第二十三回 今度こそ筒香選手を再生したドジャース(2021年7月27日)

前回末尾に追記で記載しましたが、4号ホームランが出た頃から、筒香選手のバッティングのメカニクスが安定してきたようです。昨日のSugar Land Skeetersとの試合ではノーヒットでしたが、空振りした時のフォロースルーの様子を見ても力強いので、このまま打率とホームラン数を上げていくものと予想します。それでは、直球をホームランにした8号の様子を見てみましょう。

スライド1

ボールを待つタイミングで、後ろ足に完全に体重を移し左脚股関節を中心に体幹に捻りを加えているのが、ユニフォームのシワからもわかります。

スライド2

前足のつま先を閉じてステップし体重移動するとともに、上体がバットをリードするように前を向き、バットを引っ張っています。このように動作することで体幹にエネルギー(以下「力」とする)が溜まります。

スライド3

上体は前を向き、ヘソベクトルの方向に打とうとしています。高めのボールなのではっきりわかりにくいですが、幾分すくい上げるようなバットの軌道です。

スライド4

打った際に、前足に完全に体重が移動しているのがわかります。

スライド5

フォロースルーが大きくないので、少し直球に押し込まれる感覚があったのかもしれませんが、体幹に溜めた「力」をボールに伝えることができたため、フォロースルーは小さくなったということです。

ちなみに下は、昨日のSkeetersとの第2打席で、ファウルチップをした時のフォロースルーです。体幹の「力」がボールに伝わらなかったため、大きなフォロースルーとなりました。しっかりミートしていたらスタンドに入っていてもおかしくないと思います。

スライド7

筒香選手は、ドジャースに入団以来ここ数ヶ月、日本仕様のバッティングフォームを、いわゆる「フライボール革命仕様」(私に言わせれば「捻りモデル」に基づいた打撃フォームですが)に変更すべく調整してきたとききますが、どうやら今度こそ成功しつつあるようです。

今後の見通しですが、今年から導入された「飛ばないボール」に対して、たまに合わせるようなバッティングをするので、もったいないなと思いますが、恐らくこのまま打率とホームラン数を上げていき、いずれメジャーに昇格するでしょう。選球眼が良く四球を選ぶ事のできる勝負強いバッターを、ドジャースは放っては置かないと思います。日本に帰ってこなくて正解でした。
筒香選手のポテンシャルを見抜いたドジャースも見事でしたが、打撃フォームを柔軟に変えて対応した筒香選手も賞賛に値すると思います。

いっその事これからメジャーデビューしようという日本の野手は、全員ドジャースに入って打撃フォームをチェックしてもらってはどうでしょうかね。

(8/16 追記)
筒香選手のパイレーツへの移籍が発表されました。意外な形でメジャー復帰を果たしそうです。結果としてドジャース は、筒香選手の打撃フォームを改造し移籍先まで見つけてくれた形になりました。

これは単なる偶然なのか。それともドジャースフロント陣からの「無償の愛」?面白いですね。

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