第三十回 捻りモデルから考える運動能力を開発する方法/Part1 (2022年4月15日)

このテーマについては、掲載すべきかどうかかなり迷いました。しかしメリットがデメリットを上回ると考えるにいたり掲載することにしました。

最初に運動能力開発への考え方やアプローチについて、また開示する事のメリットとデメリット、最後に開示の趣旨について書いておこうと思います。

1.捻りモデルから考える運動能力の開発方法

ここで言う運動能力とは、野球に必要とされる能力のうち、走力(速く走る)、投力(速い球を投げる)、打力(強く打つ)を指しています。
考え方としては、「スポーツというのは力学的な動作であるので、どの様な動作が理想的であるかは力学的に説明できる」に則っており、運動能力の開発においても、選手の肉体に「運動能力をもたらす力学的な違いを得る事」を目的としています。

走力を例に取り、同じ身長・体重であってもなぜ速く走れる人とそうでない人がいるのか考えてみましょう。
20年以上にもなるでしょうか。テレビである大学教授が100m走のオリンピック選手について動作をコンピュータでトレースし、その選手が肩を上下に揺らしながらクネクネとした動作を発見したことから、「このようなクネクネ走りをすることによって速く走ることができる」といった説明をしていました。捻りモデルでは、この様な考え方はしません。

短距離走であれば、車が0-400mを何秒で走るかをイメージし力学的な要素を考えます。重要な力学的要素としては、車体重量、トルク、エンジン回転数などでしょう。厳密に車を人に当てはめるのは無理がありますが、無理を承知で当てはめてみれば、車体重量は選手の体重、トルクは選手が地面を蹴る力、エンジンの回転数を選手が単位時間あたり何回地面を蹴るかといった事でしょうか。体重が軽く、地面を蹴る力が大きくて、なるべく長時間地面に力を伝えらる選手が速く走れると言えるでしょう。
そして選手の体重、体幹からの蹴る力、蹴る動作のバランスは、個々人によって違い、さらに筋肉の種類や持久力なども違うことから、短距離が得意な選手、中距離や長距離が得意な選手に分かれてくると考えられます。
そしてこうした個人差については、私の考察の範囲ではありません。

捻りモデルでは、第四回で説明した通り、股関節内向き可動域の違いが打力や投力の違いと考えます。そしてこの「股関節可動域の違いによる体幹の捻りひずみにより発生する力」は個人差があり、地面を蹴る力の差となって現れるはずなので、股関節内向き可動域を大きくすることで、打力、投力だけでなく走力も改善すると予想します。
今回紹介する「捻りモデルから考える運動能力の開発」という内容は、「股関節内向き可動域を大きくすることで体幹の捻りひずみにより発生する力を、いかに大きくするか」ということを中心に考えるものです。

人体に力学的な違いをもたらす方法としては、ヨガの手法が有効と考えています。運動や呼吸法などヨガのインストラクターの指導に基づいて行う事を強く推奨します。そうすることで過度な負荷をかけることによる事故を防げるでしょう。
私の理解では、走力、投力、打力を向上させる身体の変化は、日常生活において身体にかかる負荷(「体に悪いポーズ」を行うこと)により発生した歪み(肩こり、巻肩など)を治す方向に重なるようです。

2.捻りモデルから考える運動能力の開発方法掲載のメリットとデメリット

a) メリット
予想される主なメリットは単純で、主として下記の2点です。

・スポーツ一般において、日本人全体の運動能力(走力、投力、打力)を向上させる. 
・日本人全体の体格を向上させる. 

これは日本語でしか公開しません。野球に限らずオリンピックも含めあらゆるスポーツにおいて、日本人のレベルが向上すればと思います。
体幹の歪みが少なくなると予想するので、成長期において、歪みから発生する負荷(内部応力)が少なくなれば体格も向上すると予想します。
(個人的には、近眼の発生率も下がると思っていますが、現時点で具体的に近眼発生のメカニズムが特定されていないので、これは私の妄想に過ぎません。)

b) デメリット
デメリットは多々予想されます。そのため掲載する内容は、できるだけ一般的で既に受け入れられている方法から抽出します。デメリットを並べてみましょう。

・身体が変化するメカニズムが不明で、年齢に応じて負荷や頻度をどのように調整するかも未知数. 

