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聖闘士星矢とわたし その2

その1のつづきです。

順調に始まったかに見えた星矢ライフですが、まもなくいきなり最大のピンチを迎えます。
前回、「新生ペガサスの聖衣装着! 戦闘(バトル)準備完了だ!!」で始まる4巻を買ったツナ缶ちゃん、当然次は3巻買いますよね。買いました。そこには一体何が!? そう、チビッ子大興奮、星矢最凶のスプラッタ・シーン、よかろうウルフ!お前に本当の地獄を見せてやろう!うぎゃああー!のやつです。「カモーン幻魔拳!腕アンド足!臓物!アーンド生首!パーフェクト!」…とアニメ版で那智が言ったかどうか、この時期はまだ見てなかったので知る由もありませんが、こいつは北斗神拳も目じゃねえぜ!と完全にハッスルしてしまったツナ缶ちゃん。お絵描き大好きなのもあって、聖闘士たちを片っ端からグチャグチャに破壊する絵を描きまくりました。
手足ブチィ! 内臓ドバァ! 骨バキバキ! 脳グチャァ! 目玉グリン! 被害者が聖闘士だけならまだ良かったのかもしれません。しかしツナ缶ちゃんの中の不死鳥はその餌食を他作品にも求め、えっその子はちょっと…と思うような漫画やアニメのキャラクターたちまで地獄を見ることになります。
こうして広がり続けるオリジナル幻魔拳ワールドは、当然ながら親の目に触れ、元凶である聖闘士星矢は我が家においてわずか半年ほどで閲覧禁止図書となったのでした。同時期、ザ・モモタロウも一部下ネタが不興を買い没収されています。
実際のところ、閲覧禁止は短期間でなし崩しに効力を失い大したダメージはなかったのですが、エログロはすべからく人目から隠すべし、という大事なリテラシーを身に着けた出来事でした。
こうして悪いことも教えてくれた星矢ですが、同時に児童への教育的効果にも間違いなく素晴らしいものがあったと断言できます。原子、ビッグバン、マッハ、絶対零度、いわば、逆鱗、瀑布、ナルシスト、フェミニスト、黄泉比良坂、阿頼耶識、その他ギリシア神話の知識や、必殺技に使われている数々の英単語たち…全ては星矢でお勉強させてもらいました。

しかし親は気づいていなかったのです。小学校低学年から隠すべきものは、幻魔拳なんかよりもっと他にあったということに…
つづく。

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