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神奈川フィルフューチャーコンサート(田中祐子・石田泰尚・角野隼斗)ミューザ川崎

2023.3.21(火・祝) 14:00開演

ミューザ川崎で行われたこの公演。結構印象的だったので記録に残すことにしました。

JR川崎駅直結 ミューザ川崎シンフォニーホールまでの通路

角野隼斗全国ツアー2023 Reimagine千秋楽からまだ10日あまり。10日あればこの公演の予習できるだろうと思っていたけど甘かった。千秋楽(オペラシティ現地で参加)のnoteを書きたくなってしまったし、書き終わったら配信ガッツリ見たいし、Penthouseもドラマタイアップ新曲でにわかに盛り上がるし、今クールのドラマは佳境を迎えるし、個人的には息子の小学校卒業やよみぃさんのコンサート、映画ブルージャイアントを見に行ったり。そう、かてぃんチャンネル登録120万人突破お祝いもあった。角野さんは大阪豊中でのラプソディインブルーの公演もあったんですよ?忙しいったら(笑)

この10日の期間中の3/14にNHK FMクラシックカフェでクラシック×ジャズの特集があって小曽根さんのラプソディインブルーや三浦一馬弦楽五重奏(バイオリンで本公演のもうひと方のソリスト石田泰尚さん参加)によるピアソラ楽曲、そしてまさにカプースチンのピアノとバイオリンと弦楽のための協奏曲(ピアノ:フランク・デュプリー)の放送があったのは何の因果か巡り合わせか。タイムリーすぎて楽しすぎて私は何度も繰り返し聴いてしまった。なのでカプースチンの協奏曲は何度か予習として聴いていました。(公演の発表があった去年の秋に聴いた時は全く頭に入らなかったのだけど、ツアーでカプースチンの8つの演奏会用エチュードを聴いていたので耳が馴染んでいましたね!)。だけど他の演目はほぼ予習ゼロ。プレイリストを一応作ったけど前日深夜というありさま。なぜって?突如かてぃんラボが前日22:00より入ったんだよぉ〜(泣き笑い)ラボの内容は全国ツアーのお話とこの公演のカプースチンの協奏曲についてでした。まさかラボの配信があるとは!カプースチンよ?セッションよ?日本初演よ?鬼練してると思ってたよ(笑)

当日午前中も野球WBC準決勝日本×メキシコ戦があったり私用もあって本当に予習なしで現地に来てしまった。まあ、こういう聴き方もたまにはいいか…と腹をくくって席に着きました。協奏曲という事で2C席ど真ん中を取っていた。ミューザ見やすいテンション上がるぅ!

当日朝に神奈川フィルさんが演目の演奏順とおおよそのタイムスケジュール、終演時間をツイートしてくださっていた。とても良いサービスだと思った。神奈フィルTwitterの中の人、きめ細やかだよ。すでにファン。(なぜって?ドラマ、リバーサルオーケストラの演奏吹き替えが神奈川フィルだった事もあり何かと見ていたんですよね、ツイート)。それによると前半にダッタン人と火の鳥、後半にチャイコのアンダンテ・カンタービレとカプースチンの協奏曲。ちょっと意外な気もしました。普通に考えるとオケ曲が最後にきそうなものを、カプが最後なんだー。ソリスト重視かな?

パンフレットに簡単な楽曲解説あり(小室敬幸さん)。ボロディン、ストラビンスキー、チャイコ、カプースチン言われてみればロシア繋がり。さてどんな演奏会になりますか…。


ボロディン/歌劇「イーゴリ公」よりダッタン人の踊り

オケの皆さま登場し、音合わせ後、マエストロ田中祐子さん颯爽と登場。黒のワイドパンツに黒のロング丈の上着。なんせ予習無しのため楽曲について語れるほどの知識も何もありません。これを書きながら曲を改めて聴いて記憶の断片をかき集めている訳だけど、とても美しい曲ですよね。出だしのハープが印象的だった。キャッチーなメロディがいくつかあってどれもどこかで聴いた事がある。3拍子の踊りの場面は打楽器とテューバ?の低音が鳴り響く。何よりマエストロが1拍目に合わせてかぶりを大きく振るものだから(ヘドバン?笑)オケ全体の魂が集中してすごい迫力でした。ロシア民謡的な曲調が気持ちよく、オケの皆さんもマエストロもノリノリで演奏していてブラボーでした!ロシア音楽は素晴らしいものがありますよね。何で戦争なんかしているのだろうとちょっとせつなくなりました。

ストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」組曲(1919年版)

この曲は3/18(土)の大阪豊中のセンチュリー、100年後の楽しみ、でも演目だったのですよね。私はその公演には行けませんでしたが、先駆けて行われた指揮者・クラシカルDJ水野蒼生さんと劇作家・演出家の藤井颯太郎さんの対談がYouTubeで視聴できて、楽曲解説を聴いていたので役に立ちました。ストラビンスキーの3大バレエ曲ですが、この火の鳥がデビュー作(27歳)、ペトリューシュカ(28歳)、春の祭典(30歳)で作曲…と、わずかな期間に作曲している事、デビュー作火の鳥の初演がパリで20世紀初頭の尖りまくったパリの芸術家たちに刺さり、大大ヒットとなった事。もともとはバレエ音楽(サントラ音楽)で50分程度あるものをオケ演奏だけで聴きたいという需要に答え、音楽的見せ場を抽出して組曲として編曲した事。1910年のバレエオリジナル版に対してその編曲には1911版、1919版、1945版があって…(長くなるので割愛。動画見てください)

前置きが長くなりすぎた。さて、私まるで初見で聴きました。バレエ音楽のサントラ音楽というだけあり映像が浮かんでくる。火の鳥の話は知らない。パンフ情報のみ。手塚治虫さんの漫画も高校時代に読んだけど忘却の彼方。雰囲気だけ残ってて勝手な想像をしながら聴きました。これが思いのほか楽しい。オケを聴くのにベストポジションだけあり、次々に現れる主旋律を奏でるパート楽器がよく見える。特に中段の木管楽器…フルート、オーボエ、クラリネット(特にクラ印象的でした)、中音域のファゴット、ホルン、皆素敵だったなぁ。ドラマ「リバーサルオーケストラ」がリンクする。ドラマ終盤にかけてオケ演奏が多くなりクライマックスのチャイコ5番は「全員が主役になれる曲」って主役の田中圭くん言っていたけど、この曲もそんなところありますよね!後半の闘い(?)の場面では金管楽器と打楽器、大迫力!10日前の神奈川フィル×よみぃ さんのコンサートにも行ったのですが、神奈フィルさん、映画音楽、特にジョン・ウイリアムズが良かったのです。パイレーツ・オブ・カリビアンの打楽器活躍のリズミカルな曲なんて痺れちゃいました。そんな事も思い出しながら、楽しく聴かせて頂きました。サビ前のホルン、弦のメロディアスなところはマエストロ、全身を使って舞うような指揮。美しかった。魔法使いと思った。クライマックスはたたみかける様に繰り返される旋律。(その後の映画音楽に多大な影響を与えたのではないかなこの曲。ストラビンスキー、難解って思ってたけど、概念覆されたー。)オケの集中度がMAX高まりフィニッシュ!!!いやー凄かった!かっこよかった!!最高だった!!!。会場のボルテージも沸騰。終演時のような盛り上がりでした。マエストロ、カーテンコールに何度も答え、最後には各パートの紹介も丁寧にされて前半終了しました。

まだ後半あるのに何なんだこの公演って思った。思わず席立つ前にツイート打った。呟かずにはいられなかった笑。喉カラカラ。気分落ち着けるためにロビーに出ました笑。

あ、横道それるけど、マエストロ田中祐子さん、ドラマの田中圭くんの指揮指導もされていたのですよね。こちらの祐子さんのツイートがお茶目なお人柄を表していて自分的にツボだったので載せちゃいます(笑)。


チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ

後半スタート。弦楽器のみの編成。後ろの管楽器、打楽器の席が空席になっちゃって少し寂しい。左手より1st 9、2nd 5、チェロ 5、コントラバス2、ビオラ3の編成でした。田中マエストロ、この曲は指揮棒持たずにスタート。手の動きが蝶のように優雅に舞って、奏でるチャイコさま、美しかったなぁ。前半のかっこよさと対照的にしっとりと。神奈フィルさま、女性から奏者も多くて、「(歩く速度で歌うように)」というこの曲、うっとりと聴かせて頂きました。


