「代わりのいない」私になる

キャリアスクール「SHElikes」のライターコースで「ライターを目指す理由」と言う課題で書いた記事です。

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1,いつも一番後ろだった

高校2年生、マイケル・ジャクソンに憧れた。

単純だった私は、すぐにダンスを始めた。家からすぐ近くのダンス教室に通い、ダンス部に入ったのだが……。
自分にダンスの才能が無いと気がつくのにそんなに時間はかからなかった。
 
ダンスサークルの発表会。振り付けを考えてくれた同級生は悩んだと思う。
なんせ身長が他の人より大きいのに、ダンスはうまく無い。
そしたら置き場所は自ずと決まってくる。
 
いちばん後ろの、いちばん端っこ。
 
出来るだけ、目立たないところ。

練習期間、リーダーは泣いた。

「一番後ろの方まで誰一人代わりはいないんだよ」と。

私は、そんなバカな、と思った。
綺麗事だと、本気で思った。
だって、絶対にこのポジションは私じゃなくていい。
 
私は、「誰でもいい」人の一人だった。

大学生1年生、バイトを始めた。

たくさんの人が働いていた。
友達もたくさんできた。先輩とも仲良くなった。

でも職場環境はいいとは言えず、肉体的に耐えかねて先輩の1人がやめるか悩んでいた。

そんなとき、上司がその先輩に声をかけた。

「やめるならやめればいいよ。お前の代わりはたくさんいるんだから」

やめるのを躊躇している彼女の背中を押すつもりで言ったのだろうが、私はこのとき時確信した。

やっぱり私は、「誰でもいい」人間の一人なんだ。
それは呪いのように、今でも私の後ろを付いてくる。


2.呪いを解くには、武器を持て。

私は今、導かれるように俳優をしている。
でも、まだ「誰でもいい」俳優の1人だ。

今輝いている俳優たちのように、生身の自分だけでは戦えないことに、
幸いにも気づいている。

「誰でもいい」

この呪いを解くには、武器を持たなくちゃいけない。

自分に合う武器を一つひとつ試して、磨いて、戦って、また探して、その繰り返しをしなくてはいけない。

じゃあ自分に合う武器ってなんだろう?

そう考えたときに、ヒントは幼少期にあるとどこかで見た。
幼いころ頃に好きだったこと、夢中だったこと、それが大人になっても自分の好きなこと。

私は、国語の時間、先生が作文用紙を持って入ってくると心が踊った。
みんながブーイングをする中、黙々と筆を進めていた。
何度も賞をもらった。校内で配られる冊子に載せてもらい、みんなに褒められた記憶もある。

そして今、お世話になっているプロデューサーに脚本を書いてみろと言われ、書いて見せると、文章の才能があると言われた。

きっとこれだ、私の武器は。

俳優だけじゃ足りない。
脚本だけじゃ足りない。
ライターだけじゃ足りない。
ダンスだけじゃ足りない。

でも全部を合わせたら?

きっと私は、「代わりのいない」私になれる。

「あの人じゃなきゃだめだ」

そう言ってもらえる私になれる。


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