時間切れを起こさないために

※本記事は@3422Project氏企画「ふるよに Advent Calendar 2020」12月16日分の記事 です。

0. はじめに

 本記事はプレイスピードを上げたい方に向けた記事であり、長考を批判する意図はございません。また、全てのプレイヤーに対しプレイの高速化を求める意図もございません(私自身、他プレイヤーと比べてプレイが特別速い自信はないです)。

1. 本記事執筆のきっかけ

 私はふるよにの大会主催をしているのですが、ゲームの様子を傍から見ていて、「今のゲーム、時間切れで決着したけど、最後までやってたら勝敗ひっくり返ってたかもな」と思うことがしばしばあります。もう1ターンあれば底力が当たっていた、判定負けしないために自ら久遠ノ花を使わざるを得ず反撃を捌けなかった、有利なゲーム展開だったのに森羅判証やメガロベルで逆転されたなどで、悔しい敗北や納得し難い敗北を喫してしまった方も少なからず見てきました。時間を使いすぎるプレイヤーを何とかしてほしいと相談を受けたこともあります。
 全対戦卓にジャッジを張り付けてチェスクロックを買えば解決するのですが、さすがに現実的ではないのでどうしたものかなと悩んでいたところ、公式の大会レギュレーションに遅延行為に関する記述が追加されました。

(参考:新幕 桜降る代に決闘を 大会レギュレーション)
https://main-bakafire.ssl-lolipop.jp/furuyoni/na/dl/event_regulation.pdf

 ちょうどよい機会だなと思いましたので、自分もプレイが遅くて対戦相手に注意されがちだった頃を思い出しながら、時間の使い方について思うことを書いてみることにしました。


2. プレイが遅いことの問題点

 そもそもプレイが遅いとどういう時に困るのでしょうか。様々なシチュエーションが考えられますが、ここではありがちな二つを紹介します。

■ 重要な場面で時間を使えなくなる
最新の大会レギュレーションには、以下のような記載があります。

「遅延についての尺度を示します。参加者は1ターンの行動を可能な限り5分以内ですべて行ってください。特別な理由なくそれを逸脱し、それを問題視する場合はそのプレイヤーの対戦相手が審判を必ず呼んでください。」

"特別な理由なく"とありますが、要は5分以上の長考は遅延行為とみなしますということです。序盤から終盤まで毎ターン5分考えることはまずないと思いますが、決勝戦のリーサルがかかった状況など大事な場面では5分ギリギリまで(相手が許可してくれるならそれ以上)考えたいこともありますよね。
ゲーム序盤をサクサク進行させていれば、終盤お互いのプレイヤーが余裕を持って考えられるのですが、そこまでに時間を使いすぎていると大事な終盤に考えるため時間が失われます。その結果、焦って敗北につながるプレイミスを犯したり、時間切れで納得の行かない敗北を喫したりすることがあります。
ゲーム終盤にいつも時間の余裕がないと感じている方は、序盤・中盤に時間を使いすぎていないか考えてみるとよいかもしれません。

■ 大会の進行・運営に支障をきたす
試合を35分以内に決着させることはプレイヤーの義務…と言っては大げさかもしれませんが、必要な努力だと私は考えています。というのも、延長戦が多発すると大会の進行が遅れ、他の参加者に迷惑をかけてしまう場合があるからです(延長戦が長引いたせいで大会進行が予定よりも遅れ、次の用事のために決勝戦に出られなかった…なんてことになったら悲しいですよね)。また、大規模大会でもない限りジャッジは基本的に1名ですので、延長戦が複数卓で発生するとジャッジの目が行き届かず、万一のトラブルに対応できなくなるという問題もあります。
もちろんほとんどの方が意図的に遅延しているわけではないので、延長戦になってしまった対戦卓を責める気持ちは全くございませんが、試合時間が延びた分だけ大会の進行が遅れてしまう、という感覚は持っていただけたらありがたいなと一主催として思っています。

3. 長考してしまう原因と対策

 ここからは長考の原因となりうる要因と、そうならないための対策を書いていきます。

■ カードを覚えていない
このゲームをやり込んでいる方であれば、ヒミカ/ハガネを相手にした際に対応されたらどうしようと考えることはないでしょう。ヒミカもハガネも対応を一切持たないメガミだからです。しかしカードプールを知らないと、有効な対応が存在しない盤面にも関わらず、対応されたらどうしよう…と悩んでしまう原因となります。幸いふるよにはカードリストの持ち込みが許可されておりますので相手のカードを完璧に覚えている必要はないのですが、カードリストを一つ一つ見ながら考えるよりはカード効果を即座に思い出せる方がより多く思考に時間を使えるはずです。
誤解のないように念のため補足すると、カードを覚えていないプレイヤーは大会に出るべきではないということでは決してありません。カードリストがあるおかげで安心して大会に出られるいう方はぜひ持ち込んでください。ただ、時間切れを起こしがちで悩んでいる方や強者を目指したい方は、少なくとも環境でよく見かけるメガミのカードはすらすら思い出せるようにしておくとよいでしょう。

■ リーサル判断が苦手
リーサル判断と書きましたが、ここでは「このターン中に確実に勝利しているか判断すること」という意味で用います。大会を見ていると、強いプレイヤーはみなこの判断が速く、正確であると感じます。
この判断が苦手であると、ゲーム終盤に毎ターン悩んでしまうことになります。また、リーサル判断が苦手ということは相手に攻撃されたときのダメージ選択も苦手ということですので、相手ターンにも長考してしまいがちです。
リーサル判断を鍛えるには実践を積むのが一番ですが、もし愛用しているデッキがあるのであれば、予めそのデッキの最大打点(理論上1ターンに出せる最大ダメージ)と条件(必要フレア数、手札、ターン開始時間合など)を計算しておくことをおすすめします。細かい条件を事前に把握しておくことで本番にミスをしづらくなりますし、ダメージを受ける側の目線に立って考えることにもなりますので防御も上達します。

