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リスナーと共に遊び心を!『洋二と明石の無口な二人』【全国ラジオ特集 発売記念④】【無料記事】

※現在発売中の「別冊TV Bros.全国ラジオ特集powered by radiko」で掲載中の特集から、未公開トークや追加取材を交えた特集をお送りします。

『洋二と明石の無口な二人』(STVラジオ)は2018年4月にスタートして以来、すっかりSTVラジオの名物番組となった。木村洋二、明石英一郎のベテランアナウンサーコンビが正午からの15分間を賑やかに彩る。タイトルとは裏腹に1秒たりとも無駄にせずにキッチリと喋る二人に、番組を楽しくする秘訣をうかがった。

取材・文/やきそばかおる 撮影/ツダヒロキ

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マイペースすぎて生放送中に
オシッコに行ったまま帰ってこれなかった

――2018年にお二人のラジオが始まると知った時は、まさに“STVラジオの秘密兵器“の番組が登場したと思いました。

明石 そんなことないでしょう(笑)。STVラジオには他にも楽しい番組がたくさんありますよ。僕は今年で定年だし木村さんとも一歳違いだから、二人がいるスタジオは老人ホームみたいなもの。そのうち介護付き老人ホームになりますよ(笑)。

木村 お互いにマイペースなのは良いよね。ただ、マイペースすぎて生放送中にオシッコに行ったまま帰ってこれなかったことがあるの。1分半だったら帰ってくる自信があるわけよ。オシッコのキレが悪いわけではないので。ところが、こないだトイレに行っている間にニュースが早く終わってスタジオに間に合わなくてアシスタントの方につないでもらいました。

明石 確かにマイペースすぎると良くないね(笑)。テレビでは25年ぐらい一緒に出てたけど、二人だけで話す番組は今までなかったんだよね。

木村 そうそう。『無口な二人』は1回の放送が15分っていうところがいいよね。喋っている側からしても本当に心地が良い。もっと喋りたいと思ったこともないし。

明石 リズムが取りやすいんです。打ち合わせもしないからコストパフォーマンスも良い。本番前のやりとりとしては、ディレクターがプリントアウトしたメッセージを半分に分けて、お互いに「こういう内容のメールがあるけどいける?」って確認し合う程度。

――収録前に気分を高めることはありますか?

木村 何もないです。緊張感ゼロだし、無駄な努力はしないことにしてます(笑)。

明石 何十年もアナウンサーをやってるとスイッチが入っちゃいますからね。フィギュアスケート選手の羽生結弦さんみたいに本番前に集中させることもありません。

木村 ふらっと来てふらっと帰ってくる感じ。

――格好いい!

木村 格好よくないですよ(笑)。

明石 そのうち、来たことすら分からなくなるんじゃない? 朝ご飯を食べたかどうかも分からなくなるんじゃないかと思って。でも年齢を重ねていくうちに変わる部分があるのは仕方ないよね。お互いに考えてることはあんまり変わってないけど。

木村 それは成長してないっていうこと(笑)? でも、この話をしたら明石さんが食いついてくるっていうことは分かりますね。お互いに話が盛り上がるポイントを探っていくうちに収録が終わることはないですね。

明石 お笑いコンビだとボケとツッコミがハッキリと分かれてるけど、僕たちは役割分担をしているわけでもないから、内容に応じて変われるところもいいんです。


ラジオは若い喋り手をどんどん発掘していかないといけない


二人によると、番組を盛り上げるためにはリスナーに遊んでもらうことが重要。そのためにはパーソナリティーが遊ばないとダメだという。

明石 「これはやっちゃダメ」っていう決まりはないから、なんでもやればいいよ。昔、『アタックヤング』(※1)をやってた時は、若いパーソナリティーに上司が寄ってたかって「お前の放送は浅はかだ」って言ってたの。「何十歳も離れた人に、若い人に向けた深夜放送の何が分かるんだ」って思うよね。俺も同じようなことを言われてたし、言うのも嫌だから、若い人は好きにやればいいと思ってます。

木村 昔、僕が喋った言葉を文字に起こして、無駄な部分を先輩が赤ペンで消して「これだったら半分の時間で喋れるよ」って言われたの。自分では気が付かないから赤ペン先生は勉強になるんだよね。例えば「…というわけで」って言うと「どういうわけ?」って言われたりして(笑)。

明石 自分の喋りが贅肉のついたダボダボの状態だということが分かるの。今は二人とも喋りの贅肉はない方だけど、その代わり、言葉が全然出てこないんだよ。

木村 こればかりはどうしようもない(笑)。

明石 最近の風潮はアナウンサーが不必要に「いきます」をつけちゃうの。「見ていきます」「お伝えしていきます」って言うから「いきます」は要らないって思うの。「見ます」「お伝えします」でいいと思うけど、俺が気を付ければいいことだし、そういうことを若い人に言うと俺が嫌われちゃうから。ラジオは若い喋り手をどんどん発掘していかないといけないのに。

木村 話が面白ければいいんです。『無口な二人』はリスナーさんのほうも面白いから嬉しいよね。遊びすぎたネタは“つくりの間“(※2)に入れますが。

明石 作りネタでも面白かったらいいんです。中にはつくりの間に入れてもらうことを期待する人も多いから。

木村 よくできてる話は笑っちゃうからね。番組を聴いて気軽に送ってみてください。

明石 つくりの間に入れてもらうのはむしろ名誉なことかも(笑)。


※1 『アタックヤング』…’70年〜’16年放送。STVラジオで深夜に放送されていた人気番組。長い歴史の中で、松山千春、KAN、山崎まさよしもパーソナリティーを務めた。

※2 つくりの間…リスナーが創作したネタだと判定されると“つくりの間“と呼ばれるものに入れられてしまう。

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<プロフィール>
木村洋二(きむら・ようじ)●1959年山口県生まれ。1982年、STV入社。数々のラジオ番組のほか、『ズームイン!!朝!』(日本テレビ系)では北海道のリポーターとして活躍した。また、大泉洋との共演でドキュメントバラエティー『1×8いこうよ!』(STVテレビ)にも出演している。
明石英一郎(あかし・えいいちろう)●1960年北海道生まれ。1984年、STV入社。軽妙な語り口に加えて下ネタや放送禁止ギリギリのトークで注目を集め、『アタックヤング』、『うまいっしょクラブ』、『それ行け! オッサン大作戦』(いずれもSTVラジオ)などでパーソナリティーを務めた。

<番組情報>
『洋二と明石の無口な二人』
北海道・STVラジオ 毎週月~金曜 後0・00~0・15
出演 木村洋二 明石英一郎
●北海道のテレビ・ラジオ界を代表するベテランアナウンサーの木村と明石が、北海道や全国のどさん子たちにエールを送る番組。


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