見出し画像

【詩の森】598 僕の立ち位置

僕の立ち位置
 
どんなに優れた本でも
読み継がれなければ
やがて絶版になるだろう
どんなに重要な史実でも
語り継がれなければ
やがて忘れられてしまうだろう
そうして幾世代―――
正史以外の歴史のいくつかは
跡形もなくなるだろう
それが僕らの知る歴史なのだ
 
正史と私史―――
上から目線と下から目線
その違いは見え方を反転させることだろう
長い間僕は
教科書の正史を疑うことなく
信じてきた
そこに書かれていた通りに
自国を見他国を思っていたのだ
しかし
ほんとうはどうなのだろう
 
僕の立ち位置が
ぐらりと揺れたのは
一冊の本に出合ったからだ
関良基さんの
『赤松小三郎ともう一つの明治維新』である
赤松小三郎
それは初めて聞く名前だった
上田藩士だった彼は
1867年に普通選挙による議会政治を
建白していたという
 
世の中には
伝えられ報じられる情報以外にも
秘匿され埋もれた情報が
山ほどあると知ったいま
与えられた情報を
僕はもはや
鵜呑みにはできない
戦時中は大本営だけが情報源だった
今ではマスメディアの許認可権を
総務省が握っている
 
南西諸島の
自衛隊ミサイル基地建設を
あらかた完成するまで
マスコミが報じなかったのはなぜだろう
新型コロナワクチン接種後に
2000名を超える死亡者が出ているのに
だんまりを決め込んでいるのは
なぜだろう
情報はすでにコントロールされている
のではないだろうか
 
僕らの信じている
情報いかんで
僕らの立ち位置が決まるだろう
僕らはほんとうのことを
どこまで
知らされているのだろうか
特定秘密保護法施行から十年―――
それでなくても
為政者とは
隠したがるものなのだ
 
2024.2.1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?