TUK TUK CAFE WEST(2001年7月28日)〜THE BOOM 万博スペシャル(29日)

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(イラスト=大槻紀子)

2001年7月29日、THE BOOMが多くのゲスト・ミュージシャンを呼んで、大阪・万博公園で野外ライヴ「万博スペシャル」を行ないました。その前夜、DJイベント「TUK TUK CAFE」も初めて大阪で開催。この2日間の模様を、出演ミュージシャン全員のコメントも含めて、再構成しました。あの夏の日を思い出して読んでください(行けなかった人にも思い浮かべられるようになってると思います)。

 7月29日(日)、大阪・万博公園もみじ川芝生広場で行なわれる「青空の下、星空のもとで 万博スペシャル」。THE BOOMがプロデュースするまさにスペシャルなイベントです。夏のいっちばんいい時期に開催する野外イベント。場所は、一昨年、THE BOOMが出演した「MEET THE WORLD BEAT 1999」の会場、もみじ川芝生広場です。緑の芝生が広大に広がるあの丘の上。青空で、星空で、もひとつおまけに芝生。「MEET THE WORLD BEAT」に参加した人は思い出してください。芝生の上こそが野外イベントの最上の観戦ポイント。寝転がって青空を眺めながら音楽を聴くにも芝生は最高だし、ダイビングしたって芝のクッションが優しく受け止めてくれます。なんて、ダイブの可能性がいちばん高いのは、観客よりも小林孝至だけど。
 夏の一日をたっぷり楽しむプログラムにしようと、現在THE BOOMのメンバー、スタッフでいろんな企画を検討しています。これまで一緒に音楽を創ってきた、これからも一緒に音楽を創っていきたい仲間たちに声をかけています。THE BOOMと、この日しかできないコラボレーションを楽しんでみようと思っています。そして、もちろん、当日、会場に集まってくれるみなさんもこのスペシャルイベントの大事な出演者です。トップのイラストをもういちどご覧ください。「1万人の“風になりたい”」です。ぜひ何かひとつ楽器をもってきてください。持ってなければペットボトルに砂を入れてマラカスを作るとか、空き缶と割り箸でアゴーゴを自作するとか、シャカシャカ・ギロを購入するとか、それでもなければ手を思いっきり叩いて参加してください。沖縄の人なら指笛もどうぞ。会場全員、1万人でこの「風になりたい」を演奏しましょう。『極東サンバ』がリリースされたときの宮沢和史のインタビューを覚えていますか。こんな言葉です。
「僕は考えるんです。僕を含め、男、女、ちっちゃい子からおじいさん、おばあさんまで、そして在日外国人も入れて、みんなで一緒に、この場所で何が歌えるんだろうかって。そんな場を僕らは作りたいし、そんな曲を作って歌いたいんです」
 この日、「1万人の“風になりたい”」で僕らの夢は実現します。僕らの歌は祝福のメロディーと共に世界中に響きわたるでしょう。歓喜のリズムにのって世界にあふれるでしょう。喜びは君と僕のもの、です。
 会場は、スタンディングエリアと、ピクニックエリアに分かれています。ステージ前方で踊りながら楽しむスタンディングエリアと、会場後方でゆったりと音楽を楽しむピクニックエリアです。できるだけ多くの人に参加してもらえるよう、ピクニックエリアに限り、大人1名につき小学校6年生までの1名が入場無料になります。7月29日まであともう少しです。みんなで最高の夏の一日を楽しみましょう!


◎ 7月29日(日)大阪万博記念公園

東京へと戻る新幹線の中で、DJ保坂のコンピュータを借り、書いています。万博スペシャル、素晴らしかったです。みなさん、一緒に「HO!」って声上げましたか? 芝生の感触を裸足になって確かめましたか? 寝っ転がって空を見上げましたか? 木陰で涼んだり、日なたで暑がったり、月明かりの下で踊ったりしましたか? 僕は全部体験しました。焼きそばの味以外は全部ばっちり最高でした。音楽は青空の下、僕らと共にありました。星空の下を時速200キロで走る新幹線の中で(これはちょっとウソ。車窓から見える夜空に星は見えません)感動はまだ続いています。

 では、以下は今日の出来事のメモです。

■ TUK TUK CAFEの今日のステージはピクニックエリアの左奥。大きな木の陰。目の前は緑の芝生。その向こうには小川が流れているという気持ちよすぎるロケーションでした。遊びに来てくれた人たちありがとう(「BUDDY」はあなたに捧げました)。

■「万博スペシャル」とは、「万博」公園で行なう「スペシャル」なイベントという意味だけでなく、THE BOOMの万国博覧会であると、思いました。「万国」ってのは言い過ぎだけど、でもTHE BOOMの魅力が十二分に発揮された、博覧されたイベントでした。あらためて言うことでもないのですが、本当にいろんな魅力があるのです。「幸せであるように」のような僕らのゴスペルもあるし、「風になりたい」のような喜びの歌もある。「島唄」のようにどんな土地にも響く歌があるし、ユニークなご当地ソングもある。僕が教科書作るなら来年の音楽の教科書にはこれだね、と思う唱歌もある。腰を揺らす歌も、心を揺さぶる歌もある。その魅力が今日の4時間(!)のコンサートですべて見ることができました。だから、これはもうTHE BOOM EXPOです。

■ その多彩な魅力を引き出したのがゲストとのコラボレーション。小淵健太郎(コブクロ)とMIYAという渾身の歌うたい二人による「気球に乗って」。日本男子美声ナンバーワンの永積タカシ(スーパーバタードッグ)との「からたち野道」。「満月の夕」での山口洋と宮沢和史との貴重な共演。続いての「いつもと違う場所で」の山口洋のヴォーカルは、変な例えですが「大きなのっぽの古時計」のような、どっしりした存在感がありました。TUK TUK CAFEのTシャツを着て「いいあんべえ」に登場したKICK THE CAN CREW。かっこよかったです。書ききれないです。ゲストの数だけ「この日しか見られない」、心に永久保存版な共演がありました。

■ フィナーレの「風になりたい」で、僕のまわりの人たちが持っていた楽器を書き上げます。アコーディオン、ウクレレ、聞茶のアルミ缶に小石を詰めたもの、阪神タイガースのメガホンと小さなバット(もちろん黄色と黒)、光りながらまわるクマのプーさん人形、その他いろいろ。やっぱり書ききれないです。

