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夜歴を経て気づいた 昼職の素晴らしいところとしんどいところ



こんばんは。
多動OLと申します。

19歳から25歳にかけておよそ6年半、性風俗の世界でお世話になりました。
イメクラ、特殊浴場、飛田新地、性感マッサージ業と、様々な営業形態のお店を渡り歩いてきました。

現在、完全昼職復帰をして数年が経ったところです。

もうすっかり「平凡な勤め人」として昼の世界に馴染んでおり、地味に質素に暮らしております。
今の私に、夜の世界の面影を感じる人はいないでしょう。

それでも夜の世界で過ごした記憶は、アイデンティティとして私の中に残っており、それが消えることはないと思っています。





今日は、夜歴を経て気づいた、昼職のすばらしいところとしんどいところを書いていきます。




まずはすばらしいところ。


・ 仕事を堂々と人に言える
風俗嬢というのは偏見を持たれる仕事です。
私としては「夜の世界で働くことは違法じゃない。一生懸命に働いて、たくさんの人を笑顔にしているんだ。偏見を持つ奴なんてクソだ!」という気構えでいたのですが、やはり偏見をぶつけられれば心は削られていくものです。
自分の心を守るためにも、私は夜の仕事をしていることは隠し通していました。
しかし嘘や建前で身の事情を固めるというのは、居心地の悪いもの。
完全昼職復帰をしたとき、本当の仕事を堂々と言えるのはなんてラクなんだろうと感じました(笑)


・ モンスターなお客様にチームで立ち向かえる
性風俗の世界は基本的に個人プレーです。
モンスターなお客様とも、密室で一対一で対峙しなければなりません。
昼の世界では、モンスターなお客様の対応に苦慮していれば、上の役職の人が来てくれて組織的対応に切り替わります。
モンスターなお客様の対応を頑張った日には、見ていた同僚が「あんた、災難やったねえ」と労りの言葉をかけくれたりもします。



・ 身体的危険がない
性風俗の仕事は危険と隣り合わせです。
性感染症や妊娠のリスクもそうですし、密室で男性と二人きりというのは万が一暴力があっても逃げられません。
恋愛感情を持ったお客様がストーカー化する危険もあります。
何かあっても労災なんて下りません。
身体的危険がなく、何かあったら労災が下りる。安全が保障されているって当たり前かもしれないけど、そうじゃない環境を経験したことでその有難みを知りました。





逆にしんどいところは、同質性の高い集団ならではの息苦しさがあることです。




夜の世界に比べると、昼の世界というのは同質性の高い集団です。
高校もしくは大学を出て、就職して…という標準的な人生を送ってきた人が集まっていて、標準的な人生を送ってきたことが前提になっています。

一方夜の世界には、様々な事情を抱えた人がいました。
中学時代から不登校になってそのまま中卒という人もいましたし、虐待親やDV彼氏から夜逃げ同然で逃げてきた人もいました。
精神疾患や発達特性を抱えた人も多くいました。
「この世界にいる人は何かしらの事情を抱えている」ことが前提になっており、深くわけを聞かない配慮が当たり前にありました。

私自身、発達障害を持っていたり、故郷から失踪していたりといった事情があるのですが、夜の世界にはそんな人間も黙って受け入れてくれる懐の深さがありました。

夜の世界の温かさに6年半も浸かってきたものだから、今、ずっと昼の世界で生きてきた人が持つある種の無垢さが余計にまぶしく感じられて、それがときに息苦しくて。
もう完全昼職復帰して数年が経つけれど、私は今でも無性に夜の世界の空気を吸いたくなるときがあるのです。