お笑いライブを配信で見る③-吉住、岡野陽一、ザ・マミィ ユニットライブ「東京春一番」-

人力舎芸人推しとしては、賞レースに強いタイプではないと思っていた吉住のTHE W優勝は嬉しい誤算だったわけで、THE W前に公式Youtubeでアップロードされていた岡野陽一との対談動画やヒコロヒーと紅しょうがの金借り動画もチェックしていた身としては、THE Wの裏で熱戦を繰り広げていたTHE Mも含めて楽しめたのだった。

そんな吉住と岡野、東京コント村界隈で活躍するザ・マミィのユニットライブの配信期限が今日までだったので、駆け込みで購入・視聴。ネタ書きの才能はピカイチなのに全然ネタを書かない岡野と、ネタパレとかをちゃんとチェックしていないせいで実はそこまでネタを観たことがないザ・マミィの新ネタも見れるライブということで、ライブシーンのゆるゆるとした雰囲気込みで楽しかった。

ネタについては、全員「狂気」にステータスを全振りしていて最高なんだけど、その中でも「世界観自体が狂っている」岡野、「日常世界に潜む狂気が次第に露わになる」吉住、「世界観が次第に狂っていく」ザ・マミィとそれぞれ狂い方が三者三様で面白い。

ネタの爆発力という意味では、岡野のネタ「誘拐」「整形」はどちらも凄まじい。作家を誘拐してネタ見せをする芸人とか、電車内で角に座っているときに乗客のカバンが頭にぶつかるのが嫌だから頭に板を括り付ける整形を依頼する患者とか、もはや中島らもの世界観。こんな奴、現実世界にはいないんだけど、岡野の狂気ワールドではこれが日常なんだな、と思わせるあたり、ラーメンズ的な天才性を感じるんだけど、本人がどうしようもなくクズなんだよな。そこがいいんだけど。

吉住は、夢追い人を叱咤激励する僧侶が本気で夢を諦めさせようとする「タテイシさん」も面白かったけど、特に2本目の「悪口」が秀逸。「練馬の××で働いてそう」という悪口の切れ味も流石だけど、あれくらい心が腐っている人って普通にいそうだよな、とも思ってしまう。少なくともネット上にはたくさんいるし、心を腐らせることが一種のライフハックになっている節もある。

ザ・マミィは卯月時代の募金のコントと、ネタパレで何本かネタを見たくらいだけど、1本目の「年収1,000万」が特に面白かった(2本目の「タトゥー」も家族愛×狂気のドラマでよかった)。年収1,000万でタワマン暮らし、外車維持はしんどい気もするけど、その年収を維持するための酒井の血尿がにじむような努力・執念はやはり笑ってしまう。林田がちょくちょく小声で呟く毒舌も相手を馬鹿にしている様が伺えていちいち面白い。

合同コント「ルームメイトの彼女」は、途中で林田が思いっきり台本を飛ばす⇒岡野、林田も一発ギャグをやる謎の流れであったり、吉住の全く様になっていない痴女演技であったりでかなりグダグダだったが、出演者をそれなりに知っていることもあって楽屋ネタ的に笑えてこれはこれでアリだし、お笑いのライブシーンって本来これくらいの緩さなんでしょう。最後の全員でテレビのリアクション芸の練習をするコーナーも信じられないくらいグダグダだったけど、まあ学校の放課後的なわちゃわちゃ感で普通に楽しかった。ザ・マミィの酒井があまりに平場ポンコツなので心配になったけど。

次の日曜日はR-1の決勝もあるので楽しみですね。


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