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詩の森

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週に一回くらいのペースで、自作の詩を発表していきたいと思います。俳の森をさ迷っているうちに、いつしか、詩の森に紛れ込んでしまいました。
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2021年12月の記事一覧

【詩の森】眼

眼 三岸節子という画家の 花の絵が好きである 何故だか分からない だがいつ観ても この好きと…

【詩の森】手探りで

手探りで 闇のなかに 一際明るい場所がある 激しい音楽が聞こえてくる 狂ったような歌声も聞…

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【詩の森】立てる像

立てる像 松本俊介という画家に 立てる像という絵がある 長身の青年が コンパスのように脚を広…

【詩の森】戦争なんてものは

戦争なんてものは 亡くなった永六輔さんが 生前 『戦争なんてものは ただ反対してりゃいいんだ…

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【詩の森】だいたいそんな順番で

だいたいそんな順番で 夏の朝 まだ暗い内から啼きだすのは 我が家の燕です いま抱卵の最中です…

【詩の森】モリカズの蟻

モリカズの蟻 豊島区の 熊谷守一美術館の壁面に 九匹の蟻の絵が描かれている モリカズが長い凝…

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【詩の森】脆弱なからだ

脆弱なからだ 戦うためには わたしたちのからだは あまりにも脆弱です 固いものに傷つきやすく 一匹の蚊の攻撃にすら 閉口します ましてや棘が 刺さっただけで――― 戦うためには わたしたちのからだは あまりにも脆弱です 叩けば手のひらは痛いし ぐるぐる回れば 眼をまわす 裸足で道を歩くなんて とてもとても――― そのかわり 握手をすれば温もりを伝えあい 抱き合えばやさしさを 伝えあう 戦うには不便だが 愛しあうにはもってこい わたしたちのからだは そんなふうにできていま

【詩の森】空気と水と食べ物と

空気と水と食べ物と わたしたちが 完全に失くしたもの それは 安心して吸える空気 安心して飲…

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【詩の森】いただきます

いただきます 森のイスキアの 佐藤初女さんは 食べるということは いのちのうつしかえをするこ…

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【詩の森】わたしは病気

わたしは病気 わたしはやっと分かりました わたしが病気だってこと その病気は いまも進行中だ…

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【詩の森】生かされて

生かされて 今日は立春 真っ赤なクレヨンのような 朝日を拝む 雲を染め上げた日矢が そのまま…

【詩の森】最先端で

最先端で小貝川の土手にあがると 川べりの川柳の枝に 小さな鳥影が見えた 急いで双眼鏡を取り…

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【詩の森】両詔権(りょうしょうけん)

両詔権(りょうしょうけん)兵馬俑展を見た 等身大の俑も圧巻だったが とりわけ両詔権に惹かれ…

【詩の森】ホントとウソ

ホントとウソAという情報がある Bという情報がある すると わたしたちは どちらかがホントでどちらかが ウソだと考えてしまう しかし 二者択一ではないのだ わたしたちの知らないところに Eという情報があるのかも 知れない Aという情報がある Aという情報ばかりがある すると わたしたちは みんなが言っているのだから Aはホントではないかと と思ってしまう なぜ BもEもあるはずだと 思わないのだろう 大切なのはできるだけたくさんの 情報チャネルをもつことではないだろう