが廃人ではないかと思います。
 それこそプレイ時間を捻出する現在の廃人もまたその為に生活を改変したり、そもそも結果的にそれしか出来ない環境が整っていた人だとしても、結果的には整えた環境こそが最大の武器なのですから、本質的には変化はないと思います。

 ただまぁ冒頭で紹介したエッセイには、廃人はサブキャラ作ったりしてるという部分がありますが、それに関しては制限を行っていないゲームの方が少ないと思いますので否定的でいます。
 そこに関してはやはりその作品の設定に準拠して頂きたい。作品によってはサブキャラというか2キャラ目の枠を開放したりする物もありますが、読み漁ってる分には珍しい部類ではないでしょうか。


 検証勢については少し問題が出てきます。現実に今あるゲームではプレイ時間に制限が無いので幾ら時間をかけても問題ないですし非常に詳細なデータを抽出する事も可能なのは確かです。
 マスクデータを暴き、確率計算を行い、データの羅列を生み出していく研究者というイメージですね。
 それを可能とするのは膨大なゲームの本筋とは別のプレイ時間です。まずは1000回ぐらいカカシを殴ってみるか、統計学って知ってる?母数が足らないってホント?目測でカウントするとミスが生まれ勝ちだから音声認識でカウントする事によって労力が減る、ただし1000回殴る時間は据え置き。
 一番の解決方法は単純明快、人海戦術ですね。1人で10時間かかる事も2人でやれば5時間で済む!制限時間があってもリレーすれば2倍になる!ってものです。

 ただそもそもこの検証という行為、基本的になんの報酬も得られない慈善事業なんですよね。もちろんこの行為自体が好きでやっている人も現実にはいますし、なんならこういったゲームのデータを集めるスタッフを雇って金を払ってる企業型の情報サイトも現実には存在しているわけですけども。
 関係ないけどそういった企業型の情報サイトは情報の無断転載や盗用が目立つし、なんかテスト環境をお試しプレイしてきましたみたいなのが気に入らないので私は嫌いで利用しないんですけど、有志が無料で公開している攻略wikiとか個人サイトのが気分よく使えて良いと思っています。そもそも個人の検証勢より情報遅い企業勢ってなんなの?仕事しろ。

 そんなわけで現実的に同行の志を集めるのが大変そうなんですよね、プレイ時間そのものが制限されてしまうと最悪1人でも、2人いたら凄く楽、3人4人になれば同じ検証をしてもらって整合性を確かめられる。と言った事が困難になりがちです。
 ただ1人の検証勢が掲示板で情報を出して居る、という状況だと中々ね、従来のゲームなら良いのですがちょっと難しいかもしれません。
 廃人と同じく他人のデータを寄せ集めて検証する事は可能かもしれませんが、それは予測でしかなく実測の正確性とは別になってしまいます。
 現実的な話をするとこの検証勢本当に実数が少ないです、参加者に対する割合で言うとぶっちゃけ1%に満たない人口しかおらず、なんなら0.005%ぐらい居れば良い方だと思います。
 ただ同時にすべてのプレイヤー自身が検証勢となれる可能性がありますし、例えば自分の持つスキルに関してだけ検証を重ねるというのは現実にも作品にも多くある事だと思います。
 それらの情報の共有によってプレイヤー達が持つデータが満たされていくわけです。
 ゲームの規模が大きい物として、具体的なプレイ人口を示すのは中々難しい所なのでなんとも言えませんが、まぁその世界の中で大きな人口のあるゲームで検証勢もしくは情報屋を置くとした時の理想的な規模を考えると。
 20人程の集団が3つ程あると好ましいのではないかな、と思います。これは全般的な情報を統括しているという意味で、あまりに珍しい状況まで考察しきれていない可能性が十分にある数だと思います。
 ゲームそのものの要素数がどれぐらいかにもよりますが、全般的な情報の検証を行う場合、単一の情報に対しての運用方法に関してはあまり深く考察されない可能性があります。
 特にVRMMOジャンルのゲームでは凝った条件での修得や、スキルの使用方法、効果の適用範囲がかなりフレキシブルであらゆる状況でどのような反応になるか予測計測出来ない事は多々あるのではないでしょうか。
 これらを網羅するのは非常に難しいです、超限定的な状況を再現して検証するにはそれ専用のキャラクターを用意する必要性も出てくるでしょうし。キャラクタークリエイトのしなおしは許可されてるかもしれませんが同時に2枠目等が存在しなかったりキャラクターを作れるのが一度切だったりするゲームではほぼ不可能と言って差し支えないでしょう。
 物凄い情熱がある検証勢が居ればキャラクターを作り直す事が出来るゲームならば検証の度にキャラクターを作り変える人が存在するでしょうし、ゲーム内の行動だけで再現可能ならそれを(人海戦術等を用いて)虱潰しにする事もあるでしょうから、1キャラクターの壊れともいえる要素の抽出は可能かもしれません。
 それらが出来るというゲーム設定ならば、です。結局ここらへんはゲームそのものの設定次第な部分なので作品毎に違うので一概にこうだと言える要素ではありませんね。

