さんぽみち 春号(第3号)

さんぽみち春号表紙png


巻頭歌

さんぽみち春号巻頭歌png

一本の坂道上り一塵の風も無く咲く桜と出逢ふ

(ひともとのさかみちのぼりいちじんの

 かぜもなくさくさくらとであう)

                  つる うた・筆・画




☆ごあいさつ


こんにちは。

この度、発行しますネット短歌雑誌、

『さんぽみち 春号(第3号)』の作者、つるです。

ご機嫌いかがお過ごしでしょうか。


もろもろに春を感じる昨今です。

これを書いている今現在(3/30)、

こちら大阪では桜がおおむね満開です。


私の note では、

自作の短歌を詠むことを、

メインコンテンツとしております。

ほぼ毎日、1首を詠み続けています。


今回のコンテンツは、

今年明けから、今まで詠んできました、

拙歌をまとめて掲載することを主眼として、

雑誌、という体で公開することに

しております。

2021年(令和三年)1月7日より、

今まで詠んできました分です。

およそ3か月の期間に詠んだ一連となります。


有料記事(価格100円)として

公開させていただきますけれども、

すべて無料で閲覧可能とさせていただきます。

どうぞご遠慮なくご高覧くださいませ。


短歌(作歌)を始めて、4,5年になります。

内、2年ほど、現実の世界で、

短歌クラブに通いました。

わずかの期間ですが、短歌結社に在籍したことも

ございました。


今現在は、

ここ note にて、詠むことのみの毎日です。


短歌の詠み方としましては、

なるべく古語で、

そして旧かな使い(歴史的かな使い)で

詠ませていただいております。


それでは、

本編に入らせていただきます。







☆本編



目次

1.表紙

2.巻頭歌

3.ごあいさつ

4.本編(途中、ひとやすみコーナー有り)

5.あとがき(編集後記)









2021年1月7日より








よもや雪 うどん屋で窓眺めつつAMラジオ聞く寒さ哉


*こちら大阪で雪が降るのも、

 稀になってきました。

 よもや、という言葉も今は、

 日常語として使われなくなったかも

 しれません。もしかして、などの意です。

 哉、は、かな、と読みます。

 ひらがなで使ったり、

 時と場合により、使い分けています。






ざらついたブレイク・ビーツに魅せられて七草粥を食べ逃がす夜


*ブレイク・ビーツは、

 音楽の1ジャンルです。

 クラブミュージックと呼ばれる

 音楽ジャンルのさらに細かい分野です。

 主に、

 数小節ほどのドラムのリズムパターンを、

 レコードなどから盗み録りして、

 ループさせて再生します。

 サンプリングと称します。

 ラップ・ミュージックや、

 テクノ・ミュージックなどに使用されました。

 一時、流行しました。

 






