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詩の森

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週に一回くらいのペースで、自作の詩を発表していきたいと思います。俳の森をさ迷っているうちに、いつしか、詩の森に紛れ込んでしまいました。
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2022年1月の記事一覧

【詩の森】火を粗末にすると

火を粗末にすると トルストイ民話集に 火を粗末にすると―――消せなくなる という話がある 隣…

【詩の森】お母さんの仕事

お母さんの仕事 玄関を出たところで お母さんが 隣のおばさんと立ち話をしている どうやら彼こ…

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【詩の森】あの頃

あの頃 僕がまだ サラリーマンだった頃 僕のこころは いつも予定で一杯だった 寝る前には必ず …

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【詩の森】愛しくて

愛しくて 目の前のその花が 愛しくて仕方ないから 人は絵筆を 走らせるのだろう 相手が人なら …

【詩の森】見えないデモ行進

見えないデモ行進 北の海で 30年以上も前から 海水温を測り続けている人がいる 泊原発ができ…

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【詩の森】コノ上何ヲ

コノ上何ヲ コノ上何ヲ望ムノダロウ モウ充分デハナイノカ コノ星デハ 人間ガ 瞬ク間ニ増殖シ …

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【詩の森】あいさつ

あいさつ 山の端に昇る 朝日をみながら 一人がおはようという (まだこんなに早いんですね) すると隣の人も 同じ朝日をみながら おはようという (そうですね、まだこんなに) それが 日本語のおはようの意味だと 金谷武洋さんが 『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』 のなかで書いている おはようは 共感のことば・・・ それで はたと気づいたのだ 俳句も 同じじゃないかと・・・ 旅の途中で芭蕉さんが ふと足を止めてつぶやく 山路来て何やらゆかしすみれ草 遥かに時を隔て

【詩の森】詩がうまれるとき

詩がうまれるとき まるで出口を捜すかのように 無数のことばたちが 蠢めき・明滅する やがて …

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【詩の森】私というもの

私というもの 春と修羅の序文で 賢治は わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひと…

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【詩の森】ラブレター

ラブレター わたしは鳥がすきです わたしは花がすきです わたしは長い間思っていました すきに…

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【詩の森】歩く人Ⅱ

歩く人Ⅱ 今日したいことが 今日しなければならないことに 変わっただけで 人生は苦痛です あ…

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【詩の森】お帰りなさい

お帰りなさい 定年前の5年ほどは パソコン相手の仕事だった ほとんど 無駄口もきかず 今から…

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【詩の森】蛍の記憶

蛍の記憶 わたしのなかに 一枚の写真のような ワンシーンだけの記憶がある 蛍が飛び交うさまを…

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【詩の森】郷愁

郷愁 写真家の星野道夫さんが イニュニックというエッセイで こんなことを書いている 自分の祖先がもし一列に並んだら 弥生時代の祖先はわずか七八十人先 つまり 少し目を凝らせば 顔も見える程の距離が にんげんの歴史だというのだ わたしは 熱心な仏教徒ではないが それでも このいのちの繋がりを 信じることができる いのちは 循環 だと思う 遡れば 何処かで繫がってしまう にんげんのいのち そのにんげんどうしが 何故いがみ合うのだろう わたしはどうしようもなく わたしだ けれど