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【ビビリ】エアーズロックに登って腰が引けていた話

オーストラリアのウルルと呼ばれる地方にエアーズロックがある。

先住民族アボリジニのアナング族が住んでいる場所だ。

なので、ウルルが正式名称だが、イギリスの探検家の名前を取り、エアーズロックの名前で親しまれている。

2019.10.26で登山禁止になるという情報を得たので、その1年前にエアーズロックに登りに行った事を書いていく。

エアーズロックリゾートと呼ばれる宿泊施設があり、そこでツアーを組み、エアーズロックへの観光が始まる。

ガイドの方に先導されてバスに乗り込み、色々と説明を受ける。

ツアーの説明、歴史の話、禁止事項などなど

その中に、
「登山中に人が死んでます。日本人の方も何人か亡くなっています。」

「もし、登山中に遭難した場合は救助に向かいますが、その費用が1000万かかります。」
と言われる。

「え?」

もっと気楽なつもりで登りに来たのに、何やら圧をかけられる。

事前にブログなどで得た情報では、
「イェーイ!登頂成功ー」
「みんなは3時間かかったらしいが、僕は1時間半で行けましたー⤴︎⤴︎アゲアゲ」

みたいなことばかり書いていたので、ワクワクしていた気持ちが、ドキドキに変わる。

おそらくガイドの人も会社から、
「先住民族の文化を大切にしなくちゃいけないから、無理に登らない様に伝えて行こう!」
みたいなことは言われているのかなと思う。

でも今更
「じゃあ辞めときます」
とも言えないので、登りに行く。

ちなみにエアーズロックは入山制限というのがあり、風の強さや、天候、気温、先住民族の行事など、入山の確率は30%と言われている。

なので、3回行って1回登れるくらいの確率だ。

その中でも風の影響による制限は強く、こまめにチェックされているので、麓で待機している人は多くいる状態!

ちなみに僕は1回目に無理でリゾートに帰り、情報を入手しながら2回目にトライすると行けた!

もちろん嬉しかったが、先程のガイドの説明が頭をチラつく。
「人死んでる」
「1000万」

そして、いざ入山!

ややこしいのだが、エアーズロックは山では無く岩なので、周りは何もなく、崖が続いている。
なので、登っていると下の景色が丸見え!
これが僕を恐怖に駆り立てる!

最初は、岩に打ち込まれた手すりを持ちながら一列になり登っていく。
降りてくるグループも兼用の為、鎖が揺れている。
恐怖心の為か、鎖を持つ手が強くなっているのを感じる。
前腕の腕が早くもパンパン!

すると、恐れていた強風が吹く。
そちらに意識が行っていなかったというのもあったが、風により帽子とサングラスが飛んで行く。
自然の
「oh my god!」
が発せられる。
コロコロコロ・・と帽子とサングラスが谷を下っていく。
その転がっていく風景に、
「俺もあんな落ち方するのかなー・・」
みたいな恐怖心が強くなる。

そして、ここら辺であることに気付く。

「ちょっと待て!俺スニーカーだ!!」

周りを見れば山靴ばかり!

そう!ツルツル滑る!

そして、忘れてはならないのが、エアーズロックが一枚岩だということ。

山とかだと、瓦礫や木の根っこに足をかけたりできますが、一枚に繋がっているので足をかける所が少なく、
しかも、かつて何人もの登山者が登ってきている為か、ルートがやけにツルツルしている。

「終わった・・」

ビビリの本性が出てくる。
鎖を持つ手が一層強くなり、不思議と息も切れ始める。

そう!
エアーズロックの一番しんどい所は、この最初の急傾斜の所なんです。

休憩する場所もあまりなく、そこそこの傾斜を登る必要があり、距離もそれなりにある!

結論を言うと、
この最初の傾斜さえ登れば後のアップダウンはあれど、平坦な道が続くので楽になれる。
なので、ココが踏ん張りどころ!

もちろんその時は知らないので、必死で鎖を持ち休憩を挟みを繰り返している。
そして、何とかその傾斜を登り切ることに成功!

日本人のツアーの人たちもいたりして、ホッとする。

「ココからは楽だと思うよー」
と教えてくれ、さらにホッとする。

その後は大きな急勾配はあれど、横が崖という場所が無かった為、気持ち的にはだいぶ楽!
だって滑ったとしても、数m位の転倒で済むから!

と、余裕を見せていると、
僕の中で最大の恐怖シーンに出くわす。

両方が谷になっており、カーブを含めた数m位の傾斜を下らなくては行けない所がある。

足場は感覚では40〜50cm位の幅だったと思う。
もちろん手すりは無し、横に滑りでもしたら谷に落ちて帰って来れなくなる。
しかも、僕の場合スニーカーだし、ルートはツルツルしている。

「終わった・・(2回目)」

行きたいかと言われると行きたくはないが、
不思議なもので、引き返す勇気もまた無い。

『ココまできて引き返すのはダサすぎる』

みたいな変なプライドが邪魔をする。

しかし、僕も人間なので恐怖は感じる。
ってかむしろ人よりもビビってる。

そこで、あのガイドの言葉が頭をよぎる

「人が死んでます」
「1000万」

・・・
・・・・・

時間にして1分くらいだったと思うが、多分色々考えた1分だ。

そんな色々考えている時に、ふと横を見ると、6歳くらいの男の子が
スタスタスタ・・
僕を追い抜き、その崖のある細傾斜を下って行く。
・・
・・・
「え、俺メッチャ・・ダサいやん?」

少しだけ勇気が出る。
6歳の子から!

「お兄ちゃん頑張るよ!」
そう心の中で思い、
エアーズロックにお尻をピッタリ付け、重心がブレないように足と手を広げ、エクソシストみたいな姿勢で下って行く。

何とかそこをクリアし、その後もアップダウンはありながらも、登頂成功!!

ちなみに帰りはと言うと、登る形になるので、
助走をつけて2/3くらいまで勢いで登り、そこから手と足を使い、木を登るような感じでヨジヨジと登りました。

見栄えとかどーーーでも良い!

命が大事だ!!

そして最後の難所!
最初の傾斜の所!

ココは鎖があるとは言え、横は崖になっているので、下の景色が見えるという恐怖がある。

スキー場で傾斜角度はそれほどでも無いのに、いざ滑る所に行くと傾斜角度が増えているような感覚になるアレと同じ。

ココでももちろん秘儀を使う!

先程、子供から勇気をもらい生み出した、エクソシスト滑り!

ココでは鎖がある為、手は鎖を持ち足を開脚し、お尻をエアーズロックにピッタリと付ける。
そして、

ズルズルズル・・
ズルズルズルズル・・
ズルズルズル・・

俳句みたいな音頭です。

それはいいとして、
ココも正直怖かったが、色々と恐怖に打ち勝ってきた為か、思ったほどの恐怖心は無かった。

ただ後で見ると、ズボンは少し摩擦でテカテカしてた。

そして遂に、無事下山に成功!

不謹慎だとは思うが、
「そら、人も死ぬわ」
と言うのを少し感じた。

ただ達成感は凄くあった!

そして、ブログに書いてあった事を、少しだけ恨んだ。

そんな自分の人間性が出た、聖地ウルルの場所だった!

タロ

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