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滅多にねぇ困難

 やって来ましたホテルのラウンジ。素行調査を依頼した探偵は既に到着していて、注文したであろうコーヒーを飲んでいました。探偵が手に持つコーヒーカップは、取っ手が6つも付いてるせいでハンドスピナーみたいになっています。こいつはカッコよろしい。
 私も負けじとお冷の水抜きを頼みましたが、私の元に店員は2度と来ませんでした。嘘でしょう、氷のみが入ったカップで逆転勝利する算段だったのに。しょうがない、注文した飲み物のかっこよさコンテストは軍配をくれてやりましょう。

 しかし、本命はここから。そう、私は素行調査を頼んだ探偵に、調査内容の正確さで勝つことが趣味なのです。実は今回依頼した調査対象は変装した私だったのです。正確さ100%で勝率も100%、ロイヤルストレートフラッシュ暗算の申し子の計算に間違いはありません。
「あの、依頼にあった調査対象ですが、あなたですよね?」
 完全敗北、カラコンだけでは不足ありでした。思わず手にしたコーヒーフレッシュを乳液代わりに顔に塗りたくり、獣のように叫びたくなったのでした。

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