■ ピクニックエリアは子ども連れが多かったです。いくつものタッパーにいろんなおかずを詰めてきた家族、好きな曲が始まると踊り出す、まだおむつの女の子、抱き合ってるカップル(これは子ども連れじゃないや)、子どもを抱き上げたまんまくるくるまわってるお母さん。自由に音楽を楽しめる最高のスペースでした。

■ 昨日、今日とTUK TUK CAFEと共に踊ってくれたみなさん、本当にありがとう。楽しかったです。でもまだ「イツナロウバ」。IT'S NOT OVER. まだ何も終わっちゃいないぜ、です。明後日、7月31日は渋谷AXでTUK TUK CAFEです。またお会いしましょう。もうすぐ東京駅なのです。(杉山)

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(イラスト+デザイン=はーぴー)


◎ ポール・フィッシャーによる2日間の感想。

Tuk Tuk CafeのDJたちからTuk Tuk Cafe Westにゲストで出てほしいと頼まれたとき、すごく嬉しかった。もちろん、ぼくは極東ラジオのDJだけど、ずっとクラブのDJもやってみたいと思っていた。いろんな音をミックスして、できることならダンスフロアを沸かせてみたいと。大阪に行けるということはTHE BOOMのライヴを久しぶりに観ることができるということでもある。大阪に行きたかったいちばんの理由、それは極東ラジオのリスナーに会えたらいいなと思ったことだった。やっぱり、スタジオからではみんなの顔は見ることはできないから。極東ラジオではなるべくリスナーたちとおしゃべりするみたいに話そうとしていたけど、僕にはみんなが音楽を気に入ってくれているかわからなかったし、ほとんど英語しか話さなかったから、僕の言っていることを理解してくれてるかどうかもわからない。リスナーのみんなに会いたいのは、僕たちに共通していることがいくつかあるから。それはみんな音楽が好きということと、(いつも聴いてくれているリスナーのほとんどが)THE BOOMを好きだということ。THE BOOMのファンは決して流行に流されたりしないけど、聴いたことのない種類の音楽でも耳をオープンにして、熱心に何でも聴こうとしている。僕らはそんな気持ちを共有している。

僕も含めてほとんどのお客さんがクラブ好きとは思えなかったし、何が起こるか予想も付かなかった。最初はほとんどの人々が席に座っておしゃべりをしていた。僕もみんなも元々恥ずかしがり屋だけど、勇気を出してそばにいる人——ありがとう、ナオミ(キャンベル!)——に話しかけてみた。次にすっごく元気な人たちに出会った——みんなみんなありがとう。

DJスギヤマとDJ保坂のプレイには本当に心を動かされたし、楽しませてもらった。曲のつなぎがとても自然で流れるような感じだった。日本の音楽がこんなに良く聞こえたことはなかった! あまりに上手で、もうお手上げという感じ。僕はスギヤマや保坂ほどのDJテクニックは持ってないから、なるべくつなぎやすい曲を選んだ。オープニングの曲は極東ラジオのオープニングと同じ、アフロケルト・サウンドシステム。ミクスチャー音楽を代表する曲で、僕の極東ラジオのテーマソングだ。他にソウルフラワーや喜納昌吉の曲、エイジアン・アンダーグラウンドやスカ・ダブ、オキナワ・ダブ、アフロ・ビートから何曲か、あとはTHE BOOMの「いいあんべえ」。そして最後に、去年の大阪公開録音でかけたとき反応があってちょっと驚いた曲「さのせ」。僕のテイストとは違う世界の人にアピールするような曲だと思っていた。でも、これは関西の人たちにしたらぴったりの夏祭りの曲だよね。

DJが終わって、僕は踊りの輪に加わった。楽しい! DJスギヤマとDJ保坂が後を続け、THE BOOM、中村一義などなどでみんな盛り上がった。最後にDJ保坂が「風になりたい」をミックスした。すごかった! ラウンジでの僕の第二セットでは、メインフロアから一息つきにやってきておしゃべりしている10人くらいの人たちのために、落ち着けるジャズ・グルーヴやファンクと、みんなが寝てしまわないように、たまにハード目のリミックスをかけたりした。

あの日の夜まで、(少なくとも当分の間)僕が日本を離れてしまうことはそんなに沈んでしまうほどではなかった。でも最後に、本当にあたたかくて、フレンドリーに僕を迎えてくれたたくさんの人々に出会った。みんな僕がいなくなるのは寂しいと言ってくれた。僕だってみんなと会えなくなるのは寂しいよ!

「暑い!」次の日はみんな口々にそう言っていたけど、無理もなかった。THE BOOMは長いこと見てきたけど、いつも次ももっと見たいと思わせてくれるバンドだ。ライヴのたびにいつも違った雰囲気を見せてくれるし、いつも違う魔法を起こしてくれる。彼らが今回のように長いライヴをするのは見たことがなかったので、僕は特別に期待していた。そんなに長時間のライヴをするなんて信じられなかった。4時間の大阪カウントダウンライヴには行ったけど、野外じゃなかったしこんな酷暑でもなかった。MIYAは会ったときそんなに心配ではなさそうだった。「ゲストがいっぱい出るから、休む時間もあるよ」彼はそう言っていた。

僕のレコードコレクションのうち4分の3は、歌詞が理解できないものばかりで、詞がわかったらいいのになと思う音楽を一つあげるとしたら、ラップ/ヒップホップだ。でもそんなことは関係なく、オープニングのKICK THE CAN CREWは本当に楽しかった。彼らは本物のエネルギーと空気感を漂わせていたし、DJのバックトラックとリズムは強力だった。

THE BOOMが始まった3時半、まだ会場は灼け付くような感じだった。僕はステージ右側のフェンスの外側から見始めた。時々裏側の方に行くと、また違った光景が見えてくる。バックステージの一か所に決めてそこから見ることにした。MIYAが何をしようとしているかが見えたし、待機中のミュージシャンが椅子に座っているところや、時々バンドのメンバーがやってきて長い休みをとっているところも見ることができた。ミュージシャンやゲストが行ったり来たりして濁流みたいな感じだった。そんな大勢の出演者を一つにまとめてライヴを行なうスタッフたちを僕は尊敬してしまった。サウンド・クルーのみなさん、よかったね! コブクロ、hal、元フライングキッズの浜崎貴司。ゲストが次々に入っては出た。僕が特に楽しんだのはスーパーバタードッグの永積サンと高野寛との「中央線」。坂本美雨を初めて聴けたのもうれしかった。