 ただ同時に、結構なデータが蓄積されているという前提、例えばゲーム開始した数か月後に参入した主人公がなんらかの組み合わせで無双した、という場合においてはそれが何で構成されてるか特定できる可能性はかなり高いと思います。
 それがあまりにもぶっとんだ思考の外にある要素で今の今まで誰一人それに触れる事が出来なかった要素でなければ。
 単一のモンスターを連続で1000匹倒す、とかいう条件だった場合、他の検証をしてる間に達成されてる事が考えられるので初発見にはならないだろう、という考察は十分ありえる事ですし。
 街のNPCの好感度が一定以上必要、なんてのは割と難易度が低いと思われます。

 逆に言えば、ゲーム開始当初から参入してキチガイの様な行動をとった結果珍しい現象に見舞われるプレイヤーがおり、それを判明した時点で特定できないという事はあるかと思います。
 結局の所データがある状態で行われた行為なのか、無い状態で行われた行為なのか、そこに納得できる状況があるのかが重要なのだと思います。

 少なくとも、掲示板でわちゃわちゃ言ってる無能に見えるモブ的存在のプレイヤー達ひとりひとりもまた、主人公と同じかそれ以上のプレイ時間を持つプレイヤー複数人であるという数字的な優位を忘れてはいけません。
 モブプレイヤーを無能にするの、これって異世界の住民の知能を落とす事で相対的に主人公を上げるのと同じなんですよね。文化や技術のLvが違う異世界とは違うのですから、あまり好ましくはないと思います。


情報は公開すべきか、秘匿すべきか

 というわけで検証勢の話から続いて情報の公開と秘匿の話、取り扱いにおける派閥は実際に存在するのか?そして私が実際に経験した話を添えて。

 まず現実の問題として、情報の取扱いについて派閥は存在するのか?という物ですが。
 これは実際に存在します。情報は公開され共有されるべきモノだと考える人が居る一方、重要な情報は個人もしくはその個人が所属する集団内でのみ共有し独占しアドバンテージを得ることを良しとする人たちもまた存在します。
 というか多かれ少なかれ特にトップと呼ばれる層に近づくほど秘匿情報を所持する比率は上がります。
 それは廃人の集合知であり、最適行動への試行回数の積み重ねであり、お互いの行動をトレースしあえるだけの十分な資産と言った、一般人には些か難易度が高すぎる情報や動きの共有であったり。往年のMMOでは狩場やボスのリポップ周期の把握による独占行為でったり。そもそも生産職の囲い込みもこれにあたります。

