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サフラン咲いた心

 部室のドアを見てみると、ドアノブのネジが緩んでいる。どこでもドアじゃなくて良かったね。いや緩んで良いドアノブなんて無い。
 プラスドライバーが部室にあったはず。しかし、プラスチック製のミニバスケットの中には入っていなかった。ゲーセンで取れる宝石なんかはここに入れているんだけどね。
「お探しのものはこれなん棚〜」
 語尾が「棚〜」のニトリの権化みたいなおおらかな友人は、ワオキツネザルの尻尾みたいな眉毛の先輩と肩を組みながら何かを差し出した。
 それはお湯で戻すタイプのタオルハンカチだった。よく見るとネジ穴にハマるように先端が捻じ曲げられている。そうだ、彼はお湯で戻したタオルハンカチを再度握力のみで固め直す一族だった。そんな彼にとって、プラスドライバーの創造など錬金術より容易いことだったのだ。
「ドアノブもタオルハンカチに変えておいたん棚〜」
 あいつが次期部長で決まりかな。現部長は電子辞書にブッカーをかけながらそう思ったと、後のインタビューで語っている。

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