初雪よ 将棋を指して負けし身で相手と景色しづけく見ゆる


*負けし・・・過去形で、負けた、の意です。

 しづけく・・・しずかに、ほどの意です。

 見ゆる・・・連体形で、見える、の意です。






冬冴へて冷めしコートのポケットに手を入れて乗るブルー・トレイン


*ブルートレインは、昔の寝台列車です。

 そのほとんどが青い色の列車なので、

 このような名が付いたのかもしれません。

 私の記憶もおぼろげになりましたが、

 『さくら』とか、各種名前が付いていました。






バイシクル薄氷避けて漕ぎ出でなサスペンションを心で効かせ


*バイシクルは、英語で自転車の意です。

 漕ぎ出でな、という表現は、

 万葉集の名歌より引用しています。

 薄氷は、はくひょう、と読みます。

 うすらい、とも読みましたでしょうか。

 サスペンションは、

 車輪の振動に、

 クッションを効かせるための機能部品のことです。







こども用らくがき帳の表紙見る真顔のわれや ふとちから抜く



割烹着 調理の前に一服をする脳みそはうどんで一杯



ぼたん雪ひと粒ごとの大きくてぽったんぽったん落ちる落ちてく






言わずにはおれなくて言う「寒い。」とう言い方探す冬の山見て


*とう・・・というような、の意です。







サイレンが夜明けに響く 置き物の猫に手をやり読書を止めぬ


*止めぬ・・・止める、の完了形のつもりです。
       止めてしまった、などの意のつもりです。

       やめぬ、と読みます。







いにしへのRPG想はるる30年後の今わが暮らし


*RPG・・・ロールプレイングゲームの略。
       物語の主人公になり切って遊ぶ、
       シミュレーション・ゲームのこと。

       ボードゲームに始まり、
       テレビゲームにもあります。

 いにしへ、想はるる・・・ともに、

             いにしえ、おもわるる、と

             読みます。








しづけさを黒とも思へ冬の朝まだき脳の白さを思へ


*思へ・・・おもえ、と読みます。

      ここでは、命令形として使っている
      つもりはありません。

      微妙なニュアンスなのですが、
      思えて、とか、
      命令形として読むとしても、
      相手に強制する意図でない、
      一種の強調を表現したい旨の、
      思へ、のつもりです。