 しかしながら逆に、そんな重要な情報を無償で提供を!?と驚くような情報を提供する存在もいます。
 残念ながら私はそういった存在ではないのでどういう心持ちでそれを行っているのかは不明です。それは検証勢では?と疑問に思うかもしれませんが、検証勢は情報そのものを取り扱うのに対しこちらはそれらの情報を組み合わせ実際の運用に置いて効果的なモノを扱うと考えて下さい。
 もちろんより効果の高いモノが手に入って型落ちしたので秘匿しておく必要性が無くなったから。という場合もありますが。
 検証勢と呼ぶモノもそうですが、特にこういった行為を行う人自身は情報は公開すべきだと強く自ら思っている事はあまりない印象があります。
 調べたので折角だしとか、面倒な作業を効率的にする一助にという親切心とか、公開する事によって他の人による再現性の確認や集合知に期待してアップデートする為だとか、そういうイメージ。

 ここまでで、情報を秘匿する人は意図的にしていて、公開している人は善意やより多くの情報収集の為に行っているという感じでしょうか。ここまでは立場に違いはあれど、己の力によって情報を得た立場の人々です。
 それはその人達の資産であるからして、その取扱いは本質的には他人がどうこう言うべき事ではないと、個人的には思っていますが、まぁ考え方は人それぞれでしょう。

 人それぞれなので、情報を提供する立場でもない雑多な人間が、情報を寄越せと口々に強請ってくるのが、情報公開派です。
 善意で供給され纏められてる情報を有難く受け取るべきなのに、それがあたかも当たり前の事だと勘違いした残念な連中ですよ。
  最初に派閥はあると言いますが、厳密にはこの情報公開を強制しようとする、情報は公開すべきだと声高に叫ぶ人々の事を情報公開派とするだけであって、情報の秘匿を行っている人々の事は別に情報秘匿派として扱う事は少なくとも私は行いません。
 それはそもそも情報を得た人間の自由なのですから、秘匿する事が悪であるとは思いません。まぁ私個人の考えですが。
 VRMMO作品では主人公が情報を秘匿する事になったりしますね、それが意図的であったり、初心者故に情報の放流の仕方を知らなかったり、他者と交流が無いために情報が流出しなかったり。
 それによって掲示板回や本編で常識の無いモブキャラに絡まれて悪態を吐かれるなんてのがパターンです。

 主人公が(意図的もしくは結果的に)秘匿している状況に対して、検証勢や廃人がその後考察したり突き止めたりするかどうかは一先ず置いといて、それ以外の存在からバッシングがあるのかどうかという話を先にしましょう。

 実の所、MMOではないのですが私の実体験として私の持つ情報を開示しない事に対して非常に強くバッシングを受けた事があります。
 とあるオンラインゲームでは公式上ではゲーム内のデータは公開されておらず、しかしながらすべてのキャラクターがどんな状況に居るのかが公開されていました。
 その公開されたデータを機械的に収集する情報サイトは存在し、誰がどのようなスキルを持っているかはその情報サイトを通して全参加者が知る事が出来た状況です。
 そこでとあるタイミングで私と、厳密にはもう一方のみが手に入れたスキルがゲーム上に発生し、それをそのサイトが収集し、そういうスキルの存在だけが公開され、その効果自体は所有者が専用の画面でしか確認できなかったのです。
 これはその一つのスキルのみの仕様ではなく、ゲーム上に存在する全てのスキルが同一の仕様なのでそれだけが特別というわけではありません。
 当時そのゲームにはその機械的に情報を収集してリスト化する情報サイトの他に、運営者とその協力者数名によってそれらのスキルの実際の効果を編集されていく情報サイトが2,3個。それとは別に不特定多数の人間が編集できる攻略wiki。当時はまだ2だった匿名巨大掲示板のスレッド。それとは別にそのゲーム専用のスレッド式BBSのしたらば。その他ニュース系と分類できる個人ブログ。更にツイッターの利用も始まりクラスタという文化?が流行りだしこのゲーム参加者もまた多くツイッターで繋がりはじめた時期です。

