好きなコトを素直に好きと言えるコト『空気が変わり出す瞬間』の話

※2011年1月30日にmixiに書いたものをリライト

タイトルは友人との会話の中で出てきたフレーズなんだけど、ちょっと良いなと思ったので拝借。

「空気が変わり出す瞬間って切ないけど素晴らしいよね」みたいな。言葉のチョイスってその人を表すと思うんだけど、このフレーズ感覚、僕は好きです。

僕自身は数ヶ月ほど前(※2010年頃のお話です)に人生が新しい局面を迎えるシチュエーションがあったんだけど、その時、師匠から「運気が変わるぞ。きっと良くなるよ」と言ってもらえて、気が楽になったのでした。30 歳を超えると、流石に色々なことが人生には起きてくるだなぁ、と実感する今日この頃。ま、何かあって当たり前。いっぱい傷ついて、傷つけて、生きて行くのですね、人ってやつは。

さて、その友人との会話の中で印象に残ったのが「年を取るにつれて、自分の好みを人に言わなくなっていくよね」という話。

年を重ねた分、見たものも、聞いたものも、言いたい事も増えているんだけど、それをじっくり誰かに伝える時間は無い。中途半端に伝えるくらいなら言わない方が良いや、みたいな感じになりがちだよね、と。誤解されたら傷つくし、傷つかずに生きて行くのは無理だし、傷つけたく無いけど、傷つけずに生きて行く事も出来ないし、などという話をしたのでした。

人って年を重ねれば重ねるほど、強くなるどころか、弱くなっていく。特に傷つく事に臆病になっていくような気がする。「理解は誤解、誤解は理解」みたいなフレーズをどこかで見たけど、わかってもらえるって思うから、他人に期待しちゃうから傷つく訳ですよね。恋人同士だろうが夫婦だろうが家族だって、自分以外の人のことを理解することなんて出来ないのに。

僕の場合、音楽をやっている訳ですが、自分の音楽の好みを誰かに伝えるのって難しいなぁ、と感じます。好きっていうのはカテゴリーとかジャンルとかだけで語れる話じゃ無いんだけど、でもある程度はそれを相手に提示してあげないと何も想像出来ないだろうから、一応は伝える。でも、相手が想像しているものって、僕が感じている事とは絶対に違う。もう、そういうのは言葉じゃ伝えられないから演奏を聞いてください、お願いしします、といつも思っている様な気がする。

(そう言う事になりがちだから名刺代わりになるアルバムとか音源は絶対に必要。聞いてもらうのが一番手っ取り早いと思うんだけど、ライブに来てもらえるとは限らないですから)

まぁ、何と言うか、人の事を理解しようとか、理解出来るとか、誰かにわかって貰おうとか、そういう事を思わないように気を付けたいですね。そもそも、無理なんだから。極端に言うと感じることしか出来ないし、言葉は後付けなんです。

演奏を含むあらゆる表現ってお客さんに理解してもらいたいと思ってやっているのではなくて、何かを感じてもらいたくてやってるんだと思うんですよね。感じるということの意味がつかめた時に、世の中に芸術が存在する意味がなんとなくわかった気がするんです。

そして、そんな事ばかり考えているせいか、最近の僕は今まで感じられなかったものを感じられる様になっている気がします。音楽以外には全く興味がなかったのに、最近は視覚的芸術である写真とか絵画に強烈に惹かれ始めていて「あぁ、僕の感性が変わってきている」と思ったりして。なにより、空気が変わり出す瞬間を感じられていて。それが心地よくて、なるべくそんな感じで過ごして行きたいなぁ、と思っています。

ここまで長文を書いてきておいてアレなんですが、なんか色々説明したり言葉にしなくても良いのかも、って思い始めました。たった今。

まとめると、久しぶりの友人との会話で色々と刺激をもらって良かったな、というお話でした。その友人がお気に入りの写真集を送ってくれるというので、こちらもCD でも送ろうかと。ぱっと思いついたのはBill Evans のHighlights From Turn Out The Stars。

リバーサイド時代のBill Evans じゃなく、こちらを選びたい。言葉にはしにくいけど、胸が締め付けられるような演奏。その感じが今は良いなぁ、と思いまして。


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