スピード

 大学を卒業した。まさか4年生で多めに42単位を取るとは全く思っていなかった。こんな凄いことができたのは原付を買ったからだ。僕の家から大学までは自転車で20分にもかかわらず電車でも20分かかってしまう。利用している電車がすごい遅いのが原因だ。自転車と電車、同じ通学時間だったらお金がかからない自転車を使った方がいいと思う人もいるかもしれない。しかしこれは誤りだ。僕の自転車はロードバイクのようなものではなく普通のママチャリのため、遅い割に漕ぐと疲れてしまう。さらに雨が降ってたりすると遅いし疲れるし濡れるしで最悪な気持ちになる。通学しただけで何か損した気分になってしまうのはよくわかんないし、眠りから覚めた瞬間に遅いし疲れる乗り物に乗らなければいけないのかと思ってしまうのが1日の始まりとして最悪だった。こうして僕は自転車通学を諦め電車での通学を始めることにしたのである。
 電車通学を始めるといかに自転車通学の愚かさを体感する様になった。僕の利用している電車はとても遅いが自転車よりは数倍も早い。何より移動中に作業ができるのがありがたい。自転車だと絶対無理だからな。雨の日も快適に濡れることなく学校に通えるのはすごい。これは悪魔的な乗り物だ。しかし電車通学にもデメリットが存在していた。それは電車から降りて歩いて学校に向かう際に移動速度が遅すぎることだ。僕は今まで自転車のスピードに慣れた後にさらに早い電車に乗ったため、自分の歩くスピードが遅いと感じてしまうようになってしまったのだ。これは誤算だった。僕は毎日電車を降りるたびにこのスピードに嫌でも従わなければいけないのか。とても悔しくてたまらなかった。そんなことを繰り返しているうちに僕はこのスピードに対して心が折れてしまい、毎日学校に通うことが出来なくなってしまった。学校に行きたいと燻る思いを忘れるためか僕はFIFA2019のワールドカップモードで日本代表を優勝させることに忘我した。毎回日本代表がワールドカップに挑むもののやはり世界の壁は高く、グループリーグを突破することも難しいような状況が何回も続いた。時には大迫と乾を2トップにして大迫をターゲットマンとして働かせ、乾が裏に抜けられるような状況を多く作るようなことをしたり、3バックにして守備を固めてカウンターサッカーを意識するようなことをしたがあと一つのピースが足りないと感じていた。そんな時、浅野琢磨が僕の前に現れた。浅野琢磨はジャガーと言われてるだけにスピードがめちゃめちゃ早いため、スルーパスや浮かせたパスなどもディフェンダーを置き去りにしてゴールを量産してくれる。全ての戦力が整った。こうして浅野やハーフナーマイクなどの新戦力の活躍もあり日本代表はワールドカップを制覇することができた。
 こんなことをしていたら4年生になっていた。自分があとどれくらい単位を取らなければいけないか調べたところ、最低でも39単位取らなければいけないことが発覚し絶望した。39単位を取るには今のスピードでは絶対に不可能だ。スピードを上げるためにはどうすれば良いのかずっと考えていた。それは授業中やバイト中、寝る前や通学中など全ての時間だ。こんなに考えても自力でスピードを上げられないのが悔しかった。ある時ふとFIFA2019をやっていると浅野のスピードに驚いてしまった。こんなにも速いのかと、そしてこれは慣れないものなんだと悟った。何の気なしに浅野に勝つためにはどうすればいいのか少し考える。たくさん考えても恥ずかしいことに浅野にハンデを与える方法しか思いつかなかった。しかし考えた末バイクに乗れば勝てるという結論に至った。そうだ、バイクで学校に行けばいいんだ。自らのスピードを上げる方法を思いついた僕はすぐに原付を買った。
 原付を買ったことで僕のスピードは上がり早く学校へ行けるようになった。このことで15分遅れると遅刻扱いされる1限の授業でも10分遅れで着くようになり、通常出席扱いされるようになった。これが単位を取り切れた理由なんじゃないかと僕は思う。
 ここまでだと、原付は全てを解決してくれる物と思ってしまうが、デメリットも存在する。第一に原付は雨が降ってしまうと濡れてしまう。これは自転車でも経験したことだ。しかしレインコートを着ればほとんどの雨を凌げることができる。自転車だと漕いだ熱を逃すことができないため原付だけ対策できるのだ。第二に手押しだと大きくスピードが落ちてしまうことだ。手押しの状態だと歩行者よりもスピードが落ちてしまう。これは悲しいことだ。これからはギリギリのところまでエンジンは切らないようにすれば大丈夫だ。つまり原付は買った方がいいということである。


 最後に
 大学に通ったこと、文理落研に入ったことは人生を俯瞰してみてもだいぶグッドな判断だと思います。高校生から毛が生えたみたいな時期から4年間たくさんのことを学べたこと、たくさんの人に出会えたことは本当によかった。苦しい時期もありましたが、終わってみれば楽しく過ごすこともたくさんできたのかな。4年間で学んだことはやってるジャンル以外のインプットとアウトプットの量を増やすことがお笑いだけじゃなくて全ての表現において大切なのかなというふうに思ったりしました。
 今までお世話になった人、迷惑をかけた人はたくさんいます。本当にありがとうございました。そしてご迷惑おかけしてすみません。
 これからもご飯とか飲む時とか是非誘ってください。たくさんお話ししましょう。
 ではさようなら。


追記4月1日

これまで面白い人達に嫌になるほど出会いました。その面白さのせいで心が折れそうになって苦しくなってしまったりしたこともあります。でもこんなに面白い人達に出会えて楽しく過ごせた僕は幸せものです。今年は特に面白い人達がたくさんプロになりますが、僕はプロに行かずテレビ制作の仕事に就きます。制作の仕事で僕はちゃんと結果を出して自分の番組を持ちます。だから10年後また一緒にこれまで出会った人達やこれから出会う人達と楽しく面白いものを作りましょう。面白いものを作った後にこれまでと同じような飲み会をして、遊びに行って、ずっと楽しい人生を送ろう。もしかしたら僕もそっち側の人間になってしまう可能性はあるけど、過程なんてどうでも良くて、最終的に楽しければいいと思うので!これから頑張っていこうよ。



 

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