 まだき・・・まだ早く、などの意です。

 脳・・・なづき(なずき)、と読みます。古語で。







たそがれの色求めては借りて観し映画のなかのキャメル・コートを


太陽の熱と光が伝え来る案ずる道も熱を持ちつつ



こさえてはせっせとつなぐ駄句の道ただ毎日に想う空かな


*駄句・・・だく。つまらない句、の意です。






目に見ゆる最も遠き星ならば宇宙の始めにも届きさう


*遠い星であれば、あるほど、
 宇宙の始まりを見ることになる、という、
 科学のお話に寄せて。

 届きさう・・・とどきそう、と読みます。






千六百八十二兆四千の八百十億光年にお茶


*戯れ(たわむれ)の歌です。







瞳に涙してこぼれ落ちたるものを誰かがそっと思いやりけり


*破調(はちょう)です。
 五七五七七(定型)にしていません。







大寒にノン・アルコール呑みながら将棋の負けをふり返るかな





上弦の月の話をし合いけり 花瓶の菊の咲いている午後


今宵見る空に月なく諦めて雨だれを聞く何か楽しも


声出してその詩歌へばその中の宇宙が外の宇宙となれり


悲しむるBGMで組み立てるパズルのごとき私なる人






特に歌へることなくてひと眠り夢の中では五、六騎急ぎぬ


*五、六騎急ぎぬ・・・俳人、蕪村の句、

           鳥羽殿へ五六騎急ぐ野分かな、

           より引用しています。

           完了形で、

           急いだのだった、などの意です。






~ To the old music notebook (古い音楽帳 さんへ宛てて)~

友なので 協和音でも 休符でも 不協和音でも 友であります








夕空の冬白きほぼ望月の雲間に見へてやがて隠るる


*望月・・・もちづき、と読みます。満月の意です。






さよならをしたのそしたら思はぬも冬おとづれて私に出逢ふ








望月に習ひてわれもなりたきは丸き形のごとき心よ


*丸き・・・まろき、と読みます。







冬まだき早朝に見る満月が西の空へと落ちてゆくなり








早咲きの桃のつぼみを撮る女の帰りし後にわれも眺めり


*女・・・ひと、と読みます。

 眺めり・・・眺む(ながむ)、の完了形です。

       眺めたのだった、くらいの意です。












2月1日(月曜日)より






わが家もて一年の鬼おはしける明日へ備へて豆にぎるかな


*もて・・・でもって、くらいの意。
 おはしける・・・尊敬語。おはす、の過去形。連体形。

         居る、の意です。








節分の日も家に籠り一夜とて頼りの月も見へぬ心地そ


*家・・・や、と読みます。

 心地そ・・・ここちぞ、と読みます。

 見へぬ・・。みえぬ、と読みます。見えない、の意です。





わり算のひっ算解いて間違える ああ五十路まで二年の頭


*五十路・・・いそじ、と読みます。五十歳。









教えらるクラリネットの郷愁はかの人のもの われもまた、なり


*この拙歌を、音楽帳工房 様へ捧げます。

 教えらる・・・教えられる、の意。
        終止形なので、一旦ここで切れます。

 一首に、句読点を入れるのは、
 慣習的ではありませんけれども、
 特別に入れています。








少しづつ日長くなりてなにとなく如月五日暦を見つつ


*如月・・・きさらぎ、と読みます。二月のことです。

 暦・・・こよみ、と読みます。






母が吹く 子が追いかけるシャボン玉 呼びかける声 吹き上げる風







二月の 母と散歩す 駅をまわり 行きて帰りぬ 梅咲き始む


*二月・・・にんがつ、と読みます。







湯気香るコンソメスープ食卓の食い気と眠気もう春はそこ





人生を半分生きたともすれば本を片手に指す将棋かな








メジロの子一羽か二羽か枝に遊ぶ やつと一羽に目が定まりぬ


*枝・・・え、と読めるでしょうか。
 やつと・・・やっと、と読みます。旧かな使いです。







今は無き枯れ葉を想ふ此の年も樹に手を触れず過ぐる冬かな


*此の・・・この、と読みます。







春までは残る寒さと身に沁むも梅はここぞとばかりに咲きつ


*咲きつ・・・完了形です。咲いた、の意です。








バレンタイン・デーの前日ふたりして茶飲み話にただ耽りをり


*耽りをり・・・ふけりおり、と読みます。

        耽っている、の意で進行形です。









幸せをキープするごとボトルには何々様の待たれてをりぬ


*をりぬ・・・おりぬ、と読みます。旧かな使いです。

       完了形を表しています。












~ 詩人の名 ~

上の句に谷川俊太郎入れて下の句にジャン・コクトー入れる


*たわむれに詠みました。

 上の句・・・かみのく、と読みます。五七五のこと。
 下の句・・・しものく、と読みます。七七のこと。









詩の比喩を読みて心が揺さぶらる 言の葉溶けてゆく心地すれ


*すれ・・・古語で、するけれども、ほどの意です。







雪の朝一番にゴミ捨てにゆく空きビン缶の行方知らざる


*知らざる・・・知る、

        に打ち消しの助動詞を付けた連体形です。

        知らない、の意です。








夕暮の画を購ひて夕暮の空を仰ぎて白き月見ゆ


*画・・・え、と読みます。絵のこと。
 購ひて・・・あがないて、と読みます。買うこと。










~ 竹久夢二の『長崎十二景 青い酒』を模写して詠めるを ~

さりげなく酒をたしなむかなしみを絵画に込めしかの夢二かな








洗濯機よく回るごと日めくれて二月尽まで八日に至る


*二月尽・・・にがつじん、と読みます。二月末日のこと。






不幸にももどきのあらばサツマイモ食べつつ日曜午後が過ぎゆく







~ ギター奏法 ~

検索をかけて違いを調べ聞くスラーとハンマリング・オンとの


*スラー・・・西洋クラシック音楽の楽譜用語。
       音符と音符を滑らかに演奏する指示。

 ハンマリング・オン・・・ギター奏法における用語。
             ギターのネック側で、
             弦を押さえて音程変化を演奏します。







コーと鳴る風さへぎらぬ土手の上見渡すもののみな遠かりし


*古語辞典によりますと、さえぎる、遮る、という言葉は
 無いようです。








~某月某日~

名月を謳ふ名歌もありしかと今日見る月の白きほどなり


*謳ふ・・・うたう、と読みます。

      賛美する、などの意です。







土手の上 風を浴びつつ二月は行く しばし残念かみしめてゐる


*かみしめてゐる・・・かみしめている、と読みます。

           旧かな使いです。








ちらし寿司その具華やぎ散り敷くを一つ購へ帰る途かな


*購へ・・・命令形ではありません。微妙なニュアンスです。
      買って、くらいのこと。

 途・・・みち、と読みます。道。








日めくりの暦のごとく一首詠みつづけることの日も影も無し


*ごとく・・・古語で、ように、の意です。連用形です。









がんばりて探しものなど見つけける日曜午後に働きアリ見


*見・・・見る、の古語で終止形。み、と読みます。














♪ ひとやすみのコーナー



ここまでで、

2月末日までに詠んだ歌を載せました。


少し息抜きのページを設けます。


今年は、桜のスケッチに3回行きました。

その内の1枚です。


マンション枝垂れ桜png


かなり薄い絵で、撮影もつたなくてすみません。

地元の町のあるマンション中庭に植わっていた、

しだれ桜を描きました。色鉛筆です。




私の母は、特に趣味を持ちませんが、

たまにたわむれに、

絵はがきの絵など、描いたりします。

母の絵png


南天の実でしょうか。

適当に描いているらしいです。





私は、特に躊躇せずに付けているのですが、

マスクチャームを3つ、持っています。

マスクチャーム3つ


マスクのひもに、引っかけるアクセサリーです。





以上、ひとやすみのコーナーでした。☆












3月1日(月曜日)より






花の芽の緑掛かれば心さへも芽吹きてまなこ透く心地すれ


*さへも・・・さえも、と読みます。

 心地すれ・・・心地がするけれども、ほどの意です。









赤信号しばらく待ちてふと気づく となり花屋のミモザ咲く見ゆ


*待ちて・・・待って、の意です。

 見ゆ・・・見える、ほどの意です。








せめてまた次につなげむ負け将棋せしまた歩から一手学ばむ


*つなげむ・・・つなげん、と読みます。
        つなげよう、ほどの意です。

 せし・・・過去形で、した、ほどの意です。

 学ばむ・・・まなばん、と読みます。
       学ぼう、ほどの意です。






白湯飲みてこの身あたためて友だちを一人思ひつつお菓子つまみぬ


*思ひつつ・・・思いつつ、と読みます。

 つまみぬ・・・完了形で、つまんだのだった、
        などの意です。








母生れてわが生れてこの地にはつか涙することも一生にありて


*生れて・・・あれて、と読みます。生まれて、の意です。

 はつか・・・わずか。かすかに。

 一生・・・ひとよ、と読みます。








お任せでヘアー・スタイルたのむらし甥っ子の今はツーブロック


*たのむらし・・・たのむらしい、ほどの意です。
         推量です。








近づきて見上げるほどの高らかさコブシのびのび咲き上がりたる


*咲き上がりたる・・・完了形の連体形です。
           咲き上がったのだった、
           ほどの意です。









記さずにおけばしづかなエンディングノートの表紙オレンジ色す


*しづかな・・・しずかな、と読みます。旧かなです。

 オレンジ色す・・・オレンジ色する、などの意です。
          する、の古語で終止形、す、です。









竜のごと軒下までも伸び上がる枝の先々あせび群れ咲く


*ごと・・・ように、の意です。

 軒下・・・のきした、と読みます。

      屋根のすぐ下、ほどの意です、









心にも小さき春よも此の道のつぎつぎに見る雪柳咲くを


*小さき・・・ちさき、と読みます。

 此の・・・この、と読みます。








川岸に鴨がいるいる自転車で土手をゆくゆく春迎へゆく


*鴨・・・かも、と読みます。
 
 迎へゆく・・・迎えゆく、と読みます。









見上ぐればコブシの花やわが顔に雨降る音のポツポツを聞く


*見上ぐれば・・・見上げれば、の意です。

         みあぐれば、と読みます。









八千歩歩みし今日も零時にはリセットされし万歩計なり


*歩みし・・・歩む(あゆむ)の過去形の連体形です。








咲きしものつぼみのものや散りしものモクレンが花風にゆれつつ


*モクレンが花・・・モクレンの花、の意です。

          昔は助詞、『の』を『が』と

          使っていたように思われて、

          私が詠むときは、よく使っています。








花の名を思ひ出してはつぎつぎと言ひ合ふヘルパーさんと待つ春


*思ひ出しては・・・おもいだしては、と読みます。

 言ひ合ふ・・・いいあう、と読みます。








ギターもてパンクな朝を打ち破るコード三つではったりデイズ


*ギターもて・・・ギターでもって、くらいの意です。

 コード・・・ここでは、音楽用語として詠んでいます。

       和音のことです。

 パンク・・・音楽ジャンルの一つです。

       ロックミュージックから派生しました。

       社会への反発など、

       メッセージ性のある、勢いのある

       バンドミュージックです。








高齢の介護施設で芸術家宣言したら拍手の止まず


*止まず・・・止まない(やまない)、の意です。









春風をサーフィンしつつ名も聞けぬ速さで鳥が彼方へと消ゆ


*彼方・・・かなた、と読みます。

 消ゆ・・・消える、の意です。








通ひ道 花屋の前でゼラニューム見つけるたびに慣れ親しむる


*通ひ道・・・旧かな使いで、かよいみち、と読みます。

 親しむる・・・古語『親しむ』の連体形のつもりです。

        名詞に係るのですが、

        あとの言葉を書いていません。

        昔お聞きした話で、

        歌の末尾を連体形で終えると、

        歌の頭に戻って読む。と、

        記憶していて、それに

        習っています。

        この拙歌では、歌の頭(第1句)の

        通ひ道に、暗に掛けているつもりです。

        繰り返し(ループ)の効果を

        狙ったものです。










ザリガニが手足を上げて気持ちよく浴びてるやうな今日の雨かな


*やうな・・・ような、と読みます。旧かなです。









旅人と見送る人がこの街で別るるときの空の色かな


*別るる・・・別れるの古語です。

       別る(わかる)、の連体形です。








夕方の枝垂れ桜の川沿ひを風をまとひて子ら駆けてゆく


*川沿ひ・・・かわぞい、と読みます。

 まとひて・・・まといて、と読みます。

 子ら・・・子供たち、の意です。









ひとりして花見をすればかなしみにたへて優しき六分咲きなる


*なる・・・助詞『なり』の連体形です。

      歌の頭(ひとり)に掛けているつもりです。

 たへて・・・たえて、と読みます。

       耐えて、絶えて、など、

       読み方は色々あると思えて、

       ひらがなにしています。












花を見て思ひつく人みな逝きし人にも聞かばこころ愛しき


*聞かば・・・古語で、聞くならば、の意です。

 思ひつく・・・旧かな使いで、おもいつく、と読みます。

 逝きし・・・逝くの過去形の連体形です。

       逝った、の意です。

       こころに掛かります。

 愛しき・・・今は、

       いとしき、と読むようですけれども、

       昔は、かなしき、と読んだと

       記憶しています。

       愛し、の連体形です。

       いとしい様な、悲(哀)しいような。










風吹けば桜の枝が個々にゆれ分かるる茎の先の花まで


*分かるる・・・古語分かる、の連体形です。

        茎に掛かります。









「帰るわ。」と言はれて帰る子がひとり長きゆふべを歩く道かな


*言はれて・・・旧かな使いで、いわれて、と読みます。

 ゆふべ・・・夕方のことです。旧かな使いで、ゆうべ、と

       読みます。










春雨の音はげしきが骨身にも響けばいよよはげしく降れり


*いよよ・・・古語で、いよいよ、ますます、の意です。

 降れり・・・古語で、降るに、完了の助動詞「り」を

       付けたものです。

       完了の助動詞は、よく使われるよう

       ですけれども、対訳が難しいです。

       単なる過去を表す感じでもないですし。

       現在完了、過去完了とも言いますが、

       訳すのは、やはり難しい。

       歌に即して、訳されるものでしょうか。











横風の向かふに桜見へけるをますぐにゆきて目の前に来ぬ


*向かふ・・・むこう、と読みます。向こう、の意。

       以前からお見掛けしていましたが、

       旧かな使いで、ハ行を使うところを、

       ア行で詠んでいる風潮を感じて

       いました。

       たとえば、『とふ』など。

       という、の意ですが、

       最近は、『とう』と詠まれる方の

       ほとんどです。

       よくは分かりませんが、

       今一度、ハ行を使って詠んで

       みています。

 見へける・・・みえける、と読みます。

        過去形で、見えた、の意です。

 ますぐ・・・まっすぐ、の意です。

 来ぬ・・・きぬ、と読みます。

      完了形で、来たことだなぁ、

      とか、微妙な過去のニュアンスの

      意です。












一本の坂道上り一塵の風も無く咲く桜と出逢ふ


*一本の・・・ひともとの、と読みます。

 上り・・・のぼり、と読みます。

 一塵・・・いちじん、と読みます。

      ほんの少しの、わずかな、くらいの意味として

      使っています。

 出逢ふ・・・であう、と読みます。旧かな使いです。












マンションの中庭で花描きてゐる中こどもらの声が響きぬ


*描きてゐる・・・かきている、と読みます。

         旧かな使いです。

         描いている、などの意です。

 響きぬ・・・響いたのだった、などの意です。

       響く、に完了の助動詞『ぬ』を

       付けたものです。











春うつらうつら互ひに疲れをり訪問看護さんと休みぬ


*互ひ・・・たがい、と読みます。旧かな使いです。

 疲れをり・・・つかれおり、と読みます。

        疲れている、などの意です。

 休みぬ・・・古語、休む、の完了形です。

       休んだのだった、ほどの意です。














4月1日(木曜日)より






目に溜めし涙がこぼれさうなほど桜の花が咲き満ちてゐる


*溜めし・・・溜める、の過去形で、溜めた、の意です。

 こぼれさうな・・・こぼれそうな、と読みます。

          旧かな使いです。

 ゐる・・・いる、と読みます。旧かな使いです。















昨日より今日立ち寄ればさくら花散りし道見て残る花見る


*散りし・・・過去形で、散った、の意です。

 見る・・・古語、見(み)の連体形です。

















カーディガン カーディガンとつぶやきながら探して羽織る春の夜かな












以上、本編の歌、全92首です。














☆ あとがき(編集後記)


まずは、

お読み下さります方へ、感謝申し上げます。

まことにありがとうございます。


今回で、第3号となります、

わたくしネット短歌雑誌。

毎日、短歌を詠む日々を送って、

ここ note で毎日投稿しております。


雑誌にするに当たって、

推敲し直した歌も多くありました。

見直すと、つたなさに

恥ずかしさが募ってきたのでした。


誤字、脱字など、不備ございましたら、

適時、修正する心積りでおります。

1首に、解説を付けるか否か、には迷いました。

無い方が見映えはよく感じますけれども、

小奇麗にするだけの雑誌には

したくありませんでしたので、

本編にあるような形を

取らせていただきました。

まだまだ勉強中の身で、恐れ入ります。




雑誌という形態を取っているとはいえ、

このように、

自分の作品をまとめて掲載できますことに、

喜びを覚えます。


願わくば、読者の方へ、

わずかでもお楽しみいただけるところ

ありましたら、幸いです。


今後も、少しずつ上手く詠めるよう、

作歌に励むとともに、

先人の歌を勉強してゆけたらと、

思うところです。


これからも、お付き合いのほど、

どうぞよろしくお願い申し上げます。


お互いの無事を、

お祈り申し上げて、

あとがき、とさせていただきます。


次号の予定を書きますのは早計ですが、

秋、冬あたりで、

またお目に掛かれたらと、

思います。

それでは。




                 つる かく

   令和3年(2021年)

   4月6日(火曜日) 友引 夜







♪ ~著者(制作者)概略~


 歌人名 つる

 5,6年前より、作歌を始める。

 現在48才の男性。

 独り暮らし。

 受賞歴などは無し。

 今は、

 ここ note で、短歌を詠むのみです。

 尊敬する歌人は、塚本邦男。

 そして、その弟子であった亡き師です。

 

 好きな歌人は、与謝野晶子。

 夢は、

 お金を稼げるようになって、

 母へ仕送りをしたり、

 お世話になった施設へ寄付を

 することです。

 

 精神障害2級の手帳を持っています。

 統合失調症と発達障害です。

 食べ物の好き嫌いはありません。

 大阪生まれ。大阪在住。

 

著者近影です。

つる帽子ありpng

 身長は、170センチ弱。

 体重は、およそ55キロ前後と思っています。

 

 古着好きですが、

 安くて良いものであれば、

 最近は、新品も買います。

 帽子も好きで、よく被ります。

 夏にめっぽう弱いです。

 

 改めて、

 よろしくお願い申し上げます。



ネット短歌雑誌『さんぽみち』春号(第3号)

おしまいです。


以上、文字数9815文字でした。

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