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角野のショパンピアノ協奏曲第1番

2022.9.19(月・祝) 15:00開演
神奈川県民ホール

ポーランド国立放送交響楽団の日本ツアー、千秋楽に足を運んだ。角野さんがマリンオルソップマエストロと奏でるショパンピアノ協奏曲第1番も11公演目。私は幸いに9/8(木)のサントリーホールにも伺えており(その時の感想はこちら)2公演目からどう進化したのか楽しみだった。


お席が最前列で目の前にピアノの椅子という奇跡。舞台が高めで少し見上げるアングルだったが、ビジュアル的に刺激的すぎて、角野さんのピアノの印象が強烈で、そこにフォーカスして書くしか書けない。絵でいうと角野さんとピアノにだけスポットが当たってて他は見えないみたいなイメージです。(オーケストラの方々、本当にごめんなさい汗)。公演全体のレビューは他の書き手さんにお任せします。すみません。

こちらが目視の感覚に近いお写真です



ショパン ピアノ協奏曲第1番

颯爽と現れた角野さん続いてオルソップさん。コンマスと挨拶、オルソップさんと顔を見合わせて椅子に腰かける。椅子の位置合わせに少し時間をかけてスタート。長い前奏の間も一緒に歌い集中しているように見えた。大きく一息吸ってピアノが入る。えっ?!同じ指揮者、奏者の同じ曲でもホール、座席、ピアノでこんなに聴こえ方違うの?!と驚愕。ピアノの下側。直接あるいは蓋に反射して伝わる音はクリアで大きくて少し硬い印象。出だし両手オクターブから駆け上がって高音カーン(場所のせいだと思います)。か、カッコよー!!!迫力満点、気迫の演奏。もういきなり釘付け!第1主題から音楽に入り込んでいって、ショパンコンクールの予選、時間的に後半のノってきた頃の情感溢れる表情でで奏でていく。序盤の右手メロディの跳躍も丁寧ながら攻めた演奏で、すごい集中力でした。Bメロ(と言っていいのか?)では粒揃いの16分音符の流れにポーランドの風を感じて素敵でした。

続く長調への入り、オルソップさん振り向きざまに優しい笑顔。サントリーでは違ってたような…。母かっ!!!(何度か振り向かれてましたが、オルソップさん全て微笑んでおりました。)角野さんも優しい顔でピアノの響きを聴いて楽しむように奏でていく。時おり天を仰ぐように見つめて。とにかく美しくて見とれてしまいます。

間奏明け、転調して長調の主題部からキラキラオーラが増し、何というか装飾連符の入れ方もトリルも綺麗で…。私の位置からは下からアングルのため運指ははっきりは見えないのですが、鍵盤が降りるのは見えてて両手で16分インテンポで流れるように弾きながらオケのメロディと絡み合って最高だった。オケとピアノが自然に合っちゃう感じ。ツアーで回るってこういう事か!カトビツェからのリハ動画の部分、本当に感動的だった。最後、オケに渡すとことの1拍目、リハだとちょっとタイミング早いんだけど、今回は角野さんがひと呼吸おいてタイミングバッチリだった(泣)ブラボー!!!

短い間奏入って、主題に戻ってから一気に聴かせて第1楽章のクライマックスに。前回序盤に緊張の動悸が激しかった自分ですが、今回は第1楽章で感動で鼓動が早くなった。素晴らしかった。

どうしよう…第1楽章でこんなに書いちゃった(汗)

第2楽章は本当に1音1音、愛おしむように慈しむように奏でていた。自分の位置からはピアニッシモはよく分からなかったけれど、芯のある弱音で上へ遠くへ飛んでいくような音だったと思う。メロディ上行して長い休符、見上げる…美しい……。再現部の装飾連符の入れ方がまた綺麗でオシャレでグルーヴが絶妙でちょっとJazzっぽくて、おおぉぅ!ってなった。中間の切ないメロディの場面は左手のフォルテがかっこよくて、フジロックの角野隼斗を彷彿させた。今回はチェレスタの音色には聴こえなかったけど間をとってムード満点!終盤の対旋律は天使の光の粉が降ってくるようで昇天。最後の1音美しかった。

