湯船に浸かったとき、ふやけた肌が消しゴムのカスみたいなグレーの塊になってまとわりつくのが嫌だった。水に濡れているから消しゴムのカスは身体をの上をまとわりつき転がりながらヌルヌル落ちて行って、そのまま足首からちゃんと地面まで伝って排水溝に流れたのか、それともどこか肌の凹凸で行き止まりを食らって路駐してるのか分からない不確定さにモヤモヤするのも気持ち悪い。(洗顔と石鹸で身体を綺麗に洗った後にリンスを洗い落として身体中に薄い油の皮膜のようなものを纏わせてしまって気持ち悪いのとよく似ている)

消しゴムのカスが出やすいのは首元、腕だ。日焼け止めを欠かさず塗る体の箇所だと気づいた。そうか私が落としているのは日焼けしないように守っていた偽物の皮膚かもしれない。紫外線吸収剤と油と少しの皮膚を洗い落としていると考えたら気持ち悪くなくなった。私は毎日脱皮をしていた。古くなった自分の肌とはまた別のものを脱ぎ落としている。そうすれば自分を削って肌の塊を剥がしているわけではないと思える。脱ぎ落としているだけだ。服みたいにストンと体から切り離して床に落として脱皮する。服みたいに脱ぎたいときに脱いでいる。ただ皮膚を濡らしたら何かポロポロ出ているから仕方なく全て落とすのではなく、自分の意思で脱いでいると思える。スッキリした。

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