「とにかく今、この世界に必要な音楽を流そう」 (2003年春、イラク戦争開戦直後の極東ラジオ)

FAR EAST SATELLITE 第29回(FM COCOLO 2003年4月18日放送)
TUK TUK CAFE presents
(what's so funny 'bout)peace, love and understanding
featuring 山口洋

(What's so funny about) peace, love, and understanding
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS
People have the power
Patti Smith
You get what you give
New Radicals
To Washington
John Mellencamp
Happiness
The Blue Nile
SPEAK YOUR MIND
MARK BENNO
灯り
ヒートウェイヴ
COME A LONG WAY
MICHELLE SHOCKED

毎月第3週は番組スタッフチームTUK TUK CAFEが担当するのですが、今週は山口洋さんに選曲家として出演をお願いしました。
テーマは「(what's so funny 'bout)peace, love and understanding」。直訳すると、平和や愛や理解について歌うことのどこがおかしいんだ? 山口洋のバンド、ヒートウェイヴもこの曲をカヴァーしています。

M-2、パティ・スミスの「People Have The Power」(人々は力をもっている)、そしてM-3、ニューラディカルズの「You Get What You Give」の歌詞も朗読しました。“君はきっと大丈夫だ/自分の心に従って困難にぶつかっても俺がついてるよ/しっかり手をはなすなよ君の中には音楽がある/あきらめちゃだめだ”(「You Get What You Give」)


途中から番組スタッフのスギヤマも引っぱり出されてしまいました。つたない喋りですみません。BGMになってしまいましたが、紹介したのは『BLAIR WITCH AND BUSH OF GHOST PORJECT』というアルバムの中の「DUB YA」という曲です。この時期、毎日テレビに登場していたアメリカのブッシュ大統領の声がサンプリングされています。

とにかく今、この世界に必要な音楽を流そう、そんな言ってみれば当たり前のテーマを決めたのは、イラク戦争開戦翌日にオンエアされたポール・フィッシャーの番組「FAR SIDE RADIO」でした。ロンドンからインターネットで届いたポール(極東ラジオの初代DJです)のトーク、それに選曲に勇気づけられたのです。ちなみにその番組の一曲目は喜納昌吉&チャンプルーズ「すべての武器を楽器に」でした。

M-4のジョン・メレンキャンプ「To Washington」は、彼のホームページで発表された曲です。ワシントンのホワイトハウス住人に向けられたメッセージソング。イラク戦争直前から多くのミュージシャンがメッセージや歌を発表しています。

例えばR.E.M.の「Final Straw」。マイケル・スタイプは「これは、私ができる最も強い叫びだ。私達は今、何かを言わなくては、発表しなくては。私達は巻き込まれたすべての人々の為に、祈り、願う。軍隊、イラク市民、難民、捕虜、軍隊の家族、罪のないの人々。彼等が安全で無事であるように。みんなが無事に家へ戻れますように」と。

レニー・クラヴィッツは「We Want Peace」という歌で作詞作曲を担当。イラクのNo.1ポップアーティストであるKazem Al Sahir と演奏しています。レコーディングにはさらにパレスチナ人ミュージシャン Simon Shaheen をストリングスに、レバノン人アーティストの Jamey Hadded をパーカッションに迎えている。「この曲は俺にとって、イラクの問題以上のこと、つまり、この世界で暮らす人々の役割、そして、すべての人々は自由と平和を心から大切に思っているはずだ、という思いが込められている」。

Beastie Boysは「In A World Gone Mad...」。「僕らは、今アメリカが向かっている方向についてコメントすることを、とても大切なことだと感じている。イラク戦争は僕らの抱える問題の解決方法ではない。罪のない多くの市民とアメリカ軍の死を招くだけだ。もし、本当に僕らが安全を求めて努力しているのであれば、他国を脅そうとするのでなく友情を築かなくてなならない」(Adam Yauch) 「みんなで集まって曲を書いてレコーディングをしていて、僕らは、今世界で何が起こっているのかを、まさにそれが進行形である時に伝えないことは、無責任だと感じたんだ。このアルバムが一枚完成するまでこの曲を発表しないなんて、それじゃ意味がない」(Mike D) 「この曲は反米ソングでなければ、サダム・フセイン賞賛ソングでもない。これは、不正な戦争へ対する反抗声明なんだ」(Adam Horovitz)

System Of A Downの「Boom!」という曲のMVは、映画監督のマイケル・ムーアが製作しました。日本を含む世界中の反戦デモの映像が編集されています。


M-5は『Peace at Last』というアルバムに収められた曲。この曲を聴いて山口洋はヒートウェイヴで「ハピネス」という歌を書いたそうです。


M-6のマーク・ベノは山口洋にとって「情けな系」ミュージシャンの代表格だそうです。
“どんな友だちも離れなくてはならないときがある/僕たちふたりとも新しい道しるべが見えない/それでもあの頃のような平和な気持ちに僕はもどりたい/僕たちに必要なのはただひとつ/心の内側をしっかり話すことだ”
という歌詞を再び曲の前に山口洋が朗読しました。

M-7の「灯り」はヒートウェイヴ1991年の作品。歌詞はこちらで読むことができます。山口洋が語るこの「灯り」についてのエピソード、ここでも読めます。


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