初めてのラーメンをラーメン二郎で食べた話

仙台観光の帰り道、ラーメン二郎に行ってみた。


入店前のイメージ

毎週末、授業が終わって業務スーパーに買い出しに行くときにラーメン二郎の前を通っていた。常に10人以上並んでおり、20人のときもザラにあるためかなりの人気店であることは容易に分かる。しかし、他の飲食店にはない独自の厳しいルールがある噂を聞いていたため、ラーメンどころか外食にも慣れていない自分には当分縁のないお店だろうと思っていた。

なぜお店に入ろうと思ったのか?

いつも見かける行列が全くなかったのが一番の理由だ。お店の前を通るときは常に10人以上並んでいて大繁盛しているのをいつも横目に見ていた。しかしこの日お店の前を通った時間はたまたま並んでいる人がゼロで、このチャンスを無駄にしたくないという感情が湧き起こった。
しかも、一見さんお断りの怖いお店だと思い込んでいたラーメン二郎の中から、結構優しそうなお兄さんの声が聞こえてきて恐怖心が薄れた。

そんなわけで、事前に食べログやら食レポサイトで2時間くらいラーメン屋を調べてこの日入るお店の候補も2,3つまで絞っていたのだが、急遽予定を変更してラーメン二郎に入ることを決めた。

しかし、お店に入ろうと決めてもやっぱり入るのが怖い。10mくらい離れた道端で自転車にまたがったまま15分ほど二郎系ラーメンの特徴や注文方法、暗黙のルールについて調べたのち、ようやく自転車を置いてお店に入った。

食券購入時の失敗

ビクビクしているのを抑えて、今さっき勉強したとおりに食券購入の列に並ぶ。その時にはもう3,4人の列ができていたのだ。

財布には1万円札と少々の小銭がある。いざ食券を買おうと思い食券販売機に向かう。そうすると、食券を買う前に厨房の方から「お兄さん、何人?」と聞かれ、そのままラーメン小と麺普通ということも聞かれるがままに答えた。

そして再度食券機に向かう。その時、かすれていてよく見えないがお札挿入口のところに「1000円札のみ」と書いてあるかもしれないことに気が付いた。多分違うだろう、違っていてほしい、と思いながら1万円札を挿入口から入れると、1秒後にそのお札が吐き出された。そのときは絶望だった。まずい、食券は買っていないものの注文はすでに済ませてしまったしどうしようかと焦りに焦り、無言でお店を飛び出して隣のイオンで急いでお茶を買って、なんとかお金を崩す。お店の方にお願いすれば1000円札に両替してくださることは、ずっと後で知った。

お金を崩した後再び食券販売機の列に並びなおし、何とかラーメン小の食券を買う。その時にはもうお店の前に7,8人並んでいたから、その最後尾に並んでようやく一息つけた。
食券はてっきりペラペラの紙だと思っていたから、食券自販機から青いプラスチックのお札が出てきたときには驚いた。行列のおかげで、サイズやトッピングによって食券の形や色が違うのだろうかなどと思案する余裕もあった。

入店まで

行列に並んでいる間に一番若そうなお兄さんが改めて順番に注文を聞きに来てくれて、そこでもう一度自分の注文を伝えた。サイズの他に麺のかたさや汁の有無を聞かれると思うが、その時はまだ緊張状態が続いていた。勉強したときのサイトに「初心者はとりあえずラーメン小で他のトッピングはすべて普通を頼めばいい」と書いてあったため、若干パニック気味になりながらなんとかその通りに注文する。

入店後

「1名様お入りください!」と呼びかけられ店内に入る。外からはカウンターと丸椅子が置いてあることしか分からなかったため、リュックを背負ったまま食べる心の準備もして入店した。いざ入ってみると壁沿いに小さな段ボール箱が積まれていて、その上にお客さんたちの荷物が載っている。やや安心しながらそれに倣って荷物を置いて案内された席に座った。

店内は家でずっと聞いているTBS系のラジオが流れていて、全く知らない土地で同郷の人を見つけたときのようにかなり親しみを感じた。

3分ほど周りのお客さんや店員さんの様子をちらちら見ながら過ごしていると、ついに「小のお客さん、ニンニクどうしますか?」と聞かれた。二郎に行き慣れている人はそこで不思議な呪文を唱えて細かい注文をすると思うのだが、自分は「少な目でお願いします」とだけ答えて何とかやり過ごした。
あるブログには、このトッピング注文のときに店員さんの呼びかけに気付かず店長から怒られている人がいた、というエピソードが書いてあったためこのトッピング注文も怖がっていたのだが、実際は店員さんの方から自分を探してくれ、しかも分かりやすいようにこちらに向かって手を挙げて注文を聞いてくださった。一方的に怖がっていたのが申し訳ないほど親切でやさしかった。

実食

出来上がったラーメンが目の前に置かれ、いざ実食。小サイズであってもかなり量が多いことは予習済みだったため初めてラーメンを見たときにそこまで驚かなかった。それでも、あの量を目の前にすると一人で食べきれるだろうかという不安がよぎる。ニンニク少しのはずのラーメンの上に軽く大さじ1杯程度のニンニクがのっていて、どちらかというとそこに驚いた。

チャーシューは厚みがあるのにふわふわで食べやすく、もやしのシャキシャキ感と対照的で楽しく食べられる。背油が浮いて塩分も大量に入っているだろう濃厚なスープは、太くて食べ応えのある麵によく絡まり満足感を大きく向上させてくれる。ラーメンというよりも少し変わった中華うどんを食べている気分だった。二郎のラーメンが中毒性を持っていて、コアなファンがたくさんいることにものすごく納得する味だ。

笑顔があふれているといった雰囲気ではないが、一人で黙々と真剣に麺をすするお客さんがいて、そのお客さんの胃袋と心を必ず満たしてくれる、ある意味安心できるラーメン屋さんなのだろう。味だけでなく、店員さんの対応やお客さん同士の気配りし合える環境などお店の雰囲気もラーメン二郎が人気店である理由ではないかと勝手に思っている。

唯一の難点は、人気店だから長居しないために急いで食べないといけないことだ。特に食べるのが遅い自分は途中から、口いっぱい頬張った麺を何とか咀嚼して飲み込むことに全力を傾けていた。むしろ早食いすることもラーメン二郎の雰囲気の一つととらえて楽しめばいいとも思うものの、やはりあの美味しいラーメンをもう少し味わって食べておきたかったとやや後悔してる。

完食後

少し大きめの声で「ごちそうさまでした」と言うと、店主と思しき渋くて貫禄があってまだ僅かに怖さのあったお兄さんが、かなり忙しいはずなのに「はーい」と明るめの声で返してくださる。それでさらに自分のラーメン二郎に対する好感度が上がった。ややお高めだから定期的には食べられないが、また行っても良いなと思えるお店だった。

食べている間は熱さや量に意識が向いて気が付かなかったが、ニンニクの効果はやはり強烈だ。帰路ではニンニクの風味が口の中を完全に占領しており、口を閉じていても周りの人に気付かれないだろうかと少し心配するくらいだった。

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