曲が終わるとピアノの移動。ビオラの皆さんが席を立ち、「は?!」となる。ピアノの鍵盤がなんと目の前に!舞台ど真ん中に角野さんの座る椅子!ピアノ内部にiPad をセット、譜めくり用足ペダルを左足側に…。これいったいどういう事なのー?理解不能。角野さんからはマエストロの動きは真横で感じられるかも知れないけど、石田さんは見えないし、背中からの圧は感じられると思うけれど…(笑)。角野に任せた。オレは必ず合わせるぜ、的なかっこいいやつなんでしょうか〜???

ビオラの皆さん戻り、角野さん、石田さん、マエストロ入場。角野さんはシャツ黒。石田さんも全身黒(両サイドにスリットの入ったかぶりのシャツ?)メガネの白縁が妙に目立つ。あー石田さんだー!(2021年10月のAIONの公演で私はお目にかかっております)


カプースチン:ヴァイオリンとピアノと弦楽のための協奏曲Op.105

I.Allegro non troppo 
出だし、おおぉ!ってなった。始まる始まる!ワクワク感。2人のソリストが対話しながら世界を作り、バックの弦楽奏の皆さんが彩ってゆく。予習の時わかってなかったけど、(違うかもだけど)この曲3拍子?!マエストロの動きでそう気づきました。ホールでの生演奏は低音のチェロやコントラバスを振動として感じられるのがいいですよね。視覚情報もついてくるし。石田さんが優雅に時に激しくバイオリンを鳴らす。弾き姿がカッコ良すぎる。時に前のめりに、時に大股開いて堂々と。自分の出番が終わるとスッとバイオリンの底部を弓を持つ左手で持っちゃって、え?!落っことさないのかな?とちょっと心配になったりして(笑)。角野さんは背中で石田さんを感じながら、唯一の打鍵楽器としてグルーヴを作っていましたよ。マエストロは弦を束ねる時以外は体を揺らして聴き入っている感じだったかなぁ。時々、左側から振り向いて角野さんを見るさまが姐さんでした。1楽章終わりはバイオリンとピアノ弱音で。素敵!
II. Largo
このお2人での2楽章、とっても楽しみでした。きっとエモい絶対エモいって。石田さんこういうちょっと憂いのある雰囲気ある曲も本当に素敵に演奏されますね。ウッドベースに乗ってお2人の囁くような会話が続く。角野さんのキラキラの音符の粉が舞台に降り注いで素敵でした〜。悩めるピーターパン(石田さん)の周りを飛んであーじゃない?こーじゃない?とアドバイスするティンカーベル(角野さん)思い浮かべた私は変かな?(笑)
Ⅲ. Allegretto
3楽章はテンポアップでほんとに楽しかったなぁ!飛んで跳ねて踊って!ところどころテンポとりづらくなる場所あったけど(私だけだと思います)、要所要所が合うので気にならなかったです。馬鹿騒ぎしてましたね〜(笑)楽しそう!その場面はウッドベースを感じられるあのピアノの場所がいいのかもって思ったりしました。足ぴょこぴょこ。靴の白線がすっごいアクセントになってた。あ!石田さんのメガネと合わせたのかな?角野節全開でどんどんノッて引っ張っていく。クライマックスは華やかに皆さん楽しんでました。

最後バシッと決まった!大拍手!!
角野さんまずマエストロと石田さん見てニッコリ。割れんばかりの拍手に丁寧にお辞儀。マエストロと石田さんも称える。石田さんにも賞賛の拍手を送りたいのだけど、角野さんを立ててばかりで(笑)。組長〜もっと前に出てもいいのにー。角野さん、石田さん、田中マエストロの順でカーテンコールが3回ほどあって、マエストロが全員を立たせて挨拶。すかさず退場せよの合図。えー弦の方々帰っちゃうの〜?!コンバスの方も名残惜しそうにバイバイ…ありがとうございました。


残った2人、バツが悪そうにマイクを持つ
石:いやぁ、ありがとうございました。あの、カプースチンの協奏曲、日本初演って事で、間違えても誰もわからないという…(爆笑)
(P.S.実際は日本初演ではなかった様です。コンサートの告知時点では日本初演の予定だった…)

