見出し画像

ピエラバあとがき

こんにちは、月山です。
今回は「ピーク・エンド・ラバーズ」という作品が完結しましたので、そのあとがきのようなものを記そうと思います。

いつもの通り、未読の方のためにあらすじを貼ります↓

『親友の恋の手助けをきっかけに、クラスの人気者・津山くんと仲を深めた加夏。彼はいつもヘラヘラと笑いながら女の子を誑かすプレイボーイだ。些細なことが重なって、彼の色んな表情を見つける度に、もどかしくてむず痒い気持ちになる。
――もう絶対、恋なんてするもんか。そんな意地を張っていた心の壁を容易く壊してくるのは、いつだって彼だった。 惹かれた、というよりも、絆された、といった方が正しかったかもしれない。とにもかくにも、遊び人だったクラスメートが彼氏になりました。
不器用な二人の、苦くて愛おしい日々の記録。』



【以下ネタバレ注意⚠️】



今作はそもそも、「能ある狼は牙を隠す」というお話(以下、オオカミと表記します)に出てきた津山岬と西本加夏の二人に焦点を当てたものになります。
そちらを読まなくても、単体でお楽しみ頂けるように書いたつもりなのですが、彼らのことをもっと詳しく知りたいと思ってくださった方は、先にそちらを読んでいただけると分かりやすいかと思います。

以前オオカミの番外編を書いた際、「岬と加夏は一つ長編を書けそうなくらいドラマがあると思います!まあ書きませんけど!がはは!」的なことをあとがきでほざいていた気がするのですが、結局書いてしまいました(滝汗)
シンプルに気分が変わったというのと、やっぱりこの二人はどうしても幸せにしてあげたいなと思い、高校時代から大学時代に至るまで長々と……。

私自身、設定やストーリー先行でお話を考えることが多いのですが、今回ばかりはキャラクターありきのお話だったので、二人と真剣に対話をしながら(?)書き進めました。
ので、ストーリー展開は別段突飛なものもなく、とあるカップルのすれ違いや和解を皆様に見守っていただくような感じの作品になったかと思います。

オオカミを書いている時点で岬と加夏が両想いになるのは割と見えていて、さらにオオカミの番外編でもこの二人が結婚を匂わせる発言をしていたため、ゴールは明確でした。
ただ、本文中でもかなり執拗に繰り返したのですが、岬と加夏は「普通に過ごしていたら交わらないはずの二人」だったので、ゴールに至るまで、幸せになるまで彼らがどういう過程を辿ったのか、どういうふうに穏やかな関係を築いていったのか、というところを描くのが今作の大きな目標というか、課題でしたね……。

ドラマチックな展開なんて何一つなかったのですが、そのぶん等身大の不器用な恋心を丁寧に描写しようと心がけました。そうです、テーマは「不器用」です(?)

心情描写がかなり多かったことと思います。読みにくかったら申し訳ありません。
ヒロインの性格上、同じことを何度も繰り返し悩んだり、踏み切るにも踏み切れなかったり、「もういい加減はっきりせい!」となるような部分も少なくなかったのですが、そう簡単に勇気を出せれば人間苦労しないよな、ということでひとつ、許してあげてください……。

そしてヒーローについてですが、今作は一切ヒーロー視点を書きませんでした。
オオカミの番外編で岬視点のSSをいくつか既に書いていたから、というのも理由としてあるのですが、今作の主人公である加夏ちゃんにどっぷり向き合った結果、こうなってしまいました。
作品全体の雰囲気として、シリアスとまではいかないにせよ、しっとりというか、落ち着いた感じを出したかったのです……。岬はどうしてもすぐにおふざけするので、彼視点で書くと急に明るくなってテンポ感が乱れてしまうといいますか、そぐわないなあと思ったのです。
きっと彼にとっては「好き、それでいいじゃん」で全て済んでしまうようなことで、でも加夏ちゃんにとってはそうもいかない、もっと深刻に悩んだり迷ったりするようなことだったんです。

気持ちのつり合い、重さ、大きさ。そんなところがメインテーマだったのですが、私自身も「正解」なんて分かりませんし、見つける必要もないのかなあと思っています(汗)
片想いのときはひたすらに「好き!」という気持ちでどこまでも強くなれたりするものですが、実は付き合ってからの意思疎通ってすごく難しかったりするんじゃなかろうか、というお話でした。

付き合ってからの方が長い恋愛小説は初めて書いたので、「こんなんでいいんか……」と何度も迷走しましたが、二人が幸せなら何でもいいか、と冷や汗を拭っているところです。
一応両想いでカップルのお話なのに、全然キスもイチャイチャもしなくてごめんなさい。でもこれくらいの甘さが、彼らにはちょうど良かったのではないかと思います。

そんなわけで、めんどくさいヒロインとカッコ悪いヒーローのじれじれにお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。
私が書きたいだけの自己満足作品だったのですが、多くの方がこの二人の行く末を気にして下さっていたようで、とても嬉しかったです。ご希望に添えた自信はないのでもう一度謝罪しておきます。すみませんでしたぁ!

それでは、また何かのお話でお会いできれば幸いです。


P.S. 章タイトルの意味をここに記載しておきます。
・Cheek Dyed Beginners(頬を染める初心な二人)
・Seek Right Vagrans(正しい在り方を探す二人)
・Weak Point Sharers(弱さを分け合う二人)

2021.11.06

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?