時が経つにつれようやく風が吹いてきて、穏やかな午後の感じが出てきた。僕は平安隆とTHE BOOMが「てぃんさぐぬ花」を演奏するのを夢中で見た。僕は平安隆がこの曲をいろんなミュージシャンと演奏するのを見てきたけど、今回のように大きな音で面白いアレンジのが聞けたのはすごいことだ。「ひゃくまんつぶの涙」もすごく楽しかった。続いて、もっとも好きなミュージシャンのもう一人、山口洋が、僕の大好きな曲の一つ「満月の夕」を歌うために登場した。僕はソウルフラワーと平安隆のヴァージョンが好きだ。しかし、今回のは洋があふれる感情と共に歌うロックヴァージョンだった。体が震えた。ほかに洋とのもう一曲「I'm in love with you」、大好きなTHE BOOMの曲「いいあんべえ」もよかった。

日が暮れてきて、涼しくなってきた。月も出てきて、僕はいい観覧場所を探し歩いた。結局、ステージにより近い場所でファンたちと一緒に最後の数曲を見た。本編最後の曲は「風になりたい」だった。みんなそれぞれ自分のパーカッションを持ってきていた(素晴らしいアイデア)。僕は持ってこなかったけど、隣にいた人がシェーカーを貸してくれた。ありがとう! 僕も早口言葉の「タカシカトチギカ」に加わった。もう一曲最後にアンコールはあったけれど、それは素晴らしいフィナーレだった。とても暖かい空気が辺りに漂っていて、僕もそれに触れた気がした。ファンと一緒に見るこの場所がベストポジションだったよ。「やっぱり!」僕も一人のTHE BOOMファンなのだ。(原文は英語、超訳=シモヤマ)

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◎ 「極東ラジオ」によるゲスト・ミュージシャン取材+番組での宮沢和史トーク。

[コブクロ]

小渕 コブクロの小さい方の小渕健太郎です。

黒田 コブクロのめっちゃ大きい方の黒田俊介です。よろしくお願いします。

小渕 お願いします。

黒田 ていうか、ありがとうございました!という感じなんですけど、今。

小渕 ほんとありがとうございました!

黒田 はい、どうでしたか?

小渕 THE BOOMというバンドの大きさは知っていながら今回臨ませていただいたんですけども、その中に飛び込ませてもらって、改めて「広いな」、音楽的なものとかの広さに僕らもいい意味でどっぷり、気持ちよく浸からせてもらえたというか、そういう環境をいただけたのが本当に今回良かったです。

黒田 僕は、宮沢さんとTHE BOOMというバンドの方と一緒にやらせていただいて、やっぱね、当たり前なんですけど、すごいね、ダイナミクスが皆さん一緒なんですよ。その盛り下がるというか、ちょっとテンションを下げて上げるって波がみなさん一緒なので歌ってるとすごく心地いいんですよね。自然と乗っていけるというか、ほんまに勉強になりましたね。

小渕 僕は宮沢さんと二人で弾き語りだったんですが「気球に乗って」という選曲をいただいたと同時に、今回のお話をいただいて、同時に二つの衝撃、まずは一緒にまたやれるということ、そして「気球に乗って」という歌自体が「僕が一番好きな歌です」ということを去年の年末、宮沢さんにぼそっと言ったことがあるんですよね。それを覚えてもらってたのかのかどうなのか僕への選曲が「気球に乗って」だったので一緒に作ろうとしてもらってる気持ちがもう……すごく伝わってきて、本当にいい経験をさせてもらえました。ありがとうございました。

黒田 これだけの、日本を代表するようなライヴ・バンドの方と、しかもその方を僕がバックに従えて僕がヴォーカルで歌わせてもらったというのは、これはなかなかできる体験ではないのでこれを生かして、またさらに次なるステップに進めたらなと思いますので、本当にありがとうございました。またぜひともご機会がありましたら呼んでください、よろしくお願いします。

小渕 & 黒田 ありがとうございました!

宮沢和史 小渕君と2人で「気球に乗って」を歌ったんですよ。バンドでやるのもいいかなと思ったんですけど、2人でやるのもいいかなと思って。僕も気持ちよかったです。黒田君とは「そばにいたい」を。2人の個性がはっきり出た選曲でよかったんじゃないかと思います。黒田君はああいうスイートな歌も向いてるなと思ったし、ラヴァーズロックを歌うのもすごくいいんじゃないかと思いましたね。コブクロが一人ずつ歌うのを一人が袖で見ているというのは初めてのことらしく、複雑な気持ちで見ていたと、打ち上げの席で言っておりましたけど。


[KICK THE CAN CREW]

KREVA こんばんは、KREVAです。

LITTLE こんばんは、LITTLEです。

MCU MCUです。

DJ SHUHOU そしてDJ SHUHOUでーす。

KREVA WE ARE THE キャラ立ち3本マイクKICK THE CAN CREWでーす。チェケラッチョ!

MCU うーん、俺はもう夢が叶っちゃったかな?

LITTLE ホントだねー。この「いいあんべえ」でナイスなセッションができて。

MCU 私なんてもうホコ天からブームを追っかけてきた者なので、もう感無量という言葉が……もう今……もう……もう言葉になんかできないっすよ、俺は!

KREVA 何言ってるかわかんらないもんね。とりあえず、「いいあんべえ」のレギュラーはもらったな、と。これで一軍入りだな、という感じなので頑張っていきたいなと思います。暑かったけど……でも、楽しかった、すごい!

LITTLE やり終わったら即な、ステージの前の方に出てって踊って……。

MCU そうそう、「パヤパヤ」でも踊りまくりましたよ。LONDON NIGHTを思い出した感じでね。

LITTLE そう。

DJ SHUHOU 全部良かったですよ。

MCU ほんとに良かったですよ。

KREVA THE BOOMともども、KICK THE CAN CREW、ガンガン頑張っていきますので、とりあえず今出ている「イツナロウバ」を聴いて、KICK THE CAN CREWをチェケラッチョして下さい、って感じで、KICK THE CAN CREWでした!


