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女好きの分類

周囲に腐女子がいる。
残念ながら私にその才はない。
いつかは開花しないものかと何十年も待っていたが、その機会には恵まれず一生を終えそうである。

なにしろセンスが皆無なので、理解できない文法によく当たる。
その際にはいにしえの「どちて坊や」と化して理解できるまで質問しまくるのだが(よく付き合ってくれるものだと思う)、最近わからなかった「どうして原作では女好きの人物が男好きに変換されて二次創作されるのか」は釈然としなかったため、男性における女好きの分類について少し考えてみたい。

友人が言うには「女好きということは性欲が強い。性欲が強い男は、究極的には男女を問わない」。
私はこれが納得できなかった。
いわばこれは「自分以外の人間をすべて雌にしてしまう」範馬勇次郎タイプではないだろうか? まあ、範馬勇次郎はああ見えて(どう?)性欲の権化ではなく、意外と理性を持ったジェントルマンなので「性欲が強いから」だけとはいえないが、「他者を圧倒し、自分という一個の雄を唯一のものとして確立するための手段」として、その他すべてが雌になるという点においては、動機は異なるものの、到達点は同じといえる。
私の疑問は「女好きはこの1タイプのみではないのでは?」ということだ。
たとえば、『ワンピース』のサンジは違うタイプに見える。
最近読んだこちらの漫画には「重度の女好き」の男性がセラピストとして登場する。彼らはとにかく老若問わず女という存在が好きで好きで仕方がないのだ。おそらく彼らは男性相手には何の反応もしないだろう。白髪の女性の相手もしたという伝説の女たらし・在原業平タイプといえよう。サンジはこのタイプではないだろうか?
上記2つは「他者に対しての動機」が行動=女好きを決定してるタイプだが、全く異なるケースもあるだろう。それは、「快楽そのものに弱い」というパターン。
一応、性的興味の軸は女性に主を置いている(というか、スタートがそこ)のだが、快楽そのものが好きなので、男性相手でも「一向に構わん!」というカサノヴァタイプ。この手の人は、もともと男性相手への性的指向自体それほどハードルが高くはないのかもしれない。後天的にバイになれる予備軍とでもいおうか。柔軟であるともいえる。大学時代の友人に、女好きではあるのだが同性への距離がやたらと近い男がいた。ボディタッチが多すぎて周囲の男どもは辟易していたものである。
これら3つとは別に、本人自身には何も動機がない場合もあると思う。それは「天性の女たらし」とでもいうタイプである。いわゆる「魔性の~」とかつくような人間で、本人自身に強力な動機があるわけではないが、とにかく顔がいい・あたりがいい・人間的魅力がある、といった具合で人を惹きつける、モテてしまう。同時に「人たらし」であることも多いので、集まるのに男女は問わなかったりする。ゆうたら光源氏ですか? ほかにいい例が思いつかないw これは人によってヘテロだったり、ゲイだったり、バイだったりするだろう。ケースバイケースである。

さて、単純に「女好き」といっても少なくともこの4タイプがあると思う。「性欲が強いから男相手でも」というのは、範馬勇次郎タイプか、カサノヴァタイプに該当する。これら2つであれば、原作で特に男性に興味を示していなくても、男性に性的興味が沸く可能性があるだろう。まとめてしまえば、「性豪」だからだ。
そして「女たらし」≠「性豪」だ。
在原業平タイプは、男性に性的嗜好が向くことはないだろう。相当乱暴でエグい設定をブチ込めばどうかわからないが、それはさすがにキャラ崩壊かどうかという話になってしまう。
光源氏タイプは、原作のなかでほのめかす、あるいはそうと判断できるホモソーシャリティを発揮していれば、可能性はある。
まったくの捏造である二次創作において、そのキャラの解釈として行うのであれば、範馬勇次郎タイプか、カサノヴァタイプという根拠が求められるのではないだろうか?

まあ、そもそもが捏造だから別に関係なくてもいいんだけど。ただ、女好きのキャラ(男)の二次創作として、異性愛者である女性創作者が
 女と恋愛させる→まあ、わかる
 男と恋愛させる→なんで?
「なんで?」の理由として「性欲が強いから」という一応原作準拠であるかのような解釈がされているとは思わなかったので……。
異性である恋愛対象を同性に置き換える手法として、どういった心理背景を想定しているのか、定番の二次設定的なものがあると思っていた。すなわち、お約束、といったものが。個々人の性癖というには、あまりに多い現象だったもので。

ちなみに、自分は腐センスを持ち合わせないので、異性愛者のキャラを同性愛者にした二次創作は基本思いつかないのだが、それでも他人の二次創作として目にする場合にはキャラを上記4つのどれかに分類して「ありうるな」「ないだろうな」と思いつつ読んでいるような気がする。


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