ヨガのポーズの様に、歪みを治す方向に負荷をかけると、数か月単位で少しずつ体が変化していくのがわかります。しかしこの時、具体的に身体に何が起きているのか、よくわかりません。軟骨や筋肉の組織が少しずつ変化するものと予想しますが、負荷をどの程度かけてよいのか、負荷をかける事で身体のどの組織が、どの様に変化するのか、定量的なデータや実績がありません。

力学的に体を変化させることを狙うので、成長期に行うことで違いは出やすいと考えられますが、成長期にこうした方法を試すのは大変注意が必要で、慎重に行わなければ故障の恐れがあります。
また体に歪みがあり、それを矯正する方向に働く場合は、歪みが解消されるまで、関節が鳴るなどの不快な状況に襲われる可能性もあります。
この他にも、予想外の不具合が発生する可能性は否定できません。開示する事もためらった理由がわかるでしょう。

この方法で選手の球速が上がるとなれば、気が狂ったように選手に指導する指導者もでることでしょう。それは子供たちにとって不幸なことですし野球にとっても良い事ではありません。

少し心配しすぎかもしれませんが、このような理由から、掲載する内容は既に一般的に広まっている運動から無難なものをピックアップし紹介しようと思っています。

3.情報開示の方法と趣旨について

捻りモデルの研究内容は、既に英文でBaseball Research Journalに掲載した実績があるので、「捻りモデルから考える運動能力の開発方法」などと題して英文で発表すれば、それなりにインパクトがあるはずですが、今回は英文でアメリカ野球学会において発表するのではなく、まずこのnoteで日本語で開示することにしました。

Baseball Research Journalに捻りモデルを発表する前は、国内において学会や野球関係者に資料を送付するなど紹介はしていましたが、ほとんど反響はありませんでした。
そのためアメリカ野球学会で発表すれば、日本人にも受け入れられるだろうという理由で、やむを得ず米国での発表が先行した経緯があります。
しかし「アメリカ人に受け入れられたものしか日本人は取り入れない」ということでは、いつまでたっても日本人がアメリカ人を凌駕する分野はでてきません。それではあまりに日本人は情けないことになります。

ですから、少しは「捻りモデル」の知名度も上がってきているようなので反グローバリズムを支持するナショナリストとしては、研究のコアな部分である「捻りモデルから考える運動能力の開発方法」は、個々の日本人を対象に日本語で発表することとしました。
捻りモデル研究はJapan Firstで進めます。願わくば、近い将来日本人選手があらゆるスポーツの分野で席巻するのを見てみたい。

ある人が言いました。「日本人頑固だから」
確かに日本人は「左手一本でダウンスイング」を50年間も続けてきた民族です。野球経験の少ない人間の言う事など屁理屈だという意見が根強いのも知っています。私に言わせればその様な意見は、車のエンジニアにレース経験を求めるようなものでナンセンスですがね。私も相当頑固なのです。

日本人は海洋民族です。誰かの意見に従うのではなく、一度自らの責任において自分で考えを進め始めることを思い出せば、野球も社会も大きく変わるとでしょう。外国に搾取されることもなくなってくると思います。

イラストが用意できたら、「捻りモデルから考える運動能力の開発方法」を掲載していこうと思います。少し時間がかかるかもしれません。

(2022年4月18日 追記)

CM0416トリミング

良いチケットを手に入れて、久しぶりに球場に足を運ぶ機会がありました。色々と気づいたこともありますが、捻りモデルの立場から二点だけ。

相変わらず岡選手は良いように見えるので、もっと見たいです。
また清宮選手の状態は、良いように見えました。

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