 実は意外と私は元々ある程度名を知られていた存在で、知人が運営するスキルデータを公開する情報サイトの一つにて編集権をいただいてサイトの成長の一助をさせて頂いたり。ツイッターでもそこそこフォロワーも居た状況でした。
 当然私にコンタクトを取り情報の開示要求が多く寄せられたのですが、その時私は全てお断りさせていただきました。もう1人いるのに、何故か私だけに集中したのはもう1人の方への連絡手段がないからだと思われますが、本当にうんざりするほど同じ内容の文言がいろんな窓口から送られてきたモノです。
 さて断ったら何が起きたかと言うとわかりやすいぐらい
「情報の秘匿は悪」だとか「ズルい」だとか「偉そうに」だとか
 まぁよくある陳腐な事を直接的に間接的に匿名でSNSで好き勝手に言われたものです。
 修得する条件が確定していて、
 非常にマイナーな組み合わせの条件であり、
 尚且つまだそのスキルが実際に使用された場面が一切無いにも関わらず、
です。

 当時の私は別に悪戯心だとか、情報の独占だとか、嫌がらせの為に情報の公開を渋ったわけではありません。
 そもそもそのスキルは、使用結果を見れば一目瞭然にわかりやすい効果でしたし、実際にまだ一度も使っていないので私自身正確な効果量等を把握できていない段階ですし、私ともう1人以外に新たに修得しそうなキャラクターは人口に対してまったくと言って良いほど少ないですから、私自身は一週間や二週間してから放流するつもりでした。
 でもなぜそれが出た時点で公開しなかったかと言うと、これには私ともう1人の間に公にされていない取引が存在したからです。

 その内容は至極簡単な事です。
 おそらくこういう条件で未発見のスキルを修得できる、私ともう1人そこに該当するキャラクターが存在する。
 私ともう1人では、そのもう1人の方がタッチの差で私より一瞬早く修得してしまう。
 なので私はもう1人にこう話を持ち掛けたのです。

 「私と貴方が満たせそうな条件なのですが、実はちょっと私が足りなさそうなのです。
 もしよろしければほんの少しお待ちになって頂いて、私にも同時に修得させていただけないでしょうか?」
 と。

 情報の秘匿は力の独占であると同時に、情報の公開は栄誉であると思っています。金を貰ってるわけじゃない善意の協力なのだから褒められる位良いじゃねぇかと思います。
 そして当時、その件に関して、その栄誉を受けるべきは私ではなく、私に足並みをわざわざ揃えて頂いたもう1人の方だと思ったからこそ、私は情報の公開を拒否しました。
 そんな裏の事情はまぁ察せない人々が多いというのは仕方がない事ではありますが、当時それなりに知名度があって、普段なにをやっていてどんな行動をしてきてどのような思想をしているかと言う事がある程度周知されていた私が、情報サイトでスキルデータの公開を行っていた私が、何故わざわざその件の時のみ拒否したのか、何らかの理由があるのではないかと想像してくださった方は、残念ながら当時近しい知人であった中にも殆どいませんでした。
 なんなら割と仲が良かった人がその件で
「情報を独占しやがって、よくもそんな偉そうな事が言えるな」
 なんて言ってくれたのが中々びっくりしましたね。

 いやいや、君の所の組織の方がよっぽど情報も市場も独占してますよね???とは言い返さなかった私に拍手を送りたいですね。

 基本的に今の情報化社会、ゲームというジャンルでも情報は公開されるべきものである。という風潮が蔓延しています。それが良い事か悪い事かという話は以前の記事で触れたので割愛しますが、人類の大部分がそう信じ目を曇らせています。
 当時も所詮数年前の話なので、状況的には変っていないので公開を拒否していた当時、そうしながらもバッシングが凄いんだろうなと思っていましたが予想通りの反応をいただいて笑っちゃいましたので全然暗い過去というよりかは社会実験大成功みたいな笑える昔話なのです。
 そうですね、接客中にクレーマーが「お客様は神様だぞ!」って言うのに秀逸な返しをするネタがあるじゃないですか。
 お客様は神様だぞなんて言うクレーマー実在するわけないじゃん、と思ってたら実際にお客様は神様だぞっていうクレーマーに出会って思わず笑っちゃったみたいな話です。

 そんなわけで実際に経験した身としては、主人公が情報を秘匿する事で起こるバッシングの描写は個人的に言えば”あるあるネタ”なので良いと思います。
 情報の秘匿と公開にまつわる話はこんなものでしょうか、作品で語られるバッシングは実際にあり得る、という実体験でした。