すみのちゃん(なぜか小声照れてる?w)

角:ちゃん?www

石:角野ちゃんとは昨日初めてお会いして、僕の回りの人から言わせると…

「夢の共演?(照w)」

(大爆笑&大拍手)ありがとうございます。

角:僕もドキドキでした。どんな方なんだろうと、著書も読ませていただいてこわいのかと思ってたけど優しい方でした。昨日、初顔合わせだったんですけど、リハーサルの会場を間違えて30分遅刻して…しばかれると思ったんですけど…すみませんでした。(笑い)

ほんとに昨日初顔合わせだったんだ…(驚愕)

始まった2人のセッション!
なんだっけこの曲?カプースチンだっけ?!どんどん転調していきながら上がっていくやつー。石田さんがメロディとりつつどんどん加速。楽しい楽しい!後で曲名のお知らせで知る。ガーシュウィンの3つの前奏曲の1番でしたー。2022年のツアーでソロで弾いていましたね!セッションにするとまた楽しい事!


フゥー軽く歓声上がって拍手ー
何度か2人で出たり入ったり
あくまでも角野ちゃんを持ち上げる石田さま笑

石:ありがとうございます。角野ちゃんはあまりこんな伴奏なんてやらないでしょう?バイオリンとのセッションとか、
角:そうですね。あまり機会がないですね
石:この会場にいらしている9割8分5厘の角野ファンの皆さま申し訳ありません。(んな訳ないwww)

石:せっかくね

こんな機会

もらっちゃったら

やらないと

(www この間がね、絶妙。石田さん)

石:次、いつ会えるかわからないんで…
角:またすぐにでもやりましょう!

始まった2曲目のセッション。この曲も知ってる知ってる。ん?なんだっけ?笑。後に判明。ロシア民謡「黒い瞳」なーるほど。(私的にはフリオ・イグレシアス「黒い瞳のナタリー」です笑)石田さんのバイオリンってほんとにカッコいい!一瞬で世界を作っちゃう。伴奏の角野さんは重くなりすぎないようにどっちかというとかろやかに。いろんなパターンで奏でていく。何度かメロディとって。最後テンポアップも急ブレーキもピタリ。プロ×プロはすごいです!ブラボー!!!


たまらん!もう、立っちゃう。拍手拍手!
鳴り止まぬ拍手にお2人でひそひそ。なんだなんだ?と思ったら石田さんひらりと舞台降りちゃった。空席にしていた最前列の真ん中にドカッ。あっ!となって譜面台をガシッと掴んで引きずり下ろす。楽譜バサーってなる笑。(下ツイートの写真1枚目がこの時の様子を物語っております笑)
もう逃げられません。角野さん1曲弾くまで帰れま10(笑)。(このシチュエーションどこかで…読響いわき公演、コバケンさんに手を引かれ座らされた赤とんぼ!)

角:カプースチンのトッカティーナ弾きます!

こんな難易度大な曲を何の不安もなく安心して聴けるという幸福よ。今日もテンション高めテンポ早めだったけどコントロールしてさすがだわ。ミューザのホールを鳴らしてました!あれだけ大人数のオーケストラで始まったのに、最後は1人で持ってく締める。なんなんだー?この公演。なんなんだー角野隼斗!

組長戻り、2人で何度かカーテンコール。途中で角野さん楽譜ひろい出す。組長楽譜持って退場。最後はお2人で3階席の奥の方に向かってバイバイ。で最後の最後は田中マエストロも一緒に登場!すっごく楽しかったー!!ありがとうございました〜!!!終演後の私のツイートはこちら

こんな位置にピアノが来て仰天!
写真は終演後に

すみのちゃんのツイート。良かったね。楽しそうだったね!

会場全体がほっこり暖かい雰囲気で幕を閉じました。お隣の紳士とご夫人、神奈川フィルのファンの方かなぁ?しばかれる話が妙にツボに入ったようで楽しそうに会話されていましたよ!


という訳でお腹いっぱいな公演でした。実況中継おわります。お付き合いくださりありがとうございました〜!

P.S.石田さんの著書購入(去年のONTOMOの連載、とても良かったので)