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梳毛と紡毛に

初めて自分で洗った国産羊毛の、その後の進みを書きたいと思います。
夏に「吉田麻子羊毛店」さんの国産羊毛を洗うオンライン講座を受講し、ご丁寧に教えてもらいながら洗い作業をした、あの羊毛の続きです。

ゆっくり洗った毛はキラキラひかり、ふわふわと軽やか。
しっとりとした油分もちゃんと残っていて、心地良い触りの洗い上がりでした。
1人では温度やタイミングの取り方が難しかったと思いますが、オンラインとはいえ側で見てくれている先生がいるので、安心して行えました。

こうして洗えた羊毛を、今度は1人で毛糸になるまで頑張って作業です。
まず最初は「解毛」というゴミとり。
洗い終えて綺麗になってはいますが、羊毛は藁くずなどゴミが毛に絡まった状態です。
少量ずつ手に取って毛を解しつつゴミを取る作業なのですが、これが結構大変!
私は動画で見たWool Combsという熊手みたいな道具を購入して作業しました。

私がどうしてもこの道具を使ってみたかったのは、羊毛を梳毛と紡毛に分けたかったからでした。

梳毛(そもう)とは、原毛の向きや長さが揃った状態で作る糸。
毛羽立ちが少なく、滑らかで艶のある表面になります。
紡毛(ぼうもう)とは、原毛の向きや長さが様々なものを使い作る糸。
空気をたくさん含むので保温性があり、柔らかな糸になります。
工程が異なるので、作る時点から用意も違います。

梳毛は美しくお上品なレディ、紡毛は可愛いカントリーガールといった感じですかね。
どちらも良い面があるので、どちらとも仲良くなりたいです。
編んでいる時は、使いたいと思う糸を使うだけだったので、毛の状態がどっちだから買うとまでは考えたことがありませんでした。
しかし、自分で紡ぐならどちらの糸にしたいのかを、考えて選ぶ事が出来ます。こういうものを編みたいから梳毛に、または紡毛にと、先の事を考えて準備が出来るわけです。

ならばその違いを実際に確かめて見てみたいと思い、このコームで梳く方法を選びました。

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洗った状態のサフォーク。
茶色になっている方が毛先です。
ゴミが絡まった状態のこの毛を、コームで梳きます。

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片方に刺しておいて、もう1本のコームで横から梳いて毛を移していきます。
3回くらい移動して整うので、出来たもは同じ方向になるように置いていきます。

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ゴミとそれぞれの毛の状態です。
左の砂つぶみたいなのがゴミです。(この毛量から出たわけじゃないですよ)
右下のひと束になってるのが梳いたものなのですが、サフォークは梳き取れる毛が短かいものが多かったです。
サフォークは短毛種のようなので、コームで梳くのは合わなかったかもしれません。
右上2つが梳ききれなかった短い毛の紡毛。
紡毛にはゴミが混ざっているので、手で裂き解しつつとります。

選り分けていくと、どうしても取りきれないゴミ混じりの毛が、ある程度溜まってきました。
ここまで大事に扱ってきた毛なので、捨ててしまうのは…と思う面もあります。
洋裁用にピンクッションの詰め物にする、土と混ぜてガーデニングに利用するなどという方法があるそうです。
油分が残る毛なので、針のサビを防いだり、肥料として役割を持てるからです。
洋裁はちょっと縁遠くなっているので、私は植物たちの肥料として使おうかなと思います。

ゴミを取った紡毛はハンドカーダーで整え、次の紡ぎ作業で使い易いよう丸めてローラッグにしました。

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これはチェビオットの梳毛です。
コームで梳いても長さがあります。
このまま紡ぐ事も出来るのですが、長くまとまっていたほうが紡ぎやすいんじゃないかと、気になっていたHackleを購入しました。

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ハックルはコームを長くしたような道具です。
梳いた羊毛や針にさしDIZで均等に取っていくことで、毛をまとまった量の形へ整えることが出来ます。
いろんな色や素材のスライバーを混ぜてさしていき、ブレンドする事も可能です。

日本で手作りされている方がいらっしゃったので、そちらで購入しました。
釘を使用された作りなので海外のものより太い事が残念なのですが、作りはとっても綺麗で家具のようです。
保管時の事を考えて保護材などをしっかりつけてくれているのが、なんて細やかな配慮!と感動でした。


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サクサクと梳毛を刺していきます。
端の方から、プラ板Dizの大きい穴を使って毛をズルズルと引き出します。
最初ちょっと難しくて、少量で切れちゃったりしました。
慌てちゃだめね。

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少しずつ慣れてきてそれなりの太さに。
ちょっとずつ右にずらしながら引き出して移動していきます。
端まで行ったら左へと、ジグザグに動いて戻ります。
長ーいスライバーが出来て完成です。

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チェビオット、出来た!
梳毛(くるくるの丸いの)と紡毛(棒状のローラッグ)です。

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サフォークも完成、素朴感あるねぇ!
ふぅ。
やっとこれで「紡ぐ」です。

糸紡ぎは楽しいのですが、こうした作業だけやっていると編みたくてたまらなくなります。
ウェアを編んだり他も同時進行で進めながら、ぼちぼち紡ぎました。
記事をまとめるのが遅くなりましたが、やっと全て終えるところまで辿り着いています。
紡ぎから毛糸までのご紹介も、近く出来そうです。






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