無双とバランス調整

 無双とそれに対する運営の対応、不遇もしくは不人気職やハズレスキルは存在するのか?という話

 結論から言うと、
無双は出来るし、調整は行われるし、存在するし、そのままにはされない。です。

 どうしても一時期を取りだした時、覇権や人権やそのタイミングで爆発的に一強を誇る存在が生まれるのはあります。
 それは運営もしくはそれより上の意向だったり、とあるアップデートのタイミングだったり、状況が限定的である場面が多いタイミングがあるからです。
 それは時の経過によって他にも都合の良いタイミングが訪れたり、はたまた他の要素も順々にテコ入れがされていく順番待ちだったり。
 ちょっと数値が可笑しかったので修正されたりもします。

 同時に、ゲームが続いていく上で大器晩成で一定以上の水準になった時でバランスがとれているが、初期状態では些か他に対して欠点が目立ち利点が少なく見える存在。
 というのも往々にしてゲームの開始当初から実装されている事があり、運営とプレイヤーの間で認識に差が生まれた結果不遇や不人気、ハズレと称される要素はあります。
 その差に運営が気付いたり、あまりにもそれらの使用率が低いというデータが挙がった時調整を入れる事は多々あります。
  昨今は下方修正を入れるよりは、上方修正によってバランスをとる方向が多いですね、ユーザーが手に入れた資産を運営の意志で落とせる事に対して(判例的にはデータは運営の所有物でユーザーはレンタルで利用しているので価値の上下は運営の自由によるみたいな判例が出ていたとしても)否定的な意見が大分増えてきたので。

 大なり小なりこれらは創作であっても現実であってもあります。ユーザーは運営が何考えてるかわかんないし、多くのユーザーはわかりやすいゴリラで殴るのが好きです。
 その差をうめるためにも昨今いろんなオンラインゲームではプロデューサーレターみたいな月一ペースで運営側の意向を伝えたりしていますね。

 さて、ここで現実とVRMMO作品の決定的な差があります。
 それは時間の経過です。現実のオンラインゲームで調整が行われるのは少なくても一か月以上の間が空く事がほとんどです。バグの修正や大規模な不正行為への対応は別として。
 そしてVRMMO作品に置いて日時の経過速度は話数に対して遅い事が殆どです。一話につき一日経過したとしても一月経つのに三十話が必要なわけです。その上多くの作品は一日の描写が一話で終わる事はあまり無いイメージがあります。
 作品によっては一日経過するまで二十話三十話使っている作品もあります。一日目で判明したバランス調整が必要そうな要素が判明し、運営がバランス調整を挟むアップデートを行うまで百話二百話の間が生まれる事もあり得るのです。
 無双を放置している運営はありえない、それはそうかもしれませんが。例えば新作の二十話四十話程度しかまだ執筆されていない作品に対して経過日数を考えれば運営が動くというのは寧ろリアリティの面で言うならば仕事めっちゃしてるファンタジー運営です。
 特にVRMMO作品の多くは主人公の物語を時系列順に詳細に描写していくのが多いので話数に対する時間経過が引き延ばされがちです。なんなら600話とかあるしね。1200話ぐらいあるのもありますね?それで何日間経ちましたか?えっ!まだ一か月!?マ!?
 作者の方が少しでも、それこそMMOではなくソシャゲであっても何らかの継続的にアップデートが行われていくゲームに触れていれば運営による対応という描写は望めると思いますので、話数がまだ少ない作品に対しては例え主人公が無双していてももう少し長い目で見守っても良いのではないでしょうか?

