寒中温景

深い眠りに居る 人の手を
浅く目覚めた 空の光 撫でる
冷気と湯気の入り交じる 混沌
吸い込んではため息にする

つやつやとした肌へ
ぼろぼろの布をあわせ
空気が不条理を染み込ませて
水へ溶かした

また咲いた また書いた また泣いた
また閉めた また消えた また微笑んだ
さあ眠ろう

重ねる手 絡める手
それは 孤独を忘れるための安心
離れるときの呼吸が
体温を冷ます

溝から落ち続ける砂を凝視して
君の動きに目を逸らす
記憶してるのはこの体だけでいい

また合わせた また触れた また包んだ
また閉めた また消えた また微笑んだ

水滴の落ちる音 なぞる線を光が覆う
こぼれたように寂しさが喚く
温度を忘れたこの体に 何を残していこうか

また咲いた また書いた また泣いた
また閉めた また消えた また微笑んだ
さあ眠ろう

もう眠ろう

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