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年末ジャンボ宝くじをしっかり考える

「宝くじ買う人って馬鹿だと思うんですよねw」


そんなことをひろゆきが言っていた気がする。

自分も色々な場所でいかに宝くじが当たらないのかを読んでいたので、すっかり買わなくなった。

お金は自分で稼ぐものだ。
運で達成するものではない。
なんか大金もらうと不幸になるって聞くし。
だから宝くじなんて買っちゃダメなんだ。

理論武装は完璧だ。

これで無駄な散財をしない勝ち組になれた。


そんな自分が年末は実家に帰ったわけだが、

弟、めっちゃ宝くじ買ってた。


……いや、弟がアレだというわけではない。

正直言うと、我が弟は相当に優秀であり、進んだ思考を持っている。

自分は兄だが、弟をわりと尊敬しているのだ。(どんな兄だ)


きっと弟にも何か宝くじに対する考えがあるのだろう。

でもなんか本人に直接聞くのはアレだし、自分で考えてみる。

「宝くじ」とは何なのかを。

ひろゆきの意見にただ流されるのが正解なのかどうかを。


【テンション向上効果(伝染する)】

我が弟、年末はなんだかずっとテンションが高い

そう、宝くじを買っているからである。

年末の弟には億万長者になる可能性が2000万分の1の確率がどうのこうので存在しているのだ。そりゃテンションも上がる。

当然だが宝くじを買っていない自分は100%当たらないわけで、この年末に何のワクワク感もない。

だがしかし、弟のハイテンションを見ているとなんだかこっちまでテンションがあがってきたのである。

(もし当たったら1億くらいくれないかな……家族だしさぁ……!!)

そんな闇の考えも浮かぶが、とにかくなんだかワクワクしてくる

もちろん期間限定であることは言うまでもないが、結果が出るまでは高揚感を抱きつつ年末を過ごせるのだ。(周りも)

これが宝くじの持つ第一の効果、『テンション向上バフ(広域)』である。

(効果は人によります)


【公共事業に使われる(実質寄付)】

宝くじの収益は、37.5%公共事業として使用される。

旅をしていると「宝くじの収益金が使われています」みたいな掲示をたまに見るが、それである。

よく宝くじ叩きに使われるセリフとして、

「こんなもん買っても半分しか戻ってこないのにwww」

というものがある。確かに当選金は全体の46.2%しかない。

しかしそのレベルの理解はどうなのだろうか?

確かに「自分の利益」だけを見れば、損がほぼ確定した勝負でしかない。

しかしこれを「寄付」と見れば効果が変わってくる。

多くの実験で示されているように、他人のために何かをすることは幸福度を高めるのだ。当然寄付もそれに含まれる。

宝くじをただの利己的な博打だと考えている人には効果はないだろうが、「みんなを幸せにする公共事業に使われるから外れても幸せ😊」
なんて思っちゃった人にはもう、効果絶大だ。


Youtuberが「○○○万円宝くじ購入www」とかいう企画をやっているが、あれも寄付の効能で脳内快楽物質ドバドバなのだ。(たぶん)

そしてただの散財と違い公共事業に使われるので、みんなのためになるという見方も出来て、炎上回避にも使える。最強の動画ネタだ。

宝くじを買った人も、公共事業で助かった人も、両方に利益がある。

これが宝くじの第二の効果、『寄付による効能』である。



【ハンディキャップ理論がどうのこうの】

ある日、ポッドキャストの「すごい進化ラジオ」を聴いていた。

そこで出てきたのがハンディキャップ理論である。

常識的に考えて、生物は自然淘汰される過程でどんどん無駄を減らし効率化していると思っている人が多いだろう。

しかしクジャクのように、意味不明なほど着飾って動きにくくなっているものがいるのが生物の世界である。

これは「邪魔な羽作れるほど栄養余ってます!!」というアピールなのだ。

弱い個体はこんな真似は出来ない。大量の羽をつくることに栄養を傾けている余裕なんてないからである。

よって、無駄に着飾れるレベルのエサを食べているオスというのは、ほぼ確実に優良個体というシグナルとなる。(”正直シグナル”という)

そう、ハンデを背負ってこそ強さの証明になるのだ。

つまり、『無駄なこと出来るやつは強い』ってことである。

(本の中では婚約指輪が例に出されている)

大手の会社がイベントになぜか金を出していたりするのも、「うちの会社、余力あるからこんなこと出来るんすよ」というアピールである。(たぶん)

もちろん先程のYoutuberも「無駄なこと出来る俺最強だわ…!」という具合で脳内物質はドバドバだし、ファンたちだって「こんなすごい人を推せて幸せ!!」である。(たぶん)

みんなしあわせ。

これが宝くじ第三の効果、『無駄遣いできる俺凄いアピール』である。

(ハンディキャップ理論でもそうだけど、貧乏な人が真似すると終わるからやめようね!!)



さて、弟の行動をきっかけに宝くじを再考察してみたが、
いかがだっただろうか?

なんかその……

結構良いよね……?


生活困窮者がやるのは全く勧めないが、余裕がある人がやる分には金銭面以外のメリットも加味したらなかなか良いものなんじゃないかと思う。

ただでさえ寄付文化が薄い日本においては、ふるさと納税のように自分に見返りがなければ寄付行動に移りにくい気がするし、そういう人にも公共事業に寄付させるツールとして、宝くじはかなり有用だろう。


そう、宝くじは自分の金銭的利益だけの問題ではないのだ。
もちろん当選金がメインのように見えるし、自分もずっとそう思っていた。

だが視点を変えればなかなか理に適ったものに見える。

実際、弟は金銭面では全く困っていないどころか、収入を見れば圧倒的に我が家を支える大黒柱だ。

まさに宝くじを買うにふさわしい人間とは、弟のような人間なのだろう。

各種メリットを享受し、
もしかしたら当たるかもという希望も持ちつつ、
公共の利益にも役立っている。

流石だよ、弟。


自分もそうやって宝くじを買えるようになろう……。



(弟は今回は億万長者にはなれなかったようです)


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