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【詩の森】616 人と個人

人と個人
 
人と個人はどう違うのだろう
そんなことを考えたのは
2012年に出された
自民党の改憲草案を読んだからだ
そこでは個人は全て人に置き換えられている
人も個人も同じなんて思ってはいけない
同じなら
変える必要はないのだから―――
 
人とは群れとしての人のことだ
あるいは従う人といってもいい
それに対して個人は独りの人である
肯わぬ人といってもいい
これまで日本憲法の中核には
個人の尊厳が据えられてきた
それを人としての括りに
すげ替えようというのだ
 
例えていえば
千と千尋の神隠しのカオナシのように
人々の顔がなくなるのだ
それはどんな社会だろうか
この改憲草案は
長らく統治者だった自民党の本音なのだろう
徹頭徹尾
統治のし易さを狙ってのことなのだ
 
人が群れるのは
従うだけの意志しかないからだ
羊は群れの先頭が崖から落ちても
後続の羊たちは怯まずそれに続くという
しかし僕らは羊ではない
個人とは国策に対してもNO!といえる人のことだ
この国では人を個人にさせない教育が
延々と続けられている―――
 
人と個人はどう違うのだろう
そんなことを考えたのは
自民党の改憲草案が
あまりに酷かったからだ
肯わぬ者たちにとことん冷酷な社会
この国は人々の幸せなど望んではいない
憲法改正は
その総仕上げなのである―――
 
2024.4.3

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