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アダムズのピアノ協奏曲 & アルプス交響曲 at サントリーホール

2023.6.11(日)14:00開演 サントリーホール
指揮:飯森範親 ピアノ:角野隼斗
パシフィックフィルハーモニア東京
日本センチュリー交響楽団

よく考えると私が角野さんのピアノ協奏曲をサントリーホールで聴くのは昨年の10月のトーマスアデスぶりなんだなぁ。去年のアデス、ホルスト惑星(飯森マエストロ、パシフィックフィルハーモニア東京)が良すぎて、全く同じ席を確保してしまったワタクシ。2階席右ブロックの1番左。通路脇で視界が開け、ピアノとピアニストの全身が拝める席。ピアノの屋根の向きもあって飛んでくるのよね!ピアノの音が。(5月の小曽根さんのカルテットもほぼ同じ席で聴いてしまったw)

この公演に先駆けてONTOMOさんから記事が出たので載せておく

ホールに着席すると、オケの雛壇が左右の客席のギリギリまであって、開演前から壮観。どうなってしまうでしょう?

開演後、飯森マエストロが1人で登壇。南北線の遅れのため、少し待ちます。お話させて下さいとの事。やった!(笑)内容は以下の通り

今日、6/11はRシュトラウスの誕生日なんです。1864年生まれなので159歳(来年生誕160周年ですね)

角野さんは今はニューヨークに住まわれて…今回はアメリカの作曲家アダムズのピアノ協奏曲をやるわけです。日本のオケ日本人ピアニストでは日本初演になります。

が、何しろ難しい

昨年2022年10月も彼とトーマスアデスのピアノ協奏曲をやってあれも大変だったのですが

難しさの種類が違う
誤魔化しが効かない
あ、いつも誤魔化してるって訳じゃないですよ(笑い)
アデスは要所が合えば何となく上手くまとまる感じなんだけど、アダムズはオケもピアノもずっと鳴ってるので(すいません記憶が定かじゃないけどそんなニュアンスだったと思う)オケが余計に難しい。スリル満点。

角野くんは素晴らしいんですよ。はい(笑い)

あと終わり方が不思議なので初めて聴かれる方はびっくりするかもしれません。
お礼かたがた、感想を呟いてくださいね

後半はアルプス交響曲。アルプスといってもドイツアルプス。2000M級(って言ってたかな?)の山々。(マエストロも登ったことあると)シュトラウスは1909年?45歳頃、このアルプスの麓に家を買ってるんですよね。14、5歳の時に夜中の2時に出発して友達と登山している。登頂して、でも下山途中にひどい嵐に遭って全身ずぶ濡れ。その体験をもとに書いた曲。1911年タイタニック
号沈没、盟友マーラーの死、第一次世界大戦へ向かう時勢。そんな中、自然回帰への念、ニーチェの思想をも落とし込んで書いた曲