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古いリールを買った(ダイワ UL7)

 古のリールと現代のリールの違いを愉しむという遊びが、1-2年前からマイブームとなっている。渓流で愛用中のミッチェル308や、ワカサギ釣りに使っているシマノ・デミあたりもそんな経緯で手に入れたものだが、これが意外と普通以上に使える。スペックでは敵わないが、フィーリングや使い勝手なんかはむしろ新型よりも優れている部分が確かにあるのだ。

 さて先日、「ダイワ UL7」というスピニングリールが某フリマサイトに出品されているのを見つけた。見た目はなかなかに渋く、黒のボディに金のスプールという、アメリカ産のタフなあのリールを何となく想像させるカラーリング。ちょっと気になったので調べてみると、自重約150 gの超小型リールで、今で言うところの500番~1000番くらいに当る。これだったらメバリングや渓流に使えそうなので「気になるリスト」に入れておいたところ、2700円まで価格が下がっていたので程なく購入に至った。


見た目や重さなど

 まずは、えらい小さいなあ、という印象。僕の持っているスピニングの中で一番小さいカルディアLT2000S-Hと比べてもこんなサイズ感。

小さい。
やっぱり小さい。

 アウトスプールタイプの内蹴り式スピニング、と書けば今どきのリールと変わらない気もするが、艶消しブラックのボディにぴかぴかと目立つ金色のスプールは、やっぱりオールドのペンリールっぽさがある。

Hi-SPEED?かはさておき、graphite (=カーボン?)製だから軽いのかも。

  ボディの後ろにストッパー(アンチリバース)のON/OFFレバーがある。これはONにして巻くとカリカリ音がするタイプ。

ON/OFFレバー。

 ローエンド品にありがちな共回り式の折りたたみハンドルだが、思ったよりもガタはない。ノブもつまみやすいが、軸がカシメて(あるいは圧入?)あるので、ノブを交換することは出来ない。仮に出来たとしても誰もやんないだろうけど。

ハンドル一式。

 ラインローラーは昨今見かけないタイプ。回転式なのだが、今どきのベアリング入りのものよりは回転が少し重め。回るのは回るので実用上は問題なさそうだ。ベールアームは2 mmの金属製ワイヤになっている

「これでええやろ」的にシンプルなベール周り。

 ラインローラー部分を開けてみる。メッキ(硬質クロム?)のローラー内部にはポリアセタールっぽい樹脂性のブッシュスリーブが入っている。少々薄いのが気になるが、この番手では高負荷な釣りはしないと思うので、まあ軽くて実用的だと思う。錆にも強いだろうしね。

ラインローラー内はブッシュが入っている。

 スプールに記載の糸巻量は以下の通り。

   0.16 mm (ナイロン1号)/175 m
   0.20 mm (ナイロン1.5号)/100m
   0.22 mm (ナイロン1.75号)/80 m

anodized=アルマイト?メッキ。

 現代では糸の強度も上がっているので、実際に使うのは1号以下になるだろう。少し下巻きが必要になるかもしれない。

 重さは実測で154.09 g。グリスの多寡で変わってくるが、前情報どおり約150 gといったところ。

軽い。

 重量だけ見たらヴァンキッシュやエアリティなんかの500-1000番と結構いい勝負じゃない?というか現行のハイエンドリールとスペックで勝負できるって普通にすごい。おそらくこの軽さは、シンプルな構造ゆえの部品点数の少なさから来ていると考えられる。

 なお、正確な製造年は不明だが、海外サイトで「Daiwa UL7みたいなちっさい機種は今無いの?」といった感じの書き込みが2003年付けで掲載されていたので、少なくとも2003年以前に輸出用として製造されたものだと考えられる。本来はブルーギル用か?

台湾(中華民国)製である。

使用感

 ※前提として、渓流での使用を想定。

嫌だったところ

 まず、思ったよりフェザリングし難いのがイヤです。リール自体が小さいのでフットとスプールの距離はそこそこ近い。しかし、スプールが重いせいかリール自体の重心がかなり前に寄っており、実際に使用してみるとスプールエッジがやや遠く感じた。私は手が小さいので尚更。

フェザリング出来てそうだが結構ギリギリ。余裕はない。

 また、ローターブレーキ非搭載なので、ベールを上げるとローターが自由に動く。これもフェザリングに悪影響を与えていて、投げるとかなりの確率でベールが回ってアームが上を向き、フェザリングの邪魔をする。 

 リール自体が軽いので期待していたが、使った感じはそうでもない。これも多分リールの重心バランスが悪いせいだと思う。150 gというより200 gくらいの重さに感じる。

 あと、スプール径が小さい(30 mmくらい)ので予想していたが、想像以上に巻取り量が少ない。アップクロスに投げるとちょっと忙しすぎる。早巻き時はカチャカチャした感じで、リールのチープ感を存分に感じてしまうのも辛いところ。一応入魂出来たけど、ダウンで引いている時のヒットだった。着水時にヒットした場合はまずフッキングが間に合わない。

渓流で釣りは出来るが、やりづらい。苦労してなんとか釣った10 cm程度のヤマメ。

 最後に、リールフットが短すぎるのでLクラスの竿でも前後にガタつく。UL, SULでもちょっと小さすぎるのでは・・・。この点はリールフットカバーとやらを付ければ解消できそうなので、まあそこまで大きな問題にはならない気がする。

※2023年7月13日追記
 シリコンフットカバーも大きすぎたので、結局ビニールテープを巻いてフットを太らせた。不格好だがしっかりとリールシートに固定できるし、安上がり。はじめからこうすれば良かった。

見た目は悪いが実用性はアップ。黒いテープにすればよかったのだが手元に無かったので。

良かったところ

 ナイロン3 lbを使用していたが、糸ヨレの無さは今まで使ってきたリールの中でもかなり優秀な方だと思う。糸ヨレ防止機構なんか何も入っとらんので、ラインがボワッと飛び出やしないか少々ビクつきながら使っていたが、3時間程度使っても大きなトラブルは起きていない。途中でピョン吉も無かったのは結構すごいんじゃないか。スピンキャストリールのようにスプール自体が短いのが利いていて、糸崩れが起きにくいのだろう。の割に、キャスト時にスプールエッジと糸が当たる感覚はあまり感じない。快適。

 あと、最近のリールと比べてベール返しが軽い。川でも海でもハンドルを回してベールを返すクセのある私にとって、ここは非常に重要なスペックだと思うのだが、「グジッ」といった感じで摩擦感の強い不快なベール返しをするリールが最近は多いので、それと比べればUL7はかなり好印象。もちろんインスプールには負けるが、UL7はかなり良い部類だと思う。ただ、フェザリングが悪いので台無し。結局フェザリングもベール返しも、左手でやった方が確実なんだよね・・・。

おわりに

 一番気になっていたライントラブルはそこまで起きなかった。聞いたところによると昔の国産リールは「ライントラブル連発」らしいが、そんな風には思わなかったなあ。これを機に他の古いリールも試してみようかと思っている。ベール返しの軽さなんかは今よりも快適だし。

 ただ、渓流ではちょっと使いづらい印象だった。特にフェザリングや振り感、巻取り量が致命的。なのでこういった部分があまり要求されないアジング・メバリングあたりにガシガシ使って行こうかと考え中である。色がなんとなく海っぽいのに加えて、全バラも楽ちんなので洗いやすいからね。ナイロン1号を170 mミッチリ巻いておけば、仮にシーバスとかの大物がかかってもドラグでいなしながら何とかなるんじゃあないかなあと思っている。まあシーバス釣ったことないから妄想に過ぎないんだけど。



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