3楽章はポーランドの舞曲、クラコーヴィアク風(との事です)軽快なリズムで角野さんが舞台を作っていく。中間部のラボで練習風景見せて下さったところは本当に難しいんだろうな。でもノリノリで弾いていた。リズミックな左手ベースに高音でコロコロ遊ぶ右手。曲調変化もお手のもので、オケとの対話を楽しみながら音楽を作っていく。超絶技巧を駆使してインテンポで盛り上げるPOPSかてぃんさん、変奏曲で曲調を変えながら飽きさせず聴かせていくYouTuber Cateen、笑顔で気心しれた仲間とのセッションを楽しむかっちゃんがそこにはいた。本当に素の自分で弾いている様な感じで、楽しい楽しい。角野の奏でるショパンのコンチェルト(ショパンに寄せて寄り添う演奏)じゃなくて、これが“角野の”ショパンコンチェルトなんだ!ツアーで何度も本番を重ねてきたマエストロとポーランド国立放送交響楽団の皆さんとだからこそ出来る遊び心も織り交ぜたハーモニー。最後は「乳酸に負けるな筋肉頑張れ(2021.8月京都城陽)」でもなく「いっちゃって下さーい(2022.9.8サントリーホール)」でもなく、ただただプロの奏でる音の波に感動してたたずんでいる自分がいた。最後のスケールで鳥肌が立ち、熱いものが込み上げてきた。オケが終わるより前にフライング拍手気味で会場熱狂。あー凄かった。本当に良かった。1楽章も2楽章も3楽章も全曲通して良かった。

マリンさんと抱擁。コンマスと挨拶。会場に一礼。角野さんの目に光るものはなかったと思う。清々しい笑顔。オルソップさんと手を取り挨拶。何度も袖に引っ込んではカーテンコール。(袖でスキップで飛び込んだり水飲んだりするかてぃんさんは私の席からは残念ながら確認できず笑)。あれあれコンマスさま席替え?

そしてピアノの椅子の前に来て(ってか目の前過ぎて靴にさわれちゃいそうな距離なんですけどーぎゃぼー)

「アンコール、毎日日替わりにして皆さんにも楽しんでもらってると思うのですが、最終日、どうしようか考えて、、、マエストロ、マリンオルソップがバーンスタインの弟子、という事もあって、バーンスタイン作曲のキャンディード序曲にしようと思い話したところ、副指揮者が、それなら編曲するからオケでやらないか?といってくれて…はどこかな?立ってー!あ、あの人です。て事で、キャンディード序曲をオケVer.でやります!」

会場、騒然!ほぼ誰も想像すらしてなかったとおもわれる。

キャンディード序曲、亀井さんとの2台ピアノで角野さん編曲していたらしい。それにしても超過密スケジュールのこの公演中、一体どこで練習してどのくらい合わせをやったのか、、、とんでもなかったです。

ショパンのピアノコンチェルト弾いた直後ですよ?!

どこにそんなパワー残ってた?!演奏始まったらまさに水を得た魚。リズミカルな楽曲にガンガンにピアノ鳴らしてもう楽しそう!!!そしてそれ以上に楽しそうなオルソップさん。もう、こういうところだよね、かてぃんさん。ホスピタリティが半端ない。それにしても楽譜も無しでよくピタッとオケと合いますね。編曲してたとはいえ、全部頭に入っているのか…(のちにお母さまのブログで話が決まったのが2日前。合わせは前日の山形公演後と当日のみと。嘘でしょー)

