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染めて編む*星の昇る毛糸で腹巻帽子

「星の昇る毛糸」という名の糸を染めています。
糸端から編み進めると、糸色が夕空から夜空のへと変わっていきます。
そして、ぽつりぽつりと黄色のアクセントがあるので、それが1目程度の小さな星のように現れます。
糸変えすることなく平編みで見ると夜空に星が光るような編み地になる、という染め糸です。
こんな色の靴下があったら!と思ったのが始まりなので、ソックヤーンという靴下を編むのに向いた素材糸を使用し、靴下など2つで1組のものが揃った色変わりで編めるよう、中央で柄が反転するように染めてあるのも特徴です。

この糸は100gカセのものをナンバリングして販売していますので、その数が現在50夜になりました。
50gはナンバリングしていませんが、合わせれば70作以上かと思います。
沢山の方に気に入って頂けました。
お客様がSNS等で、アイデアが盛り込んだ素敵な作品を紹介下さっています。
色や糸の組合せ、カカトの編み方の工夫、思わぬ点をこうして乗り切ったなど、糸のその後を沢山のご投稿のお陰で知ることが出来ています。
またそれを次の事に役立たせてもらったり、ご興味のある新たなお客様へのご紹介にさせてもらえています。(もちろん、ご了解を得てです)
有難いことです、本当に。

そのお客様作品の中で、絶対私も編むぞ!と心に決めたものがありました。
それがなんと腹巻帽子なんです。
ソックヤーンといえば靴下か腹巻帽子!というほど、テレビや雑誌等でも話題の作品なのでご存知の方も多い作品だと思います。
ソックヤーン100g2玉を使って真っすぐメリヤス編みするだけの簡単さに加え、帽子被り2種・ネックウォーマー・腹巻と計4種もの使い方が出来ちゃうという便利さ。
筒状に編むだけなので、超初心者さんにも嬉しい作品です。
私も編みたいなーと思いつつ数年です。

そんな2玉使うと思ってた作品を、私の「星の昇る毛糸」1カセで編んでしまったというからビックリです。
半量ですよ、半量。
どうなってるの??マジックなの??とそれはもう驚きでした。
調べてみると、本家の作品は編み残る糸量があり、大きくゆるっと編む感じの作品なようです。
お客様のお話や他の方の編みレビューを読むと、100gから150gの間があればあめるらしいです。
あくまでも、私は本家の編み図を持っていませんので、ネット検索で出た作品記事を読んだ程度なので推測ですけどね。

さて。
よし、編もう!と決めたものの、なかなか商品以外に「星の昇る毛糸」を用意する事が出来ずにいました。
手間の掛かる糸なので、月にいくつもは作れず販売分で精一杯。
いや、他に作らなければ良いのにと思うかもしれませんが、星の糸だけを作り続けてたらメンタルおかしくなります(笑)
少し月日が経ってしまいましたが、やっとその辛さを押してでももう1カセを作り臨もうという、編むべく機会が到来しました。

それはあるKALのお陰でした。
Instagram内で現在「#日本の手染め糸で編もうkal」というKALが開催しています。

KALとは期間中に編み始めから完成までの様子を投稿し合い、皆んなで一緒に編み物を楽しむ内容です。
ちなみにKALが棒針編み、CALがかぎ針編みです。
今回のこちらは、日本の手染め糸がもっと広まる機会になれば…との思いで「日本の手染め糸」をテーマに編んでいくという企画です。
私も同じ手染め好きとして賛同ですし、作る側として出来る限り応援したいので、こちらの企画への参加と、商品提供もさせていただく事になりました。
上記リンクが主催者さんの企画内容ですので、詳細はそちらをどうぞ。
私は初めてのKAL挑戦です。
ご興味ありましたら是非ご参加下さいね。

こうした事から、自分の手染め糸についてご紹介出来る大きな場ですので、やっぱり代表作の「星の昇る毛糸」で参加したいと即座に思いました。
靴下は以前も投稿しているし、それならばあの腹巻帽子が良いかもしれない!
はい。
長い経緯でしたが、お付き合い有難うございました。
やっと本編へ到着です(笑)
ようやくここから編み記録スタート!

