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阪急阪神ホテルズの6ホテル営業終了と、これからの従業員の労働環境について


阪急阪神ホテルズは2025年までに800人の人員を削減すると発表しているが、直接的な解雇はせず、新入社員を入れずに、退職していく社員の数だけで自然に800人もの人員の削減を行うとしている。

従業員からすれば「リストラはないのか」と今の時点では安心できるのかもしれないが、これから起こるであろう事をきちんと考えたら、簡単には安心してはいられない。
まずホテルの解体(大阪)だが、阪神阪急ホテルズは、大阪新阪急ホテルを2024年、千里阪急ホテルを2025年に解体すると、現時点で発表している。これが従業員にとってはかなりきつい事だと私は考える。
1964年に建てられた歴史のあるホテルがなくなる、多くの客から支持を得ていて、大阪では有名なビュッフェレストランであるオリンピアがなくなる、非常に残念だ。などという心配をしているのではない。確かに残念ではあるが、それよりも心配なのは、新阪急ホテルの解体、つまり営業を停止するのが「2024年」というところにあると思う、それまでは営業を続けるということだ。

何が言いたいのか?私が思うには、従業員の労働環境はどんどん悪化していく一方なのではないかということだ。

去年のホテルズの業績を考えると、ホテル業界全体がそうだが、悲惨な状況となっている。それは社員も重々感じている事だと思う。ホテルズの主力であるビュッフェ形式のレストランは、全店舗が約1年程度休業している。インバウンドの観光客がホテルの利益を生み出してくれていたが、それも無くなり、都道府県をまたいでの観光がしづらいこともあり、客室の空きが多い状態だ。

飲食と観光が大打撃を受ける中で、ホテル業界はまさにその大打撃をもろにくらっているのである。だが、去年のボーナスは夏冬共に減額は無く(管理職は減額されていたそうだが)心配していた従業員にとっては非常にありがたい支給となった。だが、労働組合と会社の間では、かなりの交渉が行われていたらしく、社員の生活を守るためにとギリギリのところで、支給するという判断になったという噂もある、去年でさえそうなのだから、今年はほぼ間違いなく減額はあると思っていいだろう、ボーナスの支給が全く無いことだって当然考えられる。となると、社員は当然不満に思うことだろう、仕方がないとはわかっていても、生活がかかっているのだ、そもそも給料に不満がある従業員も少なくない中で、ボーナスカットとなると、生活に不安を感じた従業員で、他でも働けると思う人は転職を考えるだろう、いや、ホテルの経営が難航していると分かった今の時点で、転職を考えている従業員もたくさんいるはずだ。となると、数ある系列ホテルから、少しづつ、あるいは一気に退職する人が出てくると考えられる。

今までなら、辞めて人手が足りなくなった部署へは、補給や部署移動で賄ってこれた、しかし、今回は従業員の補給をする財源などなく、補給は行わないとしている、つまり、穴埋めは残された従業員で行わないといけない、感染症が流行り出す前から、人手が不足しているという声が現場から多かったうえに、さらに追い討ちをかけるように人手は不足していくのではないだろうか?

こうなると、従業員は残業をして業務を終了させなければならなくなってくる、しかし、最近では残業時間を30時間以内にするよう、徹底している会社だ。残業の管理も難しくなってくる、そうなると上からのプレッシャーがかかり、現場の空気も重くなってくることだろう。つまり、残った従業員の負担はほぼ確実に増えることになる。
まだある、大阪新阪急ホテルは系列ホテルの中でも客室数の多いホテルである、そのため、そこで働いている従業員数も多い、そのホテルが「2024年」まで営業を続けるとしている、これが、2021年か2022年には解体するとしていたら、話は少し違ってきていたのかもしれない。つまり、新阪急ホテルが営業を停止するまでは、他のホテルに新阪急ホテルの従業員は移動させることができないのだ、早く解体するのであれば、空いたところにはすぐに新阪急ホテルの従業員を移動させ、補給を行えることもあっただろう、それが2024年まで営業となると、移動させることができないため、系列ホテルの従業員の労働環境は、さらに悪化するものと考えられる。
さらに、こういう時、真っ先に会社を去っていくのは若い従業員からなのではないだろうか?きっと会社としては、将来この会社を担う、若い従業員に残ってもらいたいと思うものだ、しかし若者はまだ他のホテルでも働けると考えるし、なんならまだ若いのだから、他業種でもいけるんじゃないかと考えることだろう。となると、会社に残ってくるのは転職経験のない、古くからホテルに貢献してきた人材となる、40〜50代後半あたりの方々だろう。そうなると、たとえ2025年頃に経営を立て直せたとしても、新しく入ってくる若い従業員は、想像していた環境と違う、と違和感を覚え、すぐに退職していく人も多数出てくるのではないだろうか。

あくまで、ここまで書いてきたことは、私の予測でしかない。もしかしたら、全くこんなことにはならないのかもしれない。しかし、全然考えられるような事態でもある、もしこうなると結局会社は育たない。大きい会社だからなのか、判断が遅い(他会社のホテルは去年の緊急事態宣言が終了したら、すぐに感染症対策をしてビュッフェレストランを再開していたのに、阪急阪神ホテルズは、営業再開までに約1年間もの期間を空けている)もっと大きな抜本的改革が必要なのではないだろうか。できるだけ早くホテルを解体したり、経営状況回復のために従業員も厳選して即解雇(日本は社員を解雇しづらいそうだが)、のろのろと経営状況の悪いホテルをほったらかしにしているから、従業員から給料や労働環境に関する不満が出てくるのだ。そもそもパワハラやセクハラが多すぎる、昔に比べると少なくはなったようだが、従業員が訴えても上で揉み消され、加害者にはロクな罰もない、そんな感じでは、若くて才能のある従業員が去っていくのは当然である。
私はもう退職しているので、最後に身勝手な不満をぶちまけてしまって申し訳ないが、しかしこれが若手の声だ。今までお世話になった会社だから、このまま廃れていくのは寂しい。本気の社員もいる、この会社がこのまま潰れると路頭に迷う従業員も大勢いる。そんなことにはなって欲しくはない。

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