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THE AMBIENCE OF SPORTS

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カメラマンとして残したいのは「カッコいい瞬間」です。僕がみつけたカッコいいを御覧ください^^
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2021年3月の記事一覧

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.139

蚕室総合運動場は1984年に開場したソウルにある総合競技場だ。アジア大会やオリンピック、ワールドカップ予選など同国のスポーツシーンの舞台として長らく愛され続けている。 ソウルには2002年のW杯のときに専用スタジアムが建設され、国際試合が行わることはなくなったけれど、2013年7月の東アジアカップの韓日戦で久しぶりの開催となった。 この頃のザックジャパンの課題は新戦力の発掘で、この大会では多くの代表選手が誕生して、大会MVPになった山口蛍や得点を獲得した柿谷曜一朗の活躍で

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.138

サッカーを撮影するとき、選手と近すぎて撮り逃がすことも多いけれど、ゴールに向かってくる迫力ある絵が狙えるのはゴールの近くだ。 反対にコーナー付近はシュートシーンが狙いやすいし、何よりもゴールしたあとの喜びが目の前にくる可能性が高いので人気のポジションだ。 渡航者として撮影する海外サッカーでは、数少ない貴重なチャンスを来るかどうかも分からない喜び狙いで待ち続けるのはリスクが高い。だから、僕はだいたい内側に絞っていることが多かった。 この時は珍しくコーナー付近が空いてたので

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.137

初めて訪れた時からこれまで何度も足を運んだけれど、僕には今でも変わることのない習慣がある。それはこの芸術的な吊り天井を使った絵作りを探ってしまうことだ。  これは当時の日本国民が待ち望み、熱狂して、そして祝福した東京オリンピックのために、全身全霊を賭した人々の想いが与えてくれる不思議な力のせいなのかも知れない。  「世界のタンゲ」こと丹下健三によってデザインされたこの代々木第一体育館は1964年の東京オリンピックが生み出しだ正真正銘のレガシーだ。  2012年@代

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.136

ネットを挟んで競われる競技のルールはさまざまだけれど、相手の陣地にボールやシャトルを落とすことでポイントを獲得する点は共通している。 小さな物体を落とさない行為はそれだけで難易度が高く、レベルが上がればあがるほど針の穴を通すような技術と高い集中力が求められる。 サーバーが構える。「シーーー」。静まり返る観客。「タンタンタン」。ボールを弾む音だけが響き渡る。プレーオン。一瞬でポイントになることもあれば、長いラリーになることもある。そして、静寂を打ち破る咆哮と、少し遅れてさざ

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.135

最大斜度37度。ほとんど崖のような急斜面に規則的に配置されたコブをリズミカルに滑り降りるモーグルの見どころのひとつはエアーと呼ばれるトリックだ。 もともとブーツを頭よりも高くあげることが禁止されていたけれど、ルール改正でよりアクロバティックなエアーが見られるようになった。 体の軸をズラして回る3Dエアーを初めてみたとき「おおおおおお!!」と思わず声が漏れ「で、どうなってたんだっけ?」となった。 写真的な話をすると背景をお客さんで埋め尽くしたくて、撮るたびにアングルや場所

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.134

当たり前の話だけれど、屋内で撮影するときは光と影を使った表現が封じられてしまう。 ある日、飛び込み台の向こう側にある窓が僅かに背景に使えそうなポジションをみつけた。 高速で落下する選手に逆光状態でピントを合わせながら追い続けて、小さな背景に写し込むのは想像以上に難しかった。 2012年@辰巳国際水泳場/日本選手権 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

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THE AMBIENCE OF SPORTS vol.133

古代オリンピックで人気競技だったレスリングの歴史は古い。 「つかみ合って投げる」 シンプルだからこそ人間の本能に訴えかける何かがあったのかも知れない。 2012年@東美濃ふれあいセンター/ぎふ清流国体 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽ 

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THE AMBIENCE OF SPORTS vol.132

採点競技の体操は技の難度に注目してしまうけれど、指先や足先にまで巡らせた神経が勝負を分けることもある。 2011年@東京体育館/世界選手権 横位置の写真なのでinstagramもぜひ^^ ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

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THE AMBIENCE OF SPORTS vol.131

テニスの試合は長い。短ければ40分くらいほどで終わる試合もあるけれど、長ければ3時間以上かかることもザラだ。 この日も2時間を越える熱戦となり、序盤はコートに落ちていた光もみるみる内になくなってしまった。 太陽大好き人間としては写真的な楽しみが失われていく中で閃いた。 「そうだ、アレ撮ろう!」 ということで錦織圭の代名詞「エアK」をパシャリ。てか、めっちゃ跳んどる! 2012年@有明コロシアム/楽天オープン この写真では高さが分かりにくいのでinstagramもぜ

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.130

不整地で競われるシクロクロスは自転車を担いで超えなければならない障害物がある設置されている。 朝霧高原に即席で作られたコースは何もないが故に背景処理が難しい上に、レース前までは晴れていた空もだんだん曇り始めていたから、光と影で誤魔化すこともできない。 「そうだ、寄ってみよう!」 ということで、広角レンズで障害物に近寄って煽ってみた結果がこちら。 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽ 

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THE AMBIENCE OF SPORTS vol.129

最近は季節に関係なく大気が不安定な日が多いけれど、10年くらい前はそこまでデタラメな感じではなかったように思う。 梅雨のある日のこと。グズついた空模様だったけれど昼過ぎになると風が強くなっていた。 「これはもしかして、、」 僕は戸田にある漕艇場を目指した。 風が強かったり局地的な大雨が降るとほとんどの場合、いい迷惑だけれど写真を撮るときだけはドラマチックな空模様になるから、僕はそんな荒れた天気も嫌いではない。 2012年@戸田漕艇場/ボート ▽△▽△▽△▽△▽△▽

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.128

初めてラフティングを撮った時、どんな写真を撮りたいのか考えた。 ベタだけれど、やっぱり一度は派手な水飛沫を撮ってみたい! ということで、素人だからまったく独自の解釈だけれど、水の流れを読みながら沢を歩いていた。 すると、あるチームがものすごいスピードで文字通り飛び跳ねながら僕の目の前を通過していった。 彼らは世界選手権にも出場するほどのチームで、前年の世界王者としてこの大会に臨んでいたと知ったのは、レースが終わってからのことだ。 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.127

ラフトと呼ばれる大型のゴムボートに乗り込んで渓流を降るラフティングは、夏になると子どもから大人までみんなが幸せになれるリバーアクティビティだ。 もともとは金発掘や探検のために丸太を組んだいかだや木製のボートが使われたのが起源だとされ、第二次世界大戦以降、ゴム製のボートが使われるようになって普及するようになったらしい。 やがてスリリングな激流を降る楽しさを覚えた人の中から「俺たちが一番だぜ」と速さを競うようになり、レース競技が生まれた、のだと思う。 自尊心、優越感、達成感