宮沢和史 とにかく彼らのメッセージってすごく伝わるよね。それがいいですよ。カッコだけじゃなくて、言いたいことがあるからこの手段を取ってるんだというのがすごく伝わってくるじゃないですか。普通、「カタチ」から入ったりするのに、言いたいことがいっぱいあって、それをきっちり目を見て、訴える力がある。また一緒に何かやりたいと思っております。


[hal]

halです。こんばんは。今ライヴ終わりということで、ホントになんかね、アッと言う間!という感じだったんですよね。halは結構自分のライヴをやる時にすっごい緊張しちゃうんですけど、今回は楽しみで楽しみでしょうがないという感じで、アッと言う間に過ぎて、アッと言う間に終わっちまった、という感じなんですけれども、ホントにね、私が小学校の頃からの大ファンのTHE BOOMのみなさんとこうしてライヴが一緒に出来て、ホントに光栄だと思っているし、まだMIYAさんと3、4回しか会ったことないのに、出ちゃっていいのかな?ぐらいの感じだったんですけどホントに楽しんで出来ました。見に来てくれた皆さんにもね、ホントに感謝してるし、来てくれなかったという人はホント残念だったな、という感じがしますが、また機会があったらね、THE BOOMのみんなとこうしてゲストの皆さんと一緒にもう一度ライヴが出来たらいいなと思っています。ホントに楽しいライヴをありがとうございました。halでした。


宮沢和史 ホントに楽しかったですよ。参加者全員楽しんでたようですし、もちろんTHE BOOMのメンバーも楽しみました。打ち上げをスタッフも含めて全員で集まってやったんですけど、もっとみんなと話したしたいという感じなんですよ。だから「このへんで一回締めて、さあ帰りましょう」って言っても誰も帰らない(笑)。店が12時までというのに1時くらまで延ばしてもらって、それでもまだ居座ると言って店のマネージャーと交渉しまして、「来年もこの店を使っていただけるなら延ばしましょう」「来ましょう、来ましょう」なんてみんなで調子いいこと言って、2時30分くらいまでいたんですけど、そのあとホテルでうちの社長の部屋で部屋飲みして、非常に盛り上がりました。みんな参加して良かったなと思ってくれたんじゃないかな。

僕は比較的、楽しい楽しいってだけじゃできないという部分もありまして、やっぱり心配だったのは流れがちゃんと作り出せるかどうか。ゲストがすごく多いから、通しでリハーサルができなかったんですよ。みなさんそれぞれで時間があわせられないから。それが心配でね。楽しみたいという気持ちと、どっか冷静さを残してなきゃいけないという3時間30分でしたね。あと、あんまりスムーズにいっちゃうとお客さんからしたらどうなのかなあと想像してみると難しいなと。あんまりバタバタ入れ替わり立ち替わりで流れがブツ切れになっちゃっても良くないだろうし、そのへんに気を使いましたね。前半いい感じで経過していったんですが、俺がステージ袖に行くと舞台監督が「ちょっと延ばしてくれ」って。ようするに最後暗くなってくれないと、そのために照明を仕込んでたりしてますから、空が明るいうちに終わってしまうとまずいんで延ばしてくれってことで。「浜ちゃん(浜崎貴司)、ちょっと二人で喋るよ」「えーっ」なんて言いながら喋り通してたら、今度「まいて(短くして)くれ」って言うんですよ(笑)。そんなことできないよっ!(笑)。でもそういう時間調整しながらうまく進んでいって、最終的に少し押してしまったんですね。ですから、ホントはもう少しアンコールをやりたかったんだけど、次回この会場でやるためにもちゃんと近隣の人たちのことを考えないとあの時間に終わってないといけなかったんで、アンコールを続けることはできませんでした。そこが心残りでした。でもそこで「立つ鳥後を濁さず」という感じがいいじゃないですか。「ここじゃもうできない」と言われたらつらいし。

そして、僕が個人的に不安だったのは、みんなTHE BOOMの曲を歌ってくれるんで、デュエットですから「ここの2行を俺が歌って、その2行はあなたが歌ってください」とか決めるわけじゃないですか。俺はもう12年間、自分の歌として歌ってるから全部歌ってしまうんじゃないかと(笑)、それが怖くて、緊張しましたね。ついついクセで全部歌っちゃうじゃないですか。でもひとつ失敗をしまして。坂本美雨さんの「釣りに行こう」だったかな。彼女と交互に歌ってたんだけど、あまりに彼女の声が気持ちよくて、僕もハモニカ吹いてたらハマって、すっかり自分が歌うところを忘れてしまって。どうも美雨さんの歌が不安気だなあと思って、ふと横を見ると「そこ、宮沢さんが歌うところですよ」という顔をしながら、美雨さんが歌ってましてね(笑)。あっ、やべえと思いながらも、動揺してはいけないということでハモニカをそのあと熱く吹いてしまったんですけど(笑)。そんなこともポツポツありながら、でも全体的には非常にいい流れだったんじゃないかなあ。みんなの個性、キャラクターも出せたような気がするし、みんなそれぞれ出してくれて。特に印象的だったのは高野君のマッキントッシュと弾き語り。あの絵面が印象的でした。自分の持ち歌を歌ってくれた阿久君も良かったです。そして、THE BOOMの曲を歌ってくれた人たち、THE BOOMの歌を歌うことによって、その人の個性がより伝わるということはあるなあと思いましたね。浜崎君の感じも、ノリもすごく良かったし、それぞれの個性で短い時間ではありましたが、その空間、時間がすべてその人のキャラクターによって暖かく包まれていて、非常に良かったんじゃないかと思います。

事前に告知なしに2組、ゲストが来てくれたんですけど、アナム&マキは、僕らが春の野音で「酒と泪と男と女」(※アナムの父、故・河島英五さんの代表曲)を歌ったというニュースをすごく喜んでくれたという話を聞いて、ちょうどそのときアナム&マキのCDを偶然いただいていたんで聴いたら、すごく良くてね。実は1回も会ったことがなくて、電話をしてもらって「出ませんか?」と誘って。とにかく今回の中でアナム&マキに出会えたのが僕にはいちばん大きかったですね。予想以上にかっこいい二人でした。

もうひとり、森若香織さん。香織さんとは2年に1回ぐらい電話で「元気?」みたいな話をするんですけど、久しぶりに電話したらちょうどその日に大阪に自分のライヴで来ているということだったので、「じゃあ早い時間にするから出てよ」みたいな話で。かっこよかったですね。あいかわらずの森若香織節炸裂という感じで。


