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【詩の森】522 資本主義蓄財マラソン

資本主義蓄財マラソン
 
マラソンが終盤に差し掛かると
優勝候補は絞られ
トップ集団の中の誰かになるでしょう
長く伸びきった列の
後方にいる選手が挽回するには
もはや手遅れではないでしょうか
資本主義が生まれて500年
産業革命から200年
資本主義の蓄財レースも
もはや終盤を迎えているものと思われます
その証拠に超富裕層の資産は
小さな国家を凌ぐほどに膨らんでいます
 
2015年の時点で既に
トップ1%の資産は残り99%の資産を上回り
トップ62人の資産は下から36億人分と同じだ
というのですから驚きです
因みにトップ62人の資産総額は
約206兆円だったといいます
2023年の現時点では
その格差はコロナ禍の影響で
さらに拡大したことでしょう
何しろこの日本だけでも
ここ数年で100兆円を超えるお金が
動いたというのですから―――
 
資本主義蓄財マラソンの
トップランナーたちは
政治家や学者・NGOなどを引き入れ
今や結束して世界をリードしようとしています
それがWEF(世界経済フォーラム)です
その前身のヨーロッパ経営フォーラムは
1971年に経済学者の
クラウス・シュワブによって設立されました
そのミッションは世界の現状の改善に向けて
取り組むことだといわれています
しかし彼らの真の狙いは
世界統一市場からの収益でしょう
 
WEFの会員は
1000社を超える世界の一流企業です
彼らの共通点は新自由主義を信奉する
グローバリストたちだということでしょう
スイスのダボスで開かれる
年次総会(通称ダボス会議)には
会員企業の会長やCEO 国家元首クラスや閣内大臣
国際機関の長及び高官及び大使
NGO団体の代表者 メディアリーダー
学術機関やシンクタンクのリーダー
異なる信念を持つ宗教指導者など数千人が集結し
会議は非公開で行われます
 
WEFの31人の評議員の中には
創設者兼会長のクラウス・シュワブ氏を筆頭に
アル・ゴア氏や竹中平蔵氏などが名を連ねています
ゴア氏は米国の元副大統領でCO2温暖化説の仕掛け人
竹中氏は小泉政権下の郵政民営化の仕掛け人です
歴代のダボス会議の主なテーマは
「新しいヨーロッパ」(1989年)
「世界的な金融システムの改革」(1998年)
「ワクチンと予防接種のためのグローバル同盟」(2000年)
「世界男女格差の測定」(2005年)
「第四次産業革命センターネットワーク」(2016年)
などとなっています
 
そして2020年6月の総会では
コロナ禍以後の世界を見据え
2021年の第50回年次総会のテーマを
ザ・グレート・リセットとすることに決めたのです
ザ・グレート・リセットとは何のことでしょうか
彼らの説明によれば
社会のひずみを解消するために
第二次世界大戦以降に作られたあらゆる仕組みを
一旦リセットすることだそうです
それを財力にものいわせてということなのでしょう
しかし恐ろしいことに彼らにあるのは
経済的な視点だけなのです
 
僕はリセットという言葉に
とても違和感を覚えます
そして新自由主義の凶暴さを暴露した
ナオミ・クライン女史の著書
『ショック・ドクトリン』を思わずにはいられないのです
クライン女史は同著の中で
経済学者のミルトン・フリードマンを痛烈に批判しています
彼の主張は徹底した市場原理主義で
「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」
というものなのです
これこそが彼女が現代の最も危険な思想とみなす
ショック・ドクトリンなのです
 
彼女は具体的な実例をあげて
ショック・ドクトリンを検証しています
それを一言でいえば
危機的状況を利用し(あるいは意図的に演出し)
予め綿密に練られた計画をもとに
改革を断行するという手法のことです
人々が災害や事故・事件などで恐怖に慄き
呆然自失となっている間に速やかに事を運びます
混乱に乗じてという点では
まさに『火事場泥棒』ではないでしょうか
クライン女史が批判したのが
人権無視・経済優先のこのやり方なのです
 
ダボス会議はコロナ禍の影響で2021年は延期
2022年はオンライン開催となりました
しかし2020年7月にクラウス・シュワブは
『COVID-19:ザ・グレート・リセット』を出版し
ザ・グレート・リセットの動きを加速させていたのです
この本で彼は
コロナ禍によって経済は壊れ
格差は拡大し失業者は増え
巨大で非効率な政府はそれに対処できずにいる
と主張しています
さらにコロナ禍が追い風となってIT産業が増々巨大化し
米中対立が激化したとも分析しています
 
彼の主張によれば
非効率な政府に代わって今後必要になるのが
『敏捷な統治』というわけです
しかしこの『敏捷な統治』という概念は
新型コロナが発覚する約2年前に
『敏捷な統治 第4次産業革命において政策立案を再形成する』
という論文で既に示されていたのです
何だか奇妙ではありませんか
パンデミックへの対応の不手際が露見して
『敏捷な統治』という概念が生まれたわけではないのです
パンデミックもザ・グレート・リセットも『敏捷な統治』も
全てシナリオなのではないでしょうか
 
あるシンクタンクの研究員によると
「ザ・グレート・リセット」の目標は
資本主義と民主主義をリセットし
全体主義的な高度管理社会へ移行することだといいます
その最初の段階として
アメリカの混乱に乗じて高度管理社会導入への一歩を進め
さらに現行の金融システムをリセットするために
金融崩壊すら演出しかねないというのです
パンデミックは一部では
計画されたという意味のプランデミックと揶揄されています
COVID-19もザ・グレート・リセットも
世界規模のショック・ドクトリンかもしれないのです
 
超富裕層がめざす高度管理社会とは
現在のトップランナーたちがそのまま
絶対的権力者として居座り続ける社会のことでしょう
そこでは自由も平等も必要ないかもしれません
『敏捷な統治』の内容も技術的なもので
[ビッグデータ,AI,ロボット
そしてブロックチェーンなどの
先端的なITテクノロジーを徹底的に駆使して,
社会問題が発生する前にそれらを予期し、
事前に対処してしまう体制のことだ」といわれています
そんな世界から人々の団欒の声が
はたして聞こえてくるのでしょうか
 
『ダボス会議』と検索すれば
世界の政財界のリーダーが集う会議として紹介されるでしょう
しかしこの二つリーダーは大いに異なります
現職の政治家が民意によって選ばれるのに対し
財界人は民意とは無関係だからです
ダボス会議の参加者の大半は財界の人たちです
そこに彼らの眼鏡に適った政治家や学者だけが
招待されているのでしょう
オンライン開催となったアジェンダ2022では
岸田首相も参加し特別講演を行っています
危ういことにWEFの激流に
日本も既に飲み込まれているのです
 
2023.7.16
 
 

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