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こつこつ京都学

Vol.7 20240211 #犬も歩けば  01 「抜け雀」

こんにちは、「こつこつ京都学」主宰の佳子(よしこ)です。
さて、今日の「こつこつ京都学」は、初めてのジャンル「#犬も歩けば」。小ネタです(笑。
京都を学びながら、京都を歩きながら、おっ!あっ!ややっ!と思った小さなネタで、忘備録を兼ねています。

知恩院のフィールドワークで、知恩院七不思議の一つ、「抜け雀」(狩野信政筆)を見学しました。
抜け雀といえば落語よね、と思う人は落語ファンですね。
私のその一人。久しぶりに「米朝落語全集」第6巻(桂米朝著、創元社)を紐解きました。

今では時々、「抜け雀」が高座にかかります。私は、左甚五郎ものの落語ネタが好きなので、何度か聞いています。
「長いこと、関西では私以外、誰もやらず、東京の落語のようになっていましたが、近年は関西でも高座にかける者が増えつつあります」と、米朝師は書いています。

そうなのか。誰もやらんかったのか。
こういうのを復刻させたところに、人間国宝たる所以がありますね。
舞台が小田原だから江戸落語というわけでもなく、米朝師はこの噺を、4代目桂文枝(1891~1958)に教わったそう。

上方芸能のループ

抜け雀のサゲは、「現在、親のかごをかかせた」です。
息子の絵師が、宿の襖に飛びたつ雀の絵を描いたのはいいが、のちに宿に来た年配の男が「この雀は死ぬ」と宿主に告げ、絵に鳥籠と止まり木を描き足し、雀が生きる術を示した。
その鳥籠を描いた(かいた)のが、長く会っていない父親だとわかり、「親不孝ではあるまいか。現在、親にかごをかかせた」で噺は終わります。

「これは、講釈にもよくある、左甚五郎と狩野の某とかのいわゆる名人譚の一つ」と、米朝師は書いています。
このサゲ、実は、浄瑠璃「双蝶々曲輪日記」(ふたつちょうちょうくるわにっき)橋本の段の傾城吾妻(けいせいあづま)のクドキ、「現在、親に籠をかかせ…」からきていることも説明しています。
「そのことを知らなくてもこのサゲは成立しますが、当時のお客にとっては、耳に馴染みのあるこの言葉」(米朝)。

ああ!

私は落語も文楽も大好きですが、いまや落語で語られる言葉や習慣はもとより、その元になったエピソードがわからなくないことが増えています。
知恩院→抜け雀→落語→浄瑠璃(文楽)、上方芸能つながるつながるを発見できるのも、こつこつ京都学の恩恵です。

<続く>

#こつこつ京都学
#犬も歩けば
#京都検定
#抜け雀

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