ちなみに、リーサル判断に関しては以下のような法則がございますので、よろしければ参考にしてみてください。
参考文献:https://3422project.hateblo.jp/entry/2018/12/12/134347

(法則)
攻撃のオーラダメージとライフダメージのうち、小さい方の値をA値とする。また、相手は対応を一切行わないとする。
 自分の攻撃のA値の合計 >= 相手のオーラ値 + ライフ値
であれば、リーサル確定。

(例)
自分の攻撃:一閃、飛苦無、毒針、月影落、流転の霞毒
相手:オーラ5、ライフ5
 自分の攻撃のA値 = 2+2+1+4+1 = 10
 相手オーラ+ライフ = 10
条件式を満たしているので、リーサル確定。

(注意)
上記法則は十分条件であり、必要十分条件ではございませんのでご注意ください。例えば相手がオーラ5、ライフ1のときは3/1攻撃を2回当てれば勝てますが、この場合は上記法則を満たしません。(相手オーラが残ったまま勝利できるためです)

■ 序盤の展開を考えていない
ふるよににおいて長考しがちなのはやはりリーサルが絡むゲーム終盤ですが、意外と長考しがちなのが序盤です。大会でも、15分経過してお互いのライフがまだ8~9残っているということが時々あります。ふるよには間合を合わせて攻撃するゲームであるため、多くのマッチアップにおいて序盤の間合の折衝は非常に重要です。お互いに相手の出方を見ながら慎重に自分の動きを検討した結果、まだ2-3T目なのにかなり時間が経過してしまっていた…というのがよくあるパターンです。
これは十分にゲームに慣れた方でないと難しいのですが、ふるよにには眼前構築というフェーズがありますので、眼前構築の余った時間を序盤の検討に充てるという対策があります。実際にカードを引いてみてマリガンの検討をしたり、相手の動きを予想して序盤の動き方を何パターンか考えておくだけでもそこそこ時間を節約することができます。眼前構築に慣れてきて1~2分でデッキを組めるようになってきた方は、残り時間の有効活用を意識してみてはいかがでしょうか。

4. こんなデッキを使う時は気をつけよう

 ここまでで時間切れを防ぐ方法をいくつか紹介してきましたが、それでも起きてしまうのが時間切れ。ここでは時間切れの影響を受けやすいデッキを独断と偏見と経験則でいつくか紹介します。以下のようなデッキを使う場合は、いつもよりスピーディなゲーム進行を心がけるとよいでしょう。 当然ですが悪用は厳禁でお願いいたします。

■ ビートコントロール
「久遠ノ花」などの強力な対応カードを構えながら自身の攻撃を相手ライフに通していくデッキです。
ビートコントロールは(実はデッキに入っていないかもしれないが)対応を構えて相手のリーサルを抑止し、準備が整ったら自分がリーサルを取りに行くという展開になることが多いです。つまり対応がないと相手にバレてしまうとその強みを失ってしまいます。
このようなデッキはライフが拮抗した状態で時間切れを迎えてしまうと、判定負けを防ぐために不本意なタイミングで対応を切らされ、次のターンの攻撃を捌けずに敗北となってしまうことがあります。コントロールデッキ使用時はただでさえゲームが遅くなりがちですので、残り時間には常に気を配りましょう。

■ 全力カード使用からリーサルを狙うデッキ
「気炎万丈」「どろりうら」「天地反駁」「山城水津城の鬨の声」などをキーカードとして、展開した次のターンに勝利を目指すデッキです。付与札以外だと、「Julia's BlackBox」からのForm:Garuda変形などがありますね。
デッキコンセプトの通り、上記キーカードの使用は基本的にリーサルターン直前となりますが、全力ゆえカードの使用だけで1ターン消費してしまうため、未使用のまま延長戦を迎えてしまうとコンボが決まらず敗北となってしまうことがあります。
ちなみに私は「天地反駁」を展開すれば勝利確定の場面でライフ劣勢のまま延長戦を迎えてしまい、他にライフ差を覆す手段がなくて敗北したことがあります。相手が5分ほど長考したまま延長戦に突入してしまったためかなり凹みましたが、自分もその直前に同じくらい長考してしまったので文句は言えませんでした…

■ 特殊勝利デッキ
「闇昏千影の生きる道」やカナヱの終幕ルートが該当します。
特殊勝利デッキは相手のライフを削ることよりも特殊勝利条件の達成に重きを置くため、攻撃カードは必要最小限しかデッキに入りません(全く入らないこともあります)。そのためライフは基本劣勢でゲームが進行します。勝利条件を満たす前に時間切れとなってしまうと、相手ライフを削る手段がほぼないので敗北となってしまいます。
生きる道デッキの場合は相手の攻撃に対処していかなければならないので難しいところではありますが、カナヱの終幕ルートはある程度デッキの回し方が決まっていますので、本番でもたつかないよう事前に練習しておくとよいでしょう。(ちなみに、環境トップレベルのカナヱ終幕ルートはめちゃくちゃ速いので、そうそう時間切れに困ることはないと思いますが…)

5. 終わりに

本記事は以上となります。ゲームをサクサク進められるようになると、大会中は余裕を持ってプレイできますし、フリープレイでも短時間に多くのゲームを遊べるようになります。そして思考の速さはふるよにだけでなく他のゲームにも生きてきます。
初中級者向けを想定した記事のつもりが、思いついたことをつらつら書いた結果誰に向けたものか自分でもよくわからなくなってしまいましたが、少しでも多くの方の役に立ちましたら幸いです。

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