[アナム&マキ]

マキ 今回ですね、このイベントに呼んでいただいて、すごく喜ばしく思っていいます。

アナム そう、最初はね、イベントがあるから、遊びに来れば?ってある方にお声をかけていただいたんですよ。それが、どうしたことか……。

マキ そうそうそう、何故か……。

アナム 「出てもいいよ」みたいな感じで言っていただいて、すごいびっくりしました。

マキ びっくりしました。ホントに。まさか同じステージに立てるとは。ホントに思わなかったので……。私、マキは幼少の頃からTHE BOOMさんが大好きで、大好きで、ホントに興奮してます。あはははは(笑)。

アナム はは(笑)、そうそう。んで、私、矢野顕子さんが好きでですね、よう二人でアホみたいな「二人のハーモニー」とか演ってたり(笑)。

マキ 二人で演ってるんですよ(笑)。

アナム おばかな事をやってたんですけども(笑)。

マキ 演りましょか(笑)?

アナム 興奮してるね(笑)。

マキ 演らんでいいって(笑)。

アナム 終わったばっかしやから。恥ずかしい(笑)。

マキ 恥ずかしいな(笑)。

アナム やっぱすごい今日は、ホンマに普通の言葉しか言えないんですが、嬉しかったです。そして気持ちよかった!とても。

マキ そうですね、野外でやるっていうのは、まだホントに数の少ないライヴしかやってないんで、こんな大きいところでやらせていただける機会をいただいて、ホントに自分たちの勉強になったし、今日選んだ曲「雨」って言うんですけど、なんかその曲も野外に合ってた感じで、気持ちよかったですね。

アナム 思い切り歌いました、はい。

マキ はい。えーまた呼んでください(笑)。

アナム そうですね、今日は緊張してあんまりマキちゃんもしゃべれなかったんですけども、またあの、ね……。

マキ 何ですか?

アナム 回を重ねていってもらいたいですね、是非是非よろしくお願いします。

マキ よろしくお願いします。では。


[森若香織]

こんにちは、森若香織です。今日は、すごい久しぶりに、宮沢君に渋ーい感じで「歌ってよ」とか言われて、そう言われるともう「OK!」と、こういう感じになっちゃったんですけど、本当になんかここに来る前は「ああ、みんな元気かな」くらいだったんですけど、やっぱり来たら何年も前に一緒にイベントやった時のこととか、高野君とか、MAGUMI君とか、浜ちゃんとかみんな会って、「ああ、みんな大人になってる!」と思って、そういうミュージシャンの友達にいっぱい会えて嬉しかったです。あと、今日は一人で歌ったんですけど、こんな大きいステージで一人で歌ったのは初めてだったので緊張しましたけど、すごくいい経験になりました。どうもありがとう! これからもいい音楽をみんなで楽しみましょう! さようなら。


宮沢和史 アナム&マキは本当によかったですよ。自分たちの世界を一瞬にして作り出してましたからね。野外でやるのはほとんど初めてみたいなことをおっしゃってたけど、すごい度胸だなと思ったし、曲もいいね。曲がすごくいいです。もっともっと知られるアーティストになってほしいなと思いました。

もう一人、急遽ゲストに来てくれました。イギリスのクラシック歌手、IZZYさん。僕らとフィールドが違うんですけど、新しいアルバムが最近発売になって、その中で日本の歌を歌いたいということで「島唄」をとりあげてくれました。


[IZZY]

ハロー、コンニチハ、ワタシハIZZY。It's very very very lovely to be here Osaka, in Japan, my first visit. And I have just finished singing with Miya "Shima-uta" on stage in this incredible festival in front of very very warmer people, in fact the warmest audience I have ever experienced. And the message to Miya is thank you so much for asking me to sing this song with him. It was very special moment that I was pleasure forever, thank you.


[小林孝至+山川浩正+栃木孝夫]

山川 どうも、今……今ですね、大阪、万博……もみじ川広場……芝生公園にいまして、今まさにライヴが終わったばかりというね、栃木さんがだいぶ顔がもう終わってしまっていますけれども、どうでしたか?

栃木 えー、そうですね、あの、長丁場だったですけど、なんかでも楽しかったね。ゲストの方いっぱい出て、ゲストの方の曲やったりね、いつもと違う関係がステージ上でできたりしたかなっていう気がして、すごく楽しいライヴだったですね。声に力がありません、すいません(笑)。

山川 ほどよい緊張感が途切れることなくずっと続いているという、そういった感じで。一人ずつの持ち時間が一曲二曲とか少なかったのでその分きっちりいい形で見せてあげたいなという気持ちが強くてですね、なかなか緊張が取れず、でもその中でも楽しめましたけどね、また是非やりたいと思っております。はい、孝至くん。

小林 はい、えー、まさに今終わったばっかりで、あの、なんて言うかまだテンションが高いじゃないですか、今日寝られるのかなってぐらい。体はもうだるいんだけど、頭はきっと冴えまくっちゃうんじゃないかなっていう……。

山川 昨日もね、昨日もあまり眠れませんでした、珍しく。

小林 でしょう?

山川 僕はね、滅多なことで寝れないことないんですけどね、寝られたんですけど、もう5時くらいには起きてましたね。

栃木 早っ(笑)。

山川 いろんな人の曲が頭の中でグルグル回ってまして。

栃木 それはあったね。

山川 けっこうリハはたくさんやったんですけれども、やっぱりリハと本番は違うし、初めて演る曲がたくさんあったんで、緊張感の中で楽しみつつも……まぁそういう感じでしたね。

栃木 夏の一日をTHE BOOMと一緒に過ごすという意味では、すごくいい記念になったんじゃないですかね。来てくれた方々も長い時間でしたけど、みんな楽しそうにしていたような気がします、後ろから見ていて。すごく気持ちがいいです。

山川 体力的にはまだまだ行けるんですけど、暑くて頭がボーッとしてまして、曲の次の展開がですね、一瞬わからなくなるという場面が数回ありまして、かなり焦りましたけど、まぁなんとかみんないい形で見せてあげれたんじゃないかと思います。

小林 そう! 人の曲は緊張するじゃないですか。案外自分の曲になったら……(笑)。

山川 人の曲が終わってほっとして、でも次にTHE BOOMの曲で、また緊張感が残ってる(笑)。もう一回やりたいですね。もう一回やったら完璧になると思うんですけど(笑)。

栃木 おーい(笑)。

山川 まぁ、この80点くらいの感じがまた次を期待させるという意味でいいじゃないかと。

栃木 はい、そうですね、はい。

山川 あんまり完璧すぎても、それが果たしてライヴでいいのかというのは別問題ですからね。うん、いいんじゃないかと思いますけど。

栃木 いや、最高です、楽しかったです、それが一番。

山川 ファンの方達も長い時間ずっとノリノリな感じのまま、最後までもってくれたので僕らもすごく演りやすかったですね。

栃木 本当にありがとうございました。

山川 ありがとうございました。

小林 お疲れさまでした!


