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恋愛短歌同好会のPDF選者をしたことと、選んだ歌以外で好きな歌について

このたび、toron*さん(@toron0503)が毎月開催しているキャス「恋愛短歌同好会」の会報、「ショートケーキソング」第十五号のPDF選者をさせていただきました。

たくさんのすてきな歌の中で3首だけ選ぶ、というのがなかなかにむずかしく、結局3首の中には入れられなかったけど同じくらい好きだぜ!という歌がけっこうあるので、こちらで評(というよりほぼ感想)を言わせてください。

ちなみに、選びかたとしては、最初はふつうにツイッターハッシュタグの #恋愛短歌同好会 で検索して画面をずらずらと見ていたのですが、ツイッターでお話ししたことがあったりして、どんなかたかを知ってる(気にわたしが一方的になっている)かただと、

「アアーやっぱりこの人のこういう感じの歌いい……!」

ってなってしまったり、あまり存じないかたの歌でも、

「アアーこのアイコンの感じでこんな感じの歌を詠まれるのめっちゃいい……!」

ってなってしまったりして、雑念が入りまくりスティだったので、ツイート一覧をExcelでなんやかんやして、名前の部分やハッシュタグなどをすべて取っ払った、歌だけの状態になるように整え、そのあと1週間くらい時間をかけ、見た歌のすべての記憶をなるたけ消すようにして、純粋に歌だけで選ぶようにこころがけました。
Excelがそれほど得意じゃないので、効率的に名前とかハッシュタグとか削るのに、ひさしぶりにExcelの教科書を開くという行為をしました。がんばった。

そのあと、Wordで縦書きにして紙に印刷して選びました。印刷したら5ページとかになりました。すごい。
今回の応募は247首あったとのことで、毎月、一冊の歌集くらいの歌が集まっているんだなあ……と驚きます。

(↑印刷した恋愛短歌たち)

それでは、徒然なるままに感想を書いていきたいと思います!ヒアウィーゴー!

どうせ抜くから赤いのだあの人とわたしの間にある躾糸(羊亥ハジメさん)

躾糸、よく買いたてのスーツや制服のプリーツスカートなんかについていて、たやすくぶちぶちちぎれますし、するすると抜けてしまうか弱い糸です。主体はあの人との間に赤い糸の存在を感じていながら、その糸はたやすく切れてしまうものだという諦観を抱いている。その、せつない感じが非常に好きです。初句と二句の句またがりの引っかかる感じも効いている気がします。

マーガリンびっしりと塗る君のこと考えながら隙間なく塗る(ふらみらりさん)

偏執さをも感じる主体の、気持ちの熱量の大きさがとてつもないと感じました。追い詰められたり、精神的に参ってしまった人間はすこしの余白でも怖くなり、余白を埋めたくなる、いう話をどこかで聞いたことがあります。
「隙間なく塗る」「びっしりと塗る」という、ことばを変えての繰り返しも、いい意味での「やばさ」を醸し出していると思いました。

君がゴリラに似てたから間違ってゴリラを好きになりそうになる(あぼがどさん)

わかるーー!といちばん素直に共感した歌です。ほんとそう、そうなんですよね……
自分語りをしてしまうのですが、ある時期、玉木宏がかっこいいと毎日のように言っていたら、そんなわたしの言動にうんざりした家族から「でも玉木宏はすこしラクダに似てると思う」と言われ、それ以来ぎゃくに、ラクダを見てもときめくようになってしまったりしたことを思い出しました。

あなたとの時間をスピカと名付ければ青く光って 赦して、スピカ(せしんさん)

まずなんと言っても、かっこいい歌……!と思いました。この歌の解釈、かなりひとりよがりになってしまっている気がするのであらかじめ謝ってしまいます、すみません。
スピカはおとめ座の一等星で、ちょうど乙女がもつ麦穂の部分です。乙女が誰をしめすのかは諸説あるのですが、そのうちのひとつにギリシャ神話のペルセポネという説があり、彼女がざくろの実を4つ食べてしまったがために、一年のうち4か月だけはこの世界は麦などの穀物が育たなくなってしまったそうです。
逆に言えば、麦穂の部分の星であるスピカは豊饒のシンボルであり、あなたとの時間をスピカと名付けた主体はふたりの時間がほんとうに満ち足りていたのだと感じていたのでしょう。そして、そこから結句「赦して」になるということは、そう呼んでしまうことへの罪悪感を主体が感じている。
どこか背徳の恋の香りがして、たまらない気持ちになります。

手のひらの川をなぞれば思い出す君と溺れたのはこのあたり(toron*さん)

手のひらの川は運命線とか頭脳線とか、そういう手相の線であり、生命線をなぞったときに、君との逢瀬を思い出したのだと想像しました。手のひらをそうっとなぞるとなんとも言えない気持ちになったりもしますし(しませんか)、また、「溺れる」という表現から、身体を重ねた日々なのだろうと勝手に思ってしまいました。平易なことばを使いながら比喩がほんと、巧みで、かつ品の良いエロティシズムを感じる歌です。

口でする愛はいよいよ定型で雨の音だけ聞かせてほしい(未補さん)

そして、エロティシズムつながりでこの歌を。口でする愛という表現、いろいろな捉え方があると思うのだけど、わたしは思いきしそのまんま口淫として捉えました。それがいよいよ「定型」、日常のことになっている。主体は女性で相手は男性で、主体は相手のことを好きなのだけど相手はそこまでの想いを主体には抱いていない。でも主体は、心で繋がることが出来ないならせめて体でつながりたいと思っている……みたいな妄想を勝手に広げてしまいました。雨の音だけ聞かせて欲しい、ということは主体は相手になにも喋らないでほしい、愛も言い訳も語らないで欲しい、と思っているということだと捉えました。
現実世界にこんな相手がいたらぶん殴るところですが、創作世界ではめっちゃ好きなシチュエーションで、好きです……!

引かれたら引いて応えるタチだから空檻だらけの「来るもの拒まZoo」(小俵鱚太さん)

そして最後にこの歌を。この歌はタイムラインで見かけたときに、よう意味がわからんけど好き!って思って、そのあと選者になって歌を選ぶとなったときに「ああ……よくわかんないけどやっぱり好きだな」ってあらためて思った歌です。
そんな自分の心を分析してみると、多分わたしは、オヤジギャグ的なことば遊びが好きなんだと思います。で、この主体は、そんなギャグをちょいちょいかますような性格なのだけど、対、人になるとそこまでグイグイいけないシャイな性格で、相手が引くと自分も引いちゃって、だから自分の心の中にはほぼ誰も住んでいない。
くだらないギャグを言ったあとにはにかんだように照れる人が個人的にすごく好きなのですが、わたしはきっと、この歌の主体にそんな感じのアレを見ているのだといま、書きながら思ってきました。

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ほんとうに好き勝手書いてしまったので、解釈が変なところもあると思いますが、好きな歌の好きなところを書くというのはやっぱり楽しいです。どんなときも、好きなものを好きと言える気持ち、抱きしめてたいです。

toron*さん、すてきな機会を与えてくださり、ありがとうございました!




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