11:「そんなに言語やって意味あんの?」という例のアレについて

外大界隈のTLを見ていると、定期的に「そんなに言語やって意味あんの?」という問いかけがどこかから為され、それに対して外大生が冷静さを失って何やら小難しい言語学的な専門用語を交えながら反論し、相手は意味がわからなくなって退散する、という事象が見られます。傍から見れば、議論を仕掛けた側は外大生の話していることの意味がわからず、ああ、やっぱり話も通じないし、言語やる意味ないんだな、と納得して退散しているように見えますので、読後感としては外大生の負け、となっているケースが多い印象です。外大生側からは「この手の問いかけにどう返して良いのか、未だに最適解がわからない」などというコメントも見られ、就活でも面接官から問いかけられてとりあえずムカついて終わった、という報告もあります。今回はこの微妙なやり取りについて、大人語の観点からレビューしてみようと思います。

そもそもの話として、この問いかけ、およびやり取りは、全員が気付いている通り不毛です。本来であれば、この場で取り上げる価値が無いぐらいに不毛です。意味があるかどうかなどというものは個々人それぞれが判断すれば良い話であり、議論する類の話ではなく、問いの設定自体が誤っています。そもそも勉強する人の立場からすれば意味があるかどうかという不毛な議論に時間を費やすよりは、意味があるものになるように努力する方が間違いなく生産的です。こんな議論の誘いにまんまと乗ってしまう時点で、外大生の方が誤った問いの設定に気付けていないことを露呈してしまっているとも言えます。もちろん気持ちはわかりますが。今日は、こういう誤った問いかけ、あるいは相手の冷静さを失わせようとするタイプの問いかけをされた場合に、なぜ外大生は負けがちで、そのような問いがあった場合にどうやり過ごせば良いか、ということについて、考えていければと思います。この問いに対する答えを出すことが目的ではなく、どう捌くか、という方が主眼ですので予めご了承ください。

まずは、なぜ外大生は負けがちなのか。これについては、基本的なディベートの技法を押さえることができていれば、そのメカニズムは一目瞭然となります。これを学んで悪用すれば、逆に相手をやり込めてしまうこともできるようになる、シンプルながら実に強力な方法論です。誤った問いの設定の議論をふっかける、もしくは相手の冷静さを失わせるためには通常、以下の3段階を踏むのが定石です。

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