宮沢和史 このコメント、本番終わってすぐでしょ? 栃木さん疲れてますねー、声がね。途中何言ってるかわかんないですね(笑)。いや、ホント栃やん大変だったんで。初めてやる曲が多いというのもあるけれど、もう山が見えてきたぞ、ゴールが見てきたぞってときに「大阪でもまれた男」「パヤパヤ」のメドレーですからね。これはきついよ(笑)。テンポが一気に早くなりますし、しかもメドレーですから同じテンポでキープしなくちゃならないから大変だったと思いますよ。でもあのあと、みんなで打ち上げ会場に着いて、「食事取りに行ってください」って言われてもそこまで取りに行くのに「はーっ」って感じでボーゼンとしていて、いつもガツガツ食う栃やんも座ったままで「あーっ」と遠くを見つめてる感じ。でもお腹がいっぱいになってみんなでわいわいやってくと、身体は疲れてるんだけど、孝至が言うように頭は冴えてきて、すごく盛り上がって、打ち上げも良かったですよ。打ち上げがいいライヴというのは、いいライヴと言えるなと思いました。

宮沢和史 坂本美雨さんはほとんど今までライヴをしたことがなくて、大勢の人の前でやるのもほとんど初めてと言ってましたが、堂々とした歌いっぷりでかっこよかったですね。そしてSUPER BUTTER DOGの永積君も来てくれて。いやー、彼の声はホント、他の出演者もみんな聴き惚れてたね。「いい声だね」って。うちのメンバーももちろんだけど、サポートメンバーも「ホントにあの声はいい!」って絶賛しております。


[坂本美雨]

こんばんは、坂本美雨です。えっと、今日はホントに、ホントにホントに幸せです。今、歌い終わったばかりなんですけど、明日からどうやって暮らそうか、この蜜の味を知ってしまって(笑)、一生こうやって暮らしたいなあ(笑)。マネージャーは首を横に振ってますけど(笑)。えっと、そうですね……今、SUPER BUTTER DOGの(永積)タカシくんが「中央線」を歌っているんですけど、「からたち野道」を今日一緒に歌ってもらって、本当に素晴らしいシンガーだなあと思って、リハの時ワンコーラス目をタカシ君が歌ったんですけど、もうリハの時ですでに泣いてしまって、鳥肌が立ちました。こういう素晴らしいミュージシャンと一緒にやってるなんて夢のようです。昨日もね、こういう素晴らしい天気の中で誰もいない原っぱでリハをずっと観ていたんですけど、KICK THE CAN CREWのみんなと寝っ転がって観てたら、すっごい気持ちいい風が吹いてきて、ホント「ユートピア」、ユートピアだなあって思いました。ずっと忘れないと思います。ありがとうございました。


[永積タカシ(SUPER BUTTER DOG)]

SUPER BUTTER DOG、ヴォーカルの永積です。今日は「からたち野道」を(坂本)美雨ちゃんと宮沢さんと僕とTHE BOOMの皆さんで歌いました。あと「中央線」を宮沢さんと高野(寛)さんと僕、三人で演ったんですけど、最初「中央線」を宮沢さんと二人で演ろうって話はなんとなくあって、前回THE BOOMのライヴに出させてもらった時に「中央線」を歌って、すごい気持ちよかったんです。ちょうど今、高野さんに(SUPER BUTTER DOGの新作の)プロデュースをやってもらってて、今日のイベントの話をしてる時に「なんか一緒にやりたいね」「三人でコーラスとかバッチリ決めたら面白いんじゃないかな」って話になって……もう、良かったですね。「からたち野道」は美雨ちゃんと宮沢さんの方から演ろうって話があったので、もうそれは是非と思って。……なんて言うか「早く歌いたい」って感じでしたね。今日は天気がいいし、風も気持ちいいですからね、やっぱり演ってて楽しかったし、「中央線」なんかはハモりが……自分で歌っててハモってるのがピッタリ合うと、プルプル鳥肌立つ感じで、自分で感動してましたので、演ってる自分が楽しみましたね、うん。特に声がこうバーって遠くに広がっていく感じが……。まさかあのステージの出っ張ってるところで三人で歌うとは思いませんでしたけどね(笑)。


宮沢和史 「からたち野道」を3人で歌ったのは印象的なシーンになったんじゃないかな、観てる人たちにも。この歌は僕の10何年前の想いが込められた歌で、デビューしていろいろ悩みとかあるし、環境がガラリと変わって自分の持ち歌もファースト、セカンドアルバムで大体終わりつつ、「どうしよう、新たなスタートを切らなけりゃいけない」という時にふとできた曲で、THE BOOMの代表曲だと思ってます。今まではずっと一人で歌ってきたんですが、こうやって坂本美雨ちゃんと永積君というすごく個性のある、才能ある人が歌ってくれると、なんか僕自身もお客さんの中にいて聴いているような錯覚におちいるんです。今まで自分の歌を自分で演奏するわけだから、曲を聴いて楽しむということはできなかったわけです。今回のお二人以外の方とのコラボレーションもそうでしたが、僕も「THE BOOM」というものを少し客観的に見られる部分があって、お客さんと一緒にTHE BOOMの曲を楽しんだという部分もあったし。初めての体験でしたね。自分のライヴを観ることは一生できないと思ってましたから、こういう機会でTHE BOOMを客観的に見せてもらって、非常に良かったなと思いました。ひとまわり、10歳以上違う人たちと一緒に同じ歌を歌える喜びというのは、これはミュージシャン冥利につきるなと思いました。

