10.9%

4年目の大学芸会が終わった。31日決勝、優勝はブラウン管ベイビー。すごいな。決勝でも群を抜いて面白くてみんなが納得するくらい圧倒的優勝だったと思う。

対して僕は8月14日に大学芸会が終わった。10.9%。この数字だけが現在も頭の中にぐるぐると回り続けてる。全然ウケなかった。すごく自信があるネタですっごく楽しいネタだったのにウケなかった。ネタをやる前は上がる前提で周りの人に色々な話を聞いて、上がる前提の話をしていた。だけど上がるどころかウケなかった。

10.9%は面白くなかった人が取る数字だ。もちろん面白かったけど同じブロックが削りあったりして全ての組に当てはまることではないけど14日の方南会館にいた人達は僕たちにピクリともしてなかった。それは自分達がウケないネタをやっただけだし、責任は完全に自分達にあると思っている事は理解してほしい。

『4年間やってきてこの数字か』

エンディングが終わって数字が出た時、悔しさ恥ずかしいという感情の前にこんな思いが頭に浮かび上がってきた。そのあといままで思ったことが無い諦めの言葉がたくさん思い浮かんだ。4年間たくさんライブに出まくってどうしたらいいか切磋琢磨してやってきたのに、あぁ、ただ『努力が足りなかった』の言葉で片付けてしまえるのだろうという事が虚しく、自分の楽しかった思い出や良かったと思っていた経験の全てを自分自身で崩してしまったことが情けなくてしょうがなかった。

話は変わるけれど、先日、西渕に誘ってもらって浅沼とるんとバッティングセンターに行ってきた。目的は30センチ大のホームランの的に当てる事。前に西渕が来た時に当たらなかったのが悔しくてまた来たらしい。5000円を払って4人で25ゲームプレイした。僕は野球をやったことがなかったので最初に浅沼にバッティングフォームを指導してもらいながらやってみた。あれ?意外とあたるな。楽しい。1プレイ目はあっさり終わった。みんな上手いんだろうなとみていたら浅沼とるんは経験者だったこともありフォームも綺麗でめちゃくちゃ上手い。対して西渕はたまにあたるけどそんな上手くない。フォームも弱そうだった。話を聞いてみると野球したことないらしい。まじかよ。なんでみんな誘ってバッティングセンター行くんだよ。バッティングセンター行く奴って当たるから行きたいんだろ。少し不思議だったけどそれも流して2プレイ目。1プレイ目で慣れたのかかなり当たる。そして2球続けてホームランの的に1メートルくらい外れたとこに当たった!誰もまだこんな惜しいとこには当ててなかったのでこれは時間の問題だ。僕はおそらく当てられるだろうとタカをくくっていた。そしたら浅沼とるんも惜しい位置に飛ばしてくる。だけど当たらない。そしたら誰かが今まで打っていた打席の隣の打席にすればホームランが出やすくなると言った。それなら移動しよう。満場一致で移動することが決まった。僕も気合を入れて打とうとするけど、あれ?なんか打てないな。なんか違うな。という違和感を感じた。同じ球速の筈なんだけどな。前の打席は最低速度が110キロだったけどこの打席は最低速度が100キロだったため、遅い方が打ちやすいだろうと思い球速を遅くした。確かに球は遅いけど、打てない。打てないままそのプレイは終了してみんなの元に戻ると遅くすればいいんもんじゃないと教えてくれた。なるほど。あえて難易度を低くしてもいいもんじゃないもんな。だけどそのあとみんな同じ打席でプレイをするけど誰も上手く打てなかった。この打席があんまりなんだ。前の方が良かったね。そんなこんなで変える前の打席でプレイし始めるとみんながみるみる打ち出す。やっぱり打席の違いなのか。僕の順番が回ってきたのでプレイを始めるとあんまり当たらなくなっていた。あれ?当たらないな。そして当たらないまま僕の順番は終わってしまった。スランプに陥ってしまったのだ。そしてこれから先、終わるまでスランプは続いた。バッティングセンターで遊び続けているとその人の大学4年間が現れてくるような気がした。るんはめちゃくちゃバッティングがうまいので必ずボールに当ててコンスタントにヒットのあたりを量産し続ける。浅沼もめちゃくちゃ上手いからヒットの当たりは出るしホームランの的にめっちゃ惜しい打球はたくさん飛ばすけど力んじゃって結局最後までうまくいかなかった。これを本人に言ったら凄いなんとも言えない顔をしていた。ごめんね。対して西渕は最初は上手くなかったけど打つたびにコツを掴んでどんどん上手くなっていった。最後の方になるとかなり惜しいあたりも打ち出していたからおそらく通い出したら絶対ホームラン打てる人になるだろうな。僕は最初はカンとかイメージで上手くいってたけど雑念や欲に溺れてしまってなにもかも上手くいかなくなってしまった。たぶんそうだ。バッティングセンターってこんなに人を透けさせてしまうものなのかと驚いた。

無味無臭は今まで基本的に漫才コントの形をとって活動してきた。正直自分達のネタを面白いと思ったことはあまり感じた事はなかった。ただ1.2年の頃はある程度お客さんに認めてもらった感じがして、これがお笑いをやっていることなんだって思っていた。でも3年になってから全くウケなくなった。なんだろう。これがウケなかったら何をすればいいんだ。3年のNOROSHIが終わって漫才コントに限界を感じた。漫才コントをやめて1年生の冬に少しやっていたしゃべくり漫才の動画を見つけたのでみてみると、おもしろい、いいな、これがやりたかったんだ。自分達がおもしろいと思ってるものをやればいいんだと気づいた。この漫才をフォーマットにして新しいスタイルを見つけよう。二人で話し合った。そして呼んでもらったライブで新しいネタを試してみる。反応もいい。これが本来の自分たちのスタイルなんだ。凄い楽しかった。ネタ合わせの時も楽しくて楽してたまらなかった。

でも大学芸会では全くウケなかった。10.9%。ただこの数字が残った。試行錯誤してなんとか見つけたもの、考えながら楽しくて楽してたまらなかった思い出も10.9%レベルの思い出や試行錯誤だったんだよね。こんな文章が思いつくような甘い考えは抜き出したいけどこれがリアルなんだ。もがく苦しみよりももがき苦しんでいる事実を認める方が苦しかった。だけどもうそんな事は言ってられない。もがき苦しんでいる姿さえも楽しんでもらえるくらいにならなきゃ次のステップにはたどり着かないんだ。

僕達はこれからも色んな試行錯誤をしていくと思う。成功するまで挑戦すれば失敗にはならないというけれども、大学生の寿命は短い。もうすぐ死が迫っている。この4年間が人生の縮図だとするならば死んでいるような人生なのかもしれない。救いが欲しい。だけど救いは一つしかない。でも欲しいのは僕だけじゃ無い。全ての学生芸人に救いは必要なんだ。全てに救いがあって欲しいとただただ思う。

ただこれは不幸じゃないんだ

またバッティングセンターいってみようかな

実はラジオやってます。聴いてください。

https://youtu.be/VLi0F8Vt1LE



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?