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ゲルハルト・リヒター展

ひとりでふらっと行ってみた美術館でめちゃくちゃ殴られたので覚え書き。事件だよ!
(美術館内は写真撮影◯です。もちろん実物の圧は全く伝わりませんが…)

美術館の入り口の雰囲気でなんとなくどんな展示かわかる。もうこの時点で「良かった」。

色と反射

展示室に入ってまず目に入るのは「アブストラクト・ペインティング」ていうシリーズでした。作品解説によると「異なるものが活発的に同居するイメージ」らしいです。

もうあーはい、好きですね!ゲルハルト・リヒターさんの絵!
写真では消えてしまっているけど、金属光沢の上に鮮やかな色がにじみ出してて(もちろん実際は描いてるのだけど)。
そういえば車擦ったとき、こんな感じの模様出るなあ。そのイメージが脳内にあるから、無理してない、自然にできた模様やな〜っていうイメージが思い浮かぶのかも。めっちゃ好きですね。

この絵はキャンバスに描かれたものだけど、さっきと同じ種類の自然さがあるように思う。うーん、青と茶色が出会うときってなかなかないのになんでこんなに自然なんでしょうかね。
「すみません、明日のシフト代わってもらえませんか…?」「え、全然大丈夫っすよ!むしろ入りたいっす!」レベルで色がすっと素直に並んでてすてきです。

想像からの創造

次の展示室には、写真をベースにした作品が並んでいました。

田んぼ道に佇む犬の写真に、でかい何かが描き足されてる。

わー、絵ってこういうこともできるんだった!!!
日常風景の中に怪物にも神様にも見える何かが佇んでる。意味もない落書きではなくて、「写真が撮られたその現場に既にこの何かがいて、シャッターを切っても見えないからリヒターさんが描き足して完成させた」みたいな感じがしました。

この写真シリーズもたくさんあって、人の写真に抽象的なペイントがしてあって、シャッターを切った瞬間のその人の感情が可視化されたみたいな印象を持ちました。絵っておもしろい。

グレーに対する計らい

このごろ、デザインしている時にグレーという色を使ってみたり、濃さの塩梅に悩んでみたりすることが多くて、着実にグレーっていう色のことを身近に感じつつあるのですが。
この展示の中にグレーに関する作品がたくさんあって、「すいません、全然解像度足りてませんでした…」となりました。

黒も白も、自然界にはほぼ存在しないめちゃくちゃ強い色で、全然ベーシックな色ではない。グレーの方がよっぽどニュートラルに近い色である…というデザインデザインした見解を持っていましたが、リヒターさんの思考を通したグレイはこんな感じなんだな〜と。いっしょにご飯食べながらいいお話を聴かせていただいた気になりましたよ。おこがましいよ!

白と黒の間に宇宙みたいに広いグレーっていうゾーンがあって、その中でいろんなものを表現したり、表現させたりすることができるんだなあと思わされました。
今後もデザインを続けていくにあたってグレーを使うシーンはたくさんあると思うので、そのたびに今回の展示を思い出して一段丁寧に使わせてもらおう…と胸に刻みました。グレー、だいじ。

ブレの時間軸

また自分の話をして本当に申し訳ないですが、だいぶ前からトレーシングペーパーとか、ぶれた写真とかが好きで。その理由が3年ぐらいずっと見つからなかった(探してたわけでもないけど)んやけど、今回の展示でちょっと端っこを掴んだ気がします。得るもの、多すぎる。

写真で伝わるか微妙なところですが、この絵、ちょっとブレてるんですね。うわー好きだなあ!の次に、なんかブレって時間とか余白を感じさせるのかもなあと思った。
はっきりしたものは、その瞬間が切り取られてて凍結されてて、平面で2次元。でもブレたりボケたりしてるものは、時間も一緒に凍結しちゃってるんですよね。時間があるからブレる。ボケもそうで、ピントが合うものが他に存在していて、立体的な空間があるから成立する現象じゃないですか。

はっきりした、広がりのないものよりも、掴み所がないけど空気や空間が一緒に伝わるもののほうが好きなんだなあと!!!!!!まじでこれが解けたの、本当にすごすぎなので。もっかい夏休み入ってもいいですかね。

おわり

展示を見て一時間でこんなに書いてしまいました。単純に好きだと思う作品が多くて、そして自分が今考えてることの先にありそうな考えがたくさんあって、とてもとても学びになりました。

芸術作品に対する感想を書くのは少し怖いです。これが正解でも不正解でもないことは当たり前ですが、文章にしてしまこと自体無粋かもしれないと思う。でもあまりにも得たものが大きくて言葉に変換されていったので書いちゃってるんですよね。

とりあえずみんないってほしいです。

ミュージアムショップでこんなに買ったの久々

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