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雨の西麻布事実上のとんねるずヒットソング一作目(後編)

コミックソングに分類される
「一気」
「青年の主張」
に続いてリリースされた
「雨の西麻布」
男と女の別れ模様をうたったムード歌謡は、
オリコン最高順位5位、ザ・ベストテン2位、
そして歌のトップテンでは第1位を記録した。
ヒットの要因は
「とんねるず人気」
「夕ニャン人気」
「おニャン子人気」
という勢いはもちろんだが、
純粋に作品としてヒットさせた陣営に軍配が上がる。
とんねるずだからこうしよう、
ここお笑いにして…
ふたりのキャラからして…
と作られたのが「一気」であり「青年の主張」だったのに対し、
この曲は作品の中に笑いを入れず、それでいてとんねるずが歌うことで笑いが入る。
とんねるずの代名詞である「パロディ力」が最大に発揮された作品。
その後、「みなさんのおかげでした」でスターへの道を躍進するとんねるず。
「みなさん」の中のコントは
「仮面ライダー」のパロディの「仮面ノリダー」をはじめパロディ満載。
懐かしドラマや人気ドラマ、
時には「みなさん」終了5分後からオンエアされる
木曜10時から放送のドラマのパロディなんかも平気でやる。
この
「とんねるず=パロディ」がメジャーとして確立したのが
「雨の西麻布」であろう。
この曲がヒットした背景
・カラオケがまだスナック主流の時代。「銀座の恋の物語」、「居酒屋」に代わるデュエットソングを探していた層にはまる⇒有線大賞最優秀新人賞を受賞する
・バックコーラスにクールファイブを起用
お笑いが演歌を歌う。
お笑いがデュエットを歌う。
というパロディなのに、作品のクオリティは高く認められる。
ただこの曲。
よーく考えたらマジメな曲だとか「初めて演歌の心を知りました」じゃないんですよね。
そもそもデュエット。
男と女の恋の歌なのに、歌うのは男二人。
木梨が女役を演じて歌う。
今の時代ならいろいろ言われるかもしれないが当時はそういうのもなく、
しかも女性役の木梨の歌唱力が高く、そこをツッコむカラオケ&有線層がいなかった。
後日談であちこちに書かれているが、そもそもこの曲は全部真面目に歌おうと思ったが、どこかにとんねるずらしさを・・・

OPの「マンボー」

ラストの
「双子のリリース」
という真面目なデュエットではありえないフレーズを入れた。
でもきっと、当時のカラオケスナックでは、おっさんとホステスが
二本指を出して
「双子のリリース」
と真面目に歌ったのであろう。
コメディ、パロディの原則として
相手を笑わすために自分が笑ってはいけない。
いかにマジメに真剣にやるところを見せて笑いになるのが勝ちである。
それによってレコードが売れ、有線でもリクエストが大方t。
しかし、ただ真面目に歌います、だけがパロディだったらここまでとんねるずはブレイクしなかった。
真面目な曲です。なのに・・・というパフォーマンスを音楽番組で期待される。
「一気」のオールナイトフジカメラ壊し事件以降、とんねるずが出ると何かが起こる!と視聴者もそしてテレビ局も、それを期待する。
それがベストテンの公開生放送での「お前ら最低だ!」であったり
賞レースでのパフォーマンスだったりした。
そして演歌なのに、奇抜な衣装やおかしなパフォーマンスをするたびに
「まじめに歌ってください」
と新聞の投書欄に送られる。
SNSのない時代。今なら秒速で潰されただろうな。
しかし「まじめに・・・」って、コメディアンなのに。
ってところも含め、歌手とんねるずの存在がさらに引き立っていく。
そんな時代背景も含め、「雨の西麻布」はコンプラのない時代にヒットした。
そしてこのヒットでさらに勢いに乗り、
「パロディソング」を作り続けるのだ。

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