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染めて編む*PETTY HARBOUR

1月初めのこと。
夫へ靴下を編む為に、青い糸を染めました。
彼にとって、これが初めての手編み靴下を履く機会となります。

何度も、履く?編もうか?と尋ねてはいたのですが、夫はアトピー性皮膚炎。
毛糸の靴下といういかにもチクチク、カユカユといった言葉のイメージから首を縦に振れない様でした。
何度かセーターや小物を編んだこともあるのですが、続けて着られているのはセーター1着のみの人なので、「履けるかわからないから勿体無い、自分のを編んだほうが良いよ」と、やんわり抵抗され続け履いてもらう事は叶わずにきてしまいました。

それが昨年末に諦め半分ながら
「試作をしたいし大きいサイズでも編んでみたいのだけど、せっかく編むなら使ってもらいたいんだよね。やっぱり履くの嫌かな?もちろん皮膚が荒れるようならその時点で履かなくていいんだけど。」
と話してみると、
「じゃあ、青い靴下がいいなぁ」
といった感じでさらりと了承の返事が返ってきました。
あらら、どうした心境の変化かしら?
この5年間毛糸に埋もれ、毛糸の良い話ばかりする私を見つづけて、少しは気になってきたのですかね。
履いてくれるならそれはもちろん嬉しいので、好きな色に染めますし編みますよ。

青なら任せて下さいな!
どうせ単色が好みなんでしょ、分かってますって。
派手さのあるものは嫌がられてしまうので、編み地が単色に見えるような染めにしました。
一見すると、濃淡の違いだけかな?と思われそうですが、赤や緑、黄色などのたくさんの色つぶが加わっています。

夫もかなりこの色合いを気に入ってくれました。
青い糸はかなり沢山染めているのですが、今までのものとも違ったタイプのものに仕上がったので、私としても非常に満足な色です。

糸が出来たのでパターンをRavelryで探しました。
男性用ですから透かし模様などの綺麗めなデザインは除外して、シンプルな編み地を探します。
すぐに同じような青い色の糸で編まれたサンプル作品が目に止まりました。

Rayna Curtisさんの「Petty Harbour」です。
嬉しいFreeパターン!
ユニセックスなシンプルデザインに基本的な編み方。
人気上位で出てきたのも納得です。
同色サンプルでイメージが湧きやすかったのか、夫もこちらで即OKでした。
足サイズも測ってありますがパターン通りで問題なく履けそうなので、一番大きなサイズをそのままの目数で編み、長さだけ履いて合わせようと思います。

履き口から編むパターン。
リブ模様が柔らかく締めてくれるので、履き心地も良さそうです。
一目ゴム編みに近い感じの簡単な繰り返し模様なのですが、単調にならず良いリズムでした。

しかし、それにしても長い。
レッグはある程度長いのが良いそうなのですが、何だか全然進まない気がしていました。
自分の靴下は全体が60g程度で編んでいるので、横幅も長さもグッと多くなるというのはこんなにも違うのかと実感です。

カカトへ辿り着き、編み地にポツっと赤く色が出ているのに気づきました。
全体的にこういった色つぶがあるのですが、リブ模様の伸縮の中に多くが埋もれてしまいました。
カカトはメリヤス地なので非常に分かり易く目立ちます。
今回のリブ模様のように細かな編み地にアクセントを目立たせるには、1目〜2目あるような幅の色のほうが適していたなと感じました。
染め糸とパターンを合わせる際には、そういった点の考慮も必要ですね。

やっとインステップが終わる!と思った時にハッとしました。
あれ?何だかサンプル画像と違う…。
よく見ると、パターンではカカトから下の足裏はメリヤス編みのままでした。
読み飛ばしていたのか、気づかずに甲側の模様と合わせて編んでしまったようです。
えー、長い上に手間掛けちゃったよ!
フィット感を考えてもメリヤス地より模様が続いていたほうが良いと思うので、解く選択肢はないです。
仕方ない、反対側も頑張るしかありません。
とほほ。

そんなこんなで完成。
25.5cmサイズ、2.25mm針、85g使用でした。
仕事も忙しい時期でしたし、途中の果てしなさにも休憩を挟んでいたので、靴下としては長めで1ヶ月ちょっと掛かっています。
「やっぱり手編みって時間の掛かる品だね」というので
「そうだよ、大事に履いてね」といっておきました。
単に私の手が遅いだけなのは内緒です。

夫は足を入れ、市販の靴下の締め付けとは違う感触に喜んでいました。
暖かい、気持ちいい、これいいな、と何度も言ってくれました。
厚手の毛糸ではないのですが、手編みの点だけでも、より暖かさを感じてくれたようです。
心配していた痒みもふわっとする締め具合のせいか、嬉しさの効果か、まだ感じていないようでした。
今後履き続けられるかは、要観察です。

押し付け気味に編むから履いてよと始めた今回の靴下でしたが、私も記事中の感想のように勉強になる部分がいくつかありました。
編めて良かったと思います。
そして何より、手編み靴下の良さを分かってもらったことが、一番嬉しかったです。
ちょっと大変ですが、今後もまた男性用も編むサイクルに入れようと思います。

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