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もう一つの藁人形

ネットでも良く見かける(気がする)間違った議論の形について。


「[デザインの英語] Strawman」
という記事を書いたのだが、Strawmanを使った表現にはもう一種類、Strawman fallacy、Strawman argumentと呼ばれるものがある。

こっちはある意見A に反論するためにAに似ているけど異なるBを批判することだ。日本語版のWikipediaから。

A:私は子どもが道路で遊ぶのは危険だと思う。
B:そうは思わない。なぜなら子どもが屋外で遊ぶのは良いことだからだ。A氏は子どもを一日中家に閉じ込めておけというが、果たしてそれは正しい子育てなのだろうか。

「子供が屋外で遊ぶのは良いことだ」と「子供が道路で遊ぶのは良いことだ」は違う主張だ。「(ある場所で)遊ぶのは良い」と「(その場所が)危険だ」も別の話。Aは「子どもを一日中家に閉じ込めておけ」とは言っていない。

BはAが「言っていないこと」を批判することで、Aの意見を否定した感じになっているが、実は論点がずれているので成立していない。

これをわざとやると完全な詭弁なのだが、そんなつもりがなくても人間は言外の意味を読み取ってしまう生き物だ。誰でも犯しやすいミスだと思う。気をつけよう(自分に言っている)。

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