 無双した主人公に対してバランス調整による弱化を行う作品も少なくはありません。主力としていたスキルを大きく弱化されたりしますが、主人公は新たな発想でより強くなり盛り返すのがいつものパターンでまた無双するわけですが、バランス調整しましたアピールをしているのは確かに存在します。

 同時にこれは物凄く少ないのですが、運営が主人公に対して諦め放置するパターンもあります。他プレイヤーとしては正直クソとしか言いようがないですが、何故かそういった作品ではプレイヤー間でも主人公キャラにたいして多くが諦めていて〇〇だからしょうがない等と言ってスルーしていく傾向にあります。

 更に一部の作品には、意図的に運営が特定のプレイヤーを優遇する、という素晴らしいクソ運営が存在します。他のプレイヤーはそれが行われている事は察せるかもしれないし察せないかもしれないですが、読者には運営回や運営側の描写で伝えられるのでそれを知ってしまい私はもはや憤怒の念しか抱けません。
 特にこのパターンで多いのは後にゲームだと思ってたら異世界でしたパターンです。ゲームを運営してるのではない!特定の因子を持つ勇者を探しているのだ!みたいな。
 それVRジャンルでやらないでくれませんか?ハイファンタジーかローファンタジーにお帰り。

 ただまぁ、不遇職やハズレスキルとして持ち上げられやすい錬金術、最近では弓職、ぶっちゃけ今までのMMOの歴史を考えると絶対にありえないと思ってしまうんですよね。
 特に錬金術に関しては過去や既存のMMOに置いても割と強いイメージがあるのに、自由度が格段に拡張された錬金術が不遇やハズレ扱いされ検証が進まないということは絶対にとは言いませんが可能性として非常に低いと思いますし。
 弓も基本的に好きな人は一定層居て、仮に魔法や銃が同居しててもそこにこだわる人は一定数居て小さい集まりにしても濃厚な情報交換や研究がされるイメージが強いです。射程を利用した崖撃ちによる狩りなんてそれこそ太古のMMOでも基礎の基礎なわけですし。
 寧ろこういった後衛と言えるようなモノより、種類が多くなりがちでその独自色を出す為に微妙になってしまいやすい近接、特に槍や斧、格闘の方が微妙扱いになりやすく思います。
 後衛的に言えば弓等の物理系よりも、魔法の属性に不人気なのがあるのは非常に納得が行ってしまうんですよね。これはファンタジーでもゲームでも土系は割と現実でもそう……って思います。使える魔法を入れない運営が悪いよ運営が!


なんかもう疲れてきたな

 ここまでなんか23000文字弱って見えてるんだけどまだ語り切ってない気がするしでも何語る気だったかなという気持ちも曖昧になってきた。
 これ一項目が5000文字ぐらい無い?これそれぞれ別記事にするのがフツーでは?頭がおかしくなったのか、気温が上がって来たから仕方がない。
 っていうか書く為に使った大本の作品が消えてんのマジでウケる。草草の草ですよ、グラブルの宝箱チャンスで2箱目スカしたのかな?あれはめちゃくちゃ精神にクるから、俺も引退しようかと思った。

 そんなわけで一先ずこれにて結びとする。

 大きくまとめると、件のエッセイに関しては大部分に置いて共感するが、同時にVRMMO作品そのものに対する理解、読書数が足りてないがために目に余る作品に対しての苦言が大きくなってしまったと思う。
 個人的に言えばこのエッセイは最近増えてきたジャンルらしからぬ雰囲気から既存のジャンルを守る一助となり得たモノで、無差別にジャンルの作品全てを批判する物ではない筈だったと思う。
 だが最近増えてきたランキング上位を狙おうとする文化そのものはなろう全体のモノで、それ自体もまた否定できぬ要素である。

 なんやかんやと書き綴っては来たが、この内容を反映してくれという要望は一切持っていない。
 私、一読者は、ただその作品を読み、自分に合っていて、おもしろいなと思えば読み続けるだけである。
 自分に合わない作品とはお別れをする。ただそれだけの話

 ちなみに言っておくと私は小説家になろうも小説を読もうも登録してないので評価やブックマークはつけられない。
 つまりそもそも私の意見など作者様方にとって何の価値も無いのだ、もしここまで全部読んでいただいた方がいらっしゃったらとてもありがたいと思う、お疲れ様。執筆作業に戻り給え、一週間に一度くらいは更新してくれると助かるぞ。

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