原作原理主義者VS探偵由利麟太郎

原作を横に置いて視聴!

あらすじ:”由利麟太郎(吉川晃司)は、元捜査一課長の経歴を持つ名探偵。頭脳明晰(めいせき)で「警視庁にその人あり」と言われるほど優秀な人物だったが、ある事件をきっかけに退職。現在では、学生時代を過ごした京都に住まいを移し、骨董品屋を営む波田聡美(どんぐり)が家主となる部屋を拠点にしている。また、由利を「先生」と呼んで慕うミステリー作家志望の三津木俊助(志尊淳)を助手に従え、犯罪心理学者として活躍する一方、警察からの依頼を受け事件の捜査を手伝っている。
ある日、“花髑髏”と名乗る人物から殺人予告のメールが届く。「挑戦状だ!」と息巻く俊助と共に、指定された場所へ向かった由利は、そこで血が滴る冷凍庫を発見。中には、遺伝子研究者として知られる日下瑛造(中村育二)の養女・日下瑠璃子(新川優愛)が全身を縛られ、血を流した状態で閉じ込められていた。
瑠璃子にまだ息があることを確認した由利は、救急車を呼び、冷凍庫の持ち主である日下の屋敷へと急ぐ。そして、由利の旧友でもある京都府警の等々力警部(田辺誠一)と合流し、俊助が人影を見たという2階へ駆け上がると、瑛造の息子・瑛一の部屋と思われる一室で、致死量に達するほどの大量の血が付着したダウンコートを発見。
さらに研究室では、日下が胸に短刀を突き立てられ、無残な姿で見つかる。由利は、遺体の傍らに不気味に置かれた、血で真っ赤に染まった頭蓋骨が気になり―”(フジテレビより引用)

許さん

始まる前から「現代!?大丈夫か!?」と不安ではありましたが、なんか…そういうところでないところからダメだったから悲しい…ビジュアル面での好評の話しか伝わって来ないのも悲しい…特に主人公サイドのビジュアルとか原作でほとんど重視されてないことのが多いですよ…人形佐吉はともかくとして…

そもそも、題材に「花髑髏」を選んでおいてなんだこれは…現代の倫理観では難しいことがあるのは全体的にそうだとしても、由利先生ならもっと当たり障りのないやつあるじゃん…
「花髑髏」はまずもうそもそも事件の発端となった20年前の事件からして、あらゆる悪質遺伝を受け継いで、発作的に何をしでかすかわからないほど凶暴な精神病者、という、現代でやったらやばい…みたいな設定があり、二番目に殺された被害者は白痴同様の書生、自分の犯した罪の恐ろしさから自殺するような人間じゃない呼ばわり、そして犯人はキチガイの血、殺人鬼の遺伝子が流れていると書かれています。そして、この物語において、これらの要素は外すことの出来ない、最も重要な要素です。
それをうまく現代に合致させられるのだろうか。いや、出来ないだろうという恐れは、まぁピンズドに当たってしまいました。
被害者が全部悪かったんですよ〜!犯人には悪いところなんてなかったんですよ〜!彼女はかわいそうで〜!白痴の書生は被害者との間の望まぬ子供で〜!よよよ…みたいな話になってしまって…泣きたいのはこっちです。どうしてそんなことにした…?それって由利先生の話でやらなきゃいけないような話かな?二時間ドラマでやってりゃよくないかな?
じゃあどうすればよかったのかと言われると、根本的にこの話を題材にするなとしか…原作の要素を使えないなら全く変えるしかないわけで、そうなった以上、どんな設定にされてもこっちは泣くしかないので…
このおどろおどろしいところとか…怪奇色とかが横溝正史の特徴でもあるわけで、それを再現出来ないならやめちまえ!!!と思いますね。取って付けたような日下教授のマッドサイエンティスト要素はいらないですよ、そういうんじゃないですからね。

更に言うなら、原作関係なく設定の中で矛盾があるのも気になるんですよね。由利先生の先端恐怖症という設定(これ原作になかったですよね?)なのに、弓矢で推理をするって…なんだァ…てめェ…?先端恐怖症なのに矢はいいのか?普通よくないと思いますけど…まぁビジュアル重視した結果なんでしょうね。ビジュアル重視なのはいいですけど、吉川晃司自体が横溝作品から想起されるビジュアルとあってないと思いますよ。現代だから違うってことなんでしょうけど。志尊淳のことはどうでもいいです、別にいなくても一緒だしあの人…原作は違うんだけどな〜!!
でも、ビジュアル重視するなら瑠璃子をもっと絶世の美女にしてほしかったですねぇ!!!絶世の美女は横溝作品では避けて通れませんよ?他にもいっぱいいますよ?どうするんですかいきなりそこでつまずいちゃって。日下瑛一も貴公子然とした美青年ですよ?わかってます?

まぁこの恨み言は私が原作原理主義者だからですね…原作原理主義者、原作以外見ない方がいい、それはそう。
普通に原作知らずに見れば面白いことをお祈り申し上げております!

久々に映像作品になるっていうんでちょっとウキウキしていたんですが、過大な期待でしたね…もう見ません。どうしてあれだけ裏切られて(普段のクソ映画お嬢様部でのことです)まだ映像化に期待しちゃうんだろ…私ってほんと馬鹿…


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