最近、孝至と阿久のぶひろ君というシンガーがレコーディングをしたりステージを一緒にしています。阿久君の魅力をみなさんに知ってもらうにはどうしたらいいかというんで、みんなと話して、やっぱり自分の歌を2曲きっちり歌ってもらおう、と。孝至とTHE BOOMのバックで歌ってもらおうということで、歌ってくれました。


[阿久のぶひろ]

阿久のぶひろです。僕も今まで色々とイベントには参加させてもらったんですけど、結構人見知りで、なかなか共演者の方達と仲良くなれず仕舞いで終わってしまったという経験もあったんですが、でも今回は共演者のみんなで和気あいあいと、ライヴの前の日もみんなで飲みに行ったりとか、今までで一番楽しいイベントだったなという思いがあります。THE BOOMのメンバーの方々もリハーサルの時から、本番もそうですけど、共演者に対してのやさしい気持ちが伝わってきて感動しました。またこういう機会があればぜひ参加させていただきたいなと思います。ホントに楽しかったです、ありがとうございました。


[平安隆]

こんばんは、平安隆です。THE BOOMの大きなフェスティバルっちゅうんかな、もうお祭りですよね、これは。お祭りに呼ばれるということで最初に声掛かった時にびっくりしたんですよ、実はね。こんなおじさん出ていいんかなってね。若いお客さんも確かにいらっしゃるんですけど、子連れがね、夫婦連れで子連れが来てるってのもなんか気持ちよくてね。それはやっぱり宮沢君がファンと一緒に育っていったんじゃないかと思うんですよね。だからいい感じで宮沢君も、変な大人って言えばおかしいんですけど、いい感じでどんどんどんどん今の状態で年取っていってほしいなと思うんですよ。これからもまた何かありましたらうん、絶対一緒に歌ってみたいなと思います。


宮沢和史 今回、ホントにいろいろ感じたんですけど、「いいなあ」と思ったのは、例えばKICK THE CAN CREWのようなヒップホップの若い連中が来て盛り上げてくれて、コブクロのような人たちも、SUPER BUTTER DOGもいて、僕らと同世代の高野君、浜ちゃん、山口君がいて、僕らのひとまわり先輩の平安隆さんがいて、IZZYさんなんていう全く違う世界の、クラシックの人も全然違和感なく一緒にできるじゃないですか。これはめったにないことじゃないかなあ。同じ音楽のタイプが集まって音楽フェスティバルというのはいっぱいありますけど、これだけいろんな世代、ジャンルを超えた人たちが同じステージに全く違和感なくいて楽しめるというのはTHE BOOMらしくていいと思うし、ファンの人たちですよね。THE BOOMを支えてくれるファンの人たちが、THE BOOMをもちろん愛してくれてるんだろうけど、それと同時に「音楽」を愛してくれてるという気がして。お客さんがいて成り立ったイベントだと、僕も誇らしい気持ちになりました。

僕らは原宿の歩行者天国、通称「ホコ天」という所から出ました。1989年にデビューするギリギリまで2年半やってました。同じ道端でやってた連中には半年くらい先輩としてジュン・スカイ・ウォーカーズというバンドがいて、僕らと全く同期と言いますとスピッツですね。そのちょっと後くらいにテレビで「イカ天」という番組が始まって、ブランキー・ジェット・シティ、たま、ビギン、フライングキッズ、ジッタリンジンとかすごく個性的なバンドがバーッと出ました。フライングキッズというバンドはその当時の若い人達の憂鬱な部分をうまく歌にしていて、夕焼けの似合うバンドだなと僕は思ってて、僕はそれを例えると「放課後の憂鬱」と言うんですけど、放課後って憂鬱になる時ってあるじゃないですか、学生の頃って。学校でみんなとワイワイやってる時には思わなかったことが学校が終わってひとりぼっちになると色んなコンプレックスとか将来の不安とか出ますよね、夕方の景色と相まって。浜ちゃんはそれを歌にするのが上手だなと思ってたんです。その姿はソロになった今でも一貫してるし、今、35、6歳になって、「放課後の憂鬱」という場合でもないですけど、でも年に関係なく憂鬱な時間ってある訳じゃないですか。そういうものを彼は歌にずっとし続けていると。彼の新しい歌を聴くと僕も勇気づけられるし、同世代ということで俺もがんばるべぇというのがあります。


[浜崎貴司]

浜崎貴司です、こんばんは。いやー、イベント盛り上がりましたね。ほんとにですね、みなさんの温かい声援によってさらにオレの力、倍増って感じでしたけど、良かったです。そういえばね、選曲も結構電話で話してね、アレンジをどうしようかとかこうしようとかやったんですけど、なんかMIYAの電話ってのは突然かかってきて、オレも人のこと言えないんですが、電話の声、アイツの声はね、ぶっきらぼうだね(笑)。お互い眉間に皺を寄せながらボソボソした声で打ち合わせをしたんですけど、いざ本番をやってみますとですね、ドカーッと明るく盛り上がれたんで、良かったなと思っております。


宮沢和史 MAGUMI君はずっーと袖で最初から観てましたよ。みんな入れ替わり立ち替わりするのを観ててね。後で訊くと、ちょっと緊張もしてたらしいんですけど、でも「レピッシュ、マグミーッ!」って紹介した時の、あの袖からステージに入ってくるテンション、さっきまで袖でぼーっと観てて、「おつかれさん」と言ってたのと全然違う。あれはさすがだな!と思いましたね。MAGUMI君が一気にその時間をヒートアップさせてお客さんを盛り上げてくれた……さすが先輩ですね。格好良かったです。


[MAGUMI(レピッシュ)]

レピッシュのMAGUMIです。今日は非常に楽しかったんですけど、なぜ今日ゲストで来るようになったかとちょっと説明しますと、二ヶ月くらい前かな、「万博で昼間、野外でやるからゲストで出てくれないか?」というのがあって、「俺スケジュールが空いてたら全然大丈夫だよ」というのがあって、その時だと「レピッシュの曲カヴァーしたりだとか、なんとか時間取らせないようやりますから」と言って、蓋を開けてみるとやっぱりこちらがカヴァーをしないといけなくなるような状況でしたね(笑)。あとMIYAが失礼なところはですね、他のゲストはみんな歌ものを歌わせているのに僕だけ歌わせていないというのは失礼ですね(笑)、逆にそういうところを買ってくれるMIYAにも感謝してますけれども。昔よくスカパラとレピッシュとTHE BOOMと3バンドで色んな地方を回ったりとかしたんですけど、またこういうことが若手でもすんごい面白いバンドが次々とできてきているし、ベテラン勢と新しい子達と一緒にイベントをやれると面白いんじゃないかと思っております。機会があったら……僕が先頭になってもいいんですけど、MIYAが先頭になっても構わないので、そういう話があった時には是非レピッシュを呼んでください。今日はどうもありがとうございました。