こちら用意した私用の「星の昇る毛糸」です。
好み通りな色でとなったので、この時点で大満足です。
夕空の黄色は夕焼けというより、街のライトといったほうが似合うかもしれませんね。

「星の昇る毛糸」だけだと100gなので、別糸を余裕含め30g染めて用意しました。
被り口を本家のメリヤスくるくるにしないで、リブを編むことにしたからです。
くるくるは巻いた分だけグラデーションが見えなくなるので、こういう糸では勿体ないと思います。
グリーンでリブを編み、その上に夕空からの夜となります。
森の上に夜空が広がるような繋がりを持てそうかな。

被り口から編み始め。
帽子被りにした時に楽に入るサイズにしました。
早く見たい気持ちが抑えられず、いつもより超特急で夕空を編んでしまいました。
わくわく、もうすぐ夜がきます。

一番星が出て、少しずつ星が出始めました。
おお?と思ったのは、グラデーションの変わる様子が早いことです。
靴下は幅が細い分、高さがもっと出来てから色が移ります。
当然の事だけど、そんな事すら面白く感じてしまいました。

中央まで編み終わりました。
これが50g分の編地です。
ここまでは楽しさがかなり強かったので、気軽に進んでました。

試しに被ったら顔だけ出す被り方をすると、被り口がパンパンになってしまう事に気がつきました。
顔をリブで締め付けられて、おしゃれ感ゼロです。
これはマズイと、中央で8目増しました。
2cmくらい広がる事になるので、顔出し被りをする時は反対側で被れば良いかと判断しました。
模様編みを間違えたとか、被れなくなったわけではないので、こいうのは臨機応変でいいかなと思っています。

糸はこんな感じで、1〜2cmの黄色のアクセントがついています。
これが編むと1目くらいの幅になり、星のようにチラチラと見せてくれています。
ちなみにこれ一つ一つ色をつけてます。

中央から反対の糸端に向かってが、割と地獄苦労しました。
メリヤス砂漠って本当に砂漠ですわ。
長い夜を越え、とぼとぼと気力ない足取りになったところで、薄っすらと黄色が見えてきました。
あ。朝がくる…。
靴下とは違い繋がった形で編んだことで、まるで一夜を越えて歩いたような気になっていました。
夕空で染めた色でしたが、薄く明るい色を朝日と思えたのです。

ここまできたらもう少しと、急にやる気も湧き上がります。
リブはメリヤスから解放されるので、ウッキウキで編みました。
最後は伸びるようにJSSBOでとじました。
これでついに完成です。

ぽつりぽつりとした星が、中央になるにつれ多くなっています。
縦並び、集まったようなものも出来てはいますが、それもサイズや手加減で違うものなので、偶然で起きる味のある配置と言えます。

半目、1目のチラチラとした見え方。
遠くの人からは分からないけれど、近くにいたら分かります。
ド派手は苦手なので、ここが気に入ってる要素かもしれません。

裏返して捻って片側に被せると、帽子の形に整います。
被ってみましょう!


いいですね!
被った時の深さやフィット感はバッチリです。

そのまま被ってネックウォーマー。
ちょっとタップリ過ぎる感じあるけど、その分暖かいです。
2つ折りで被る方がいいのかな?

ネックウォーマーから引っ張り上げて、顔出し帽子にも。
耳まで暖かいから外作業にいいかも。

いかかでしたか?
修正してあるのに、本人そのままな自撮り着画でお届けしてみました。
もう一つの使用法で腹巻がありますが、私の腹では当然却下した。
無理よね、これ(笑)
まぁ。
3通りはしっかり着こなせるので、本当に良かったです。

今回こちらの作品には、糸の段階からずっと沢山の反響を頂きました。
有難うございます。
色でこんな風に見えませんか?と始めた染めなのですが、多くの方が同じように感じて下さったと分かり、とても嬉しかったです。
編んでみたいと言ってもらえて幸せです。

沢山作る事は出来ないですが、一つずつ丁寧に考えて染めていきたいと思っています。

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