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『レモン』恋歌27首(未発表歌含む)

前書き

俵万智さんが恋愛の歌集『サラダ記念日』を
出されて、もう何年になるかな。
与謝野晶子が『みだれ髪』も。

今現在、歌詠みは女性が多い。
男性の今の恋愛観を詠んだ歌の
少ないような気のされます。
気のせいかもしれないけれど。

ともかくも、恋の歌百首を目指して
詠んでゆきたいと、ふと思いました。

私は note が好きなので、
ここで発表してゆきます。その第1弾。
百首以上を詠んで、
百首に絞り込んだ歌集を
note にて改めて発表しようと
思っています。

なかなか、詠もうと思っても、
詠みたいようには詠めないですけれども、
俳句の多作多捨のように、
数をまずは稼ぐつもりで27首を詠みました。

半分近くは既出ですけれども、
残り半分は、新作です。

よろしければ拙い歌、
ご笑覧いただければと思います。 つる かく


レモン


手をつなぐ恋の薬はよく効いて二人で落ちる副作用です

じゃあまたね小雨降るなか君が去り町はこんなにも灰色だった

肉まんを二人で分けて食べている仲よく恋の黙秘権なり

恋心きみへ配達受け取って欲しいサインはOKがいい


春がためより黒髪のうつくしく陽光よりもまぶしき理論


駅前で夜用の動詞携えてあの人を待つ息はずませて

満たされぬ思いはあれど見過ごして恋は焦らずとも言えなくも

春の朝深呼吸して君の朝イメージしつつふうと吐き出す

風の音街の音など聞きゆけばふと葉桜にも会えて君かな

わがせなをきみ戯れて叩くただそれだけで恋う腫れし心な


片や恋片や何思う聞きたきはきみのそのストライプ・シャツのわけ


受験とは関わりの無く唐突に一次の恋が試されている

恋に手をついて願えばの人よわたしについて来いと言えれば


真夜中のブランコに乗るきみを見て少女かと見るまた恋のする


なんとなくキスの長さは比例して恋の長さと思われたいな

留学をしてきて何も得ぬ人のように恋とは問わず語りの

待たせたらすごく怒って僕のせい好きなの責を負って好きなの


あらかじめルールを決めて付き合うも悪くないかもレモンしぼりぬ


わたしたちどうでもよくて世の中はどうでもよくない恋愛中です


気付くこと傷つくことと築くこと恋愛の気でつねに居たいな

要するに疲れてるから恋心箱入り娘のように居るのよ

自転車の後ろに乗れば後ろから抱きしめていることよ恋過ぐ

脈は無くラインだけが繋がっている既読はつづく線路はつづくよ

恋愛観バリアフリーにしてくれたら君へのスロープのぼりやすいよ

失恋の収集車あれば可燃でも不燃でも持ち去って下され


夕焼けの橋われ先へと駆け出してふり向くきみの笑み後光さす


心配をまじめにされて改めまして恋をするなり恋愛処方



(以上27首)


あと書き

単独で恋の歌を詠むのは、
どうかなと自省しつつ。
見栄を張る、に近い詠みぶりに
なりがちだと思うのです。

せっかく詠むのだから、
愛誦されるくらいの愛される歌を
詠みたいものです。
数少ない恋愛経験から、
なんとか漕ぎつけた27首でした。

最後に、お読み下さります方へ
深謝申し上げます。
詠者 つる かく

令和五年六月十八日日曜日

お着物を買うための、 資金とさせていただきます。