宮沢和史 今年ツアーやってみて、家族で来られるというのは、いいですよ。おじいちゃん、おばあちゃんとか、よちよち歩きの子が来られて、学校の体育館でライヴもやったりしてるんですが、やっぱり音楽というのはもっと縦軸に広がりたいね。僕の愛する沖縄、ブラジルもそうですが、やっぱり若い人たちはロックをやったりパンクをやったりヒップホップをやったりしてますよ。でも、だけども昔からある歌を歌えたり、演奏もできたり。ふたまわりも違う先輩の作曲家が好きなんだとブラジルのやつも言うしね。それはまぎれもなく縦の繋がりというのが、世代を超えた尊重というのがあって、年の上の者も若いジェネレーションの音楽を聴いて、評価すべきところは評価するという風潮がブラジルにもあるし、そういうものが我々の町にもあった方がいいなと思いますよ。やっぱり子どもができるとライヴに行きにくくなるという形は、なるべくTHE BOOMのこれからの活動の中ではなるべく減らしていき、どんな形でも来られるように、なるべく週末を狙って会場をおさえたいと思いますし、今回のようなピクニックエリアというようなものも設けられるようでしたら設けたいと思います。来年もぜひこういうツアーをしてみたいなと思いました。


[高野寛]

こんばんは、高野寛です。今ちょうどライヴが終わったところなんですけど、すごくいい余韻が残っていて、みんなお互いに拍手し合って、なかなかこういうイベントはないですね。僕も共演者が友達ばっかりだったし、THE BOOMとちゃんと同じステージでやるのもすごい久しぶりということで個人的にも楽しめたし、あとTHE BOOMのライヴはお客さんがいい、本当に。こんなに演ってて気持ちのいいライヴはなかなかないです。今日は思い出に残りますね、本当に。ステージから見えてた景色もそうだし。結構みんな自分の出番じゃない時は横の方で観てたりして、踊ったりして。いやー、いい夏休みって感じでした。出演者だったのに僕が楽しんじゃいました。


[山口洋]

イベントというものに出ると自分が浮いてるなあと思うことが多いのですが、今日はお客さんの顔とか出演者の顔とか、何よりスタッフの顔が日が暮れていくのにつれて変わっていくのを見て、音楽は素晴らしいなと思いました。自分も長い間、音楽をやっていて、こういうふうに友だちがいて、ひとりだけどひとりじゃないんだとか、音楽っていいなあって。僕にとっても素晴らしい一日になりました。僕も同じ職業なので、このイベントをやるのがどれだけ大変なことかわかってるし、それをやりとげたバンドのみんな、スタッフの力、お客さんのエネルギーに拍手を贈りたいし、自分がそこに関われたことを嬉しく思います。


宮沢和史 山口君よかったですよね。「満月の夕」はもともと好きな歌で、ソウルフラワーのヴァージョンも好きですけど、これは歌ってみてなおさら、演奏してみてなおさら、歌の良さを実感できる曲でしたね。会場にも合っていたし、山口君の個性も短い間で感じられたいい時間になったんじゃないかなと思ってます。

先週、今週と万博スペシャルについて喋ってきましたが、けっこう僕の中ではひとつの夢だったような部分として、本当に現実だったのかなと思う部分と、いつまでも忘れたくないなという両方の気分が混在しています。山口君の言葉を借りれば「音楽っていいなあ」ってことを実感しましたね。音楽を選んで良かったなあと思ったし、これまでいろんなことがあったけれど、12年間信じて、バンドで4人でやってきて良かったなあということも思いました。THE BOOMの4人の現在の佇まいとか、思ってることとか、強い部分、弱い部分もこうやって大きなことを乗り切ると、よりお互いがわかるんですよ。またひとつ絆が深まったようなこともあってね。打ち上げの席で浜ちゃんが「僕もバンドをやってたからわかるんだけど、(THE BOOMには)ぜひ続けてほしい」ということを言ってくれて、続けていくというのは非常にエネルギーがいるし、勇気もいるし、大変なことだとわかってはいるんですが、やっぱりこのバンドはいいバンドだし、THE BOOMが来るのを待ってくれている人が全国にいるわけですから、がんばっていい音楽を提供し、なるべくみんなの顔に近いところに行って、思いっきり悔いのない歌を歌うという生活をこれからも続けていこうと思いました。これからもTHE BOOM、そして参加してくれたミュージシャンたちを応援してください。よろしくお願いします。「からたち野道」を3人で歌ったのは印象的なシーンになったんじゃないかな、観てる人たちにも。この歌は僕の10何年前の想いが込められた歌で、デビューしていろいろ悩みとかあるし、環境がガラリと変わって自分の持ち歌もファースト、セカンドアルバムで大体終わりつつ、「どうしよう、新たなスタートを切らなけりゃいけない」という時にふとできた曲で、THE BOOMの代表曲だと思ってます。今まではずっと一人で歌ってきたんですが、こうやって坂本美雨ちゃんと永積君というすごく個性のある、才能ある人が歌ってくれると、なんか僕自身もお客さんの中にいて聴いているような錯覚におちいるんです。今まで自分の歌を自分で演奏するわけだから、曲を聴いて楽しむということはできなかったわけです。今回のお二人以外の方とのコラボレーションもそうでしたが、僕も「THE BOOM」というものを少し客観的に見られる部分があって、お客さんと一緒にTHE BOOMの曲を楽しんだという部分もあったし。初めての体験でしたね。自分のライヴを観ることは一生できないと思ってましたから、こういう機会でTHE BOOMを客観的に見せてもらって、非常に良かったなと思いました。ひとまわり、10歳以上違う人たちと一緒に同じ歌を歌える喜びというのは、これはミュージシャン冥利につきるなと思いました。(「極東ラジオ」2001年8月の放送より)



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