夜のツイートはこちら

大盛況!拍手の嵐!!楽しかったー!!!で鳴り止まぬ拍手にソリストアンコール2曲目。I got rhythm !わぉ!今や新たな名刺ですね!10 level のショート版でしたが、YouTubeでの演奏よりさらに磨きがかかってました。興奮もあってか超高速。どんだけ〜(笑)。今日も度肝を抜かれたご新規さん、多数いたと思われますw。


休憩を挟んでドボルザークの新世界を堪能、アンコール曲2曲(モニュシュコの歌劇《ハルカ》)は聴くのが2回目とあってか楽しくて踊りたい気持ちでした。

興奮のまま終演。本当に楽しくて感動的なコンサートだった。千秋楽まで11公演、完走!素晴らしい。オケの皆さん、タイトなスケジュールで来日してもあまりゆっくりできなかったかもですね。マリンオルソップさん、指揮者は1人2時間立ちっぱなしですから、連日公演はお疲れもあったでしょう。感動をありがとうございました。でもこの期間に得た経験、絆は大きい気がする。角野さんとの共演がまた叶いますように!そうでなくてもまた日本にいらしてくださいね。


そして千秋楽の演奏で私のベストオブ1曲は、間違いなく「角野のショパンコンチェルト」でした!!!(サントリーホールではブラームス交響曲第1番)


後日談

公演翌日の朝、普段の日常。お弁当作り、朝食用意し送り出した後、ちょっと休憩…で角野さんのインスタストーリー見る。打ち上げの様子。オケの皆さんの歌のあとスピーチ。和やかだけど別れの挨拶ちょっと切ない一幕。で、フォロワーさんのツイートが目に止まる。歌ってたのはポーランドの祝歌で、マンガ「ピアノの森」で一ノ瀬海がショパンコンクールで優勝した時に送られた歌だ、と。

……えっ?!何で私泣いてるのー?!!

思えばショパンコンクール、角野さん本選出場ならず、、でその後コンクール自体見られなくなったファンの方も多くいたと聞いたが、私はファイナルもほぼリアタイ or 追っかけ再生で聴いていた。コンクールの勝負は水物と思っていたし、どう良いのか聴きたかったし、最後まで見届けないと本選出場叶わなかった奏者にも失礼だと思ったし。正直、「この演奏なら角野さんの方が…」と思ったりもしながら(弾けもしない自分が偉そうにスミマセン)。でも中には心震える演奏があった。私にとってのそれは、ピアノコンチェルト2番を弾いたガルシアガルシアさんであり(ショパンコンクール第3位、コンチェルト賞受賞)、1番を弾いた反田恭平さん(ショパンコンクール2位)であった。テレビでも何度も放送されてるけど、リアル配信で見ていて反田さんのあのコンチェルトのピアノが終わった瞬間の感嘆と拍手は感動的だった。
それから、ピアノの森。2021年秋からNHKBSで土曜の朝に再放送をしていて、それを私は初見するわけだけど、ショパンコンクールとやらに全く縁のなかった私にはこのアニメは誠に良質なガイドでありまして、毎週楽しみに見ていました。主人公、一ノ瀬が本選でコンチェルト1番を弾き、聴衆熱狂。審査結果発表で優勝し、ポーランドで知り合った方々から祝福の歌を受けるというもの。
その2つが、心の奥底にあったその2つが、現実世界の角野さんにリンクしたのだと思う。前日聴いたコンチェルトはガルガルさんや反田さんの時と同じ感動があったし、ショパンの国のオーケストラ団員さん達に受け入れられ慕われて祝福されてる。あー本当は私、これが見たかったんだなぁ…

私のショパンコンクールも本当の意味で終わったと思う。清々しい気持ちでいっぱいです。

でも

終わりは次の始まり
角野さん、まだ進化の途中
ますます目が離せませんぞよ!

千秋楽アンコールで皆が聴きたかったNew Birth
このタイミングでMVアップするところがにくい
くぅぅーやられた。笑