見出し画像

「モネンシンフリー」

私はコスパと言う言葉があまり好きではない。

これまで焼肉店経営を通じ、狂牛病問題など様々な牛肉問題を経験して思うことは、産業革命以降の大量生産大量消費、少しでも価格が安いことのみを追求するコスパ至上主義文化が生み出した”生きとし生けるモノたちへの軽視”を止めていかなければ同様の問題はまた起こりうると言うこと。

狂牛病問題なども死んだ牛を骨ごと粉にした「肉骨粉」を牛の飼料に混ぜたことで牛の脳がスポンジ状になるという異常な病気を生み、その牛を食べた人間は同様に脳に異常をきたすという命への軽視が人間にそのまま帰ってくる非常にわかりやすい事象として世界的な社会問題に発展した。

命の軽視から生まれた新しい病気が食べものとなって人間の生命を脅かすというような問題は「持続可能性」という観点にも反すると私は思う

さらに論点はずれるけどドライエイジングという熟成法も私はあまり好きではない

脳みそが単純すぎるのでどうかお許しいただきたいのだが、”ドライエイジングをしてカビの生えた肉の表面を削って捨てる”という調理法や考え方がどうしても肌に合わないのだ。

その点では黒毛和牛に適した日本古来の「枯らし熟成」という熟成法は私の単純脳に合っている。”枯らし熟成”は枝肉のままじっくり肉全体の水分を抜くことで旨味を引き出すという技術で、もともと美味しい牛さんを自らが選び取り、最終段階で人間が少しだけ手を加えさらなる旨味を引き出すというシンプルな技法がベースとなっている(それでも牛さんのポテンシャルと屠畜後の水分量などから枯らし時間を見極めるという点では奥が深い)。良い飼料を食べて愛され育った牛さんを捨てることなく、余すことなく使い切れるこの熟成法が一番私の肌に合っている。

そんな中2頭目の美津照重の「枯らし熟成」が完了した。これから含気熟成期間に入り、お客様にご提供させていただくのは今月20日以降になりそうだ

画像1


今年から一頭買いさせていただいている四国随一の名人倉山様は、日本でも数少ない牛さんにモネンシンを与えない一貫生産農家様だ

画像2

モネンシンを体内に入れてない未経産黒毛和牛の脂質は枝肉の状態で触っても非常に"柔らかい"

画像3

これは不飽和脂肪酸(オレイン酸)値が高い証で本物と言われる和牛の脂質は例外なく柔らかく融点も低い。

和牛肥育の世界にもコスパ至上主義に振り回されない芯のある農家様がおられるのが私はとても嬉しい。

これからもずっとそのような農家様から和牛を購入させていただきたいと思う。



以下平成28年全日畜 松永様の記事より抜粋

〜今、ホルスタインの業界の肥育で80%以上モネンシンを入れています。交雑牛では50%を超えました。和牛でも30〜40%を多分超えています。このままいくと、輸入牛肉との格差がなくなってくるのではないかと、そこに僕は恐怖感を持っています。

それとあと1つ、モネンシンをやっている子牛を買ってきた場合、モネンシンを体から抜く作業をします。この抜く作業のときに、薬害だなというふうに僕は感じています。モネンシンをやった牛からモネンシンを抜くこと、イコール、ASKAとか清原の今の状態と一緒になってしまうのです。牛が体調を思い切り崩すのです。このモネンシンを僕は薬害だと思っています。

あと1つ。モネンシンをやった牛は、肉にちょっとした苦みがあります。舌の肥えた人でないとわからないぐらいの苦みですけれども、抗生物質イコール苦いのです。肉に微量だけどあるのだなと感じるときが時々あります。

それから3点目として、モネンシンをやった牛というのは飽和脂肪酸がふえてきます。不飽和脂肪酸の量が減ってきます。逆を言いますと、脂が固くなってくるのです。かちんかちんに固くなります。日本の和牛のよさというのは、不飽和脂肪酸が多くて、特にオレイン酸が多い、食べて体に悪くない脂が多いサシの入った肉というのが特徴だと思います。ところがその特徴を阻害するのがこのモネンシンではないかと思っています。輸入牛肉と国産の違いというのは、この辺もちょっと考えてもらいたいと思っています。〜

#いい肉
#旨い肉
#黒毛和牛
#枯らし熟成肉
#モネンシンフリー
#ツヨシ村上商店