クロへの手紙~MAD廻想旅話解説~

どうも、noteでは初めまして。よく二次創作の映像を作っております。てつ(XIAO)と申します。

今回AniPAFE2020のイベントにおいて【静止画MAD】棺担ぎのクロ。~廻想旅話~を出させていただきましたので、それの解説をしようかなと思います。

ちなみにタイトルは原作の字並びを参考に「回想」「旅を廻る」と「動画が廻る(1周回って元に戻る)」の3つをかけています。ややこしや。

【棺担ぎのクロ。について】

きゆづきさとこさんによる「まんがタイムきらら」で連載されていた漫画でございます。 つい2,3年前に完結いたしました。
1人の旅人が2人の子供と一緒に旅をするお話。
その旅路で色々な人に出会い、不思議なことに出会い、色々なことを学ぶそんな素敵なお話。

【動画の全体像】

全体像は以下になります。

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はいそこ!面倒くさい言わない!
なんすか、これ。と言われそうですが、言ってしまえばこの世界には3つの次元の世界があります。

1.クロが読んでいる絵本の中の世界
2.夜中にその絵本を子供に読み聞かせている世界
3.ニジュクとサンジュがそれらを映像として流している世界

【視聴者も旅人である】

上記をもとにして視聴者の流れを見ると以下の感じでになります。
2→1→2→3→それらを見ている外側
・・・わかりづらいので1から説明します。

画像10

初めの世界でクロが「いらっしゃい」と言葉をかける。でもその段階では外はわからないので視聴者はまるでクロが自分に語り掛けてるように見える。

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1.クロが本を語ることにより本の中の世界に入る
2.本の内容が終わり本の外の世界に出る
3.これは視聴者に語り掛けているのではなくニジュクとサンジュに語り掛けていることが判明する
4.Endingを足すことによりこれはニジュクとサンジュが映していた映像ということが判明する

うーん面倒くさい。見ていくうちにちょっとずつ世界が外側に広がっていく。まるで知らなかった世界を広げるような感じに。

そもそも視聴者もMADとMADの間を行き来する旅人みたいなもので、その映像でゆっくりする人もいれば、ちょっといて通り過ぎる人、そもそも通らない人、何度も寄る人色々いると思います。そんな気まぐれな旅人。

【語りのMAD】

上記で語った通り①はクロがニジュクとサンジュに読み聞かせをしているシーンになります。下の絵のような枠に囲まれた文字が結構出てくると思いますが、これは絵本に書かれた文字を表しています。書いた内容はほぼ私が考えて書いてます。

字の文

【テーマのお話】

「テーマ:照らすもの」照らすものとはなんぞや。これらです。

照らすもの

これ全部です。

月:言わずもがな
クロ:何も知らなかったニジュクサンジュを照らすもの
ニジュクサンジュ:物語の最後にクロを照らすもの
プロジェクター:画面を照らすもの

選曲に「光の道標」を選んだのもちゃんと上記のテーマがあってこそになります。

【双六のお話】

今回ちょいちょい双六の画面がありますね。

双六

人生もきっと双六みたいなものでしょう。スタートして進んだり戻ったりしていつかゴールに向かうんです。
その人がゴールと思ってもまた新たに道を引いてくれる人がいる。新たなスタートを切らしてくれる人がいる。
たまにはスタートに戻ってもいいんじゃないかな。

双六の「スタートに戻る」に合わせて動画も「スタートの場面に戻ってる」にリンクさせる構成。

【モデリングのお話】

ここら辺からほんの少しだけ技術とか制作風景のお話。
今回ニジュクとサンジュをモデリングしました。いいポーズの素材がなければモデル作ってポーズ作って出力すればよかろう。

絵本的な雰囲気作る時に原則カラー(一部は演出の都合上白黒多めのシーンもありますが)で作りたいなーと思って。
原作にある動くシーンを作る、ないし原作にない動くシーンを作る時に方法がいくつかあると思っていて私が今回行ったのは以下3つ。
1.原作の絵を動かす(Live2D)
2.モデリングして動かす
3.描く

伝染病のシーンなんかは全描きです、7枚。

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ニジュクサンジュに関しては、もうこれは描くよりモデリングした方が早いわとなったので1からモデリングしました。
顔のあたりは特に細かいモデリングはしてません、ぺらっぺらです。
テクスチャで多彩な表情のテクスチャで代用してます。時短です。

表情s

単純と思われますが結局最終的にイラスト調変換するからいいんです。
キャラモデリングすればポーズも自由で描く手間を抑えられるので時短!

【背景のお話】

今回の背景結構Unreal Engine 4で作ってたりしております。

理想の背景がなければ組み合わせて作ればよかろう。
アセット多い出力速い!リアルの風景っぽいもの作るならもってこい(ただしアセットの容量めちゃくちゃ食う)

BlenderのUE4変換ツールを使いfbx変換して上のニジュクやサンジュのモデル取り込み。

それでも一部マテリアルはうまく適用できていないことがあるのでUE4側で手動で設定。

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あとはオブジェクト置いたりライトの感じを変更したりして調整して完成(下のは元のから明度上げてる)

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【絵本のような空気感】

上記で3Dで背景なり3Dモデルなり作ってますがそれを絵本っぽく加工しまくってます。

BEFORE

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AFTER

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ツールはAviutl。意外と何とかなるものよ。原作が既に絵本みたいな空気感でそれを再現する方法を実は前々から模索してきてました。以前依羅グルーヴ事変に出させていただいた以下の作品はそれの前身でもあったりします。

3Dと2Dを融合する手法は
「2次元に光などの3次元的処理加えるか」
「3次元をイラスト調にして2次元化するか」

の2タイプあると思っていて、
今回の作品は圧倒的に後者の方が雰囲気に合っており、それを手法を模索していただけになります。
基本的な処理は各種ブラー(大体メディアンブラー)+減色+輪郭抽出+ディスプレイス+色調補正+テクスチャ+ノイズなどその辺の処理をごっちゃごっちゃ組み合わせてます。(ノリと雰囲気)

【余談】

作っているときにコーヒーこぼしてキーボードが壊れました。
投稿3日前にPCのメモリが壊れて編集できなくなりました。
これが伝染病の呪いか....(多分違う)
もうぼっろぼろの状態で一歩間違えれば幻の作品になりかねませんでした....。
心配してくださった皆様、メモリ交換にお手伝いしていただいた方、お手伝いするとお声がけいただいた方....本当にありがとうございました!

【最後に】

画集の最後『クロからの手紙』より一節を引用させて締めさせていただきます。

偶然見つけてもらえるかもしれないし、
気付いてもらえないままかもしれない
どちらでもいいんだ。
とっくに伝わっていると思っていたことをわかりやすく、
形にしただけだから。
どこかにいるかもしれない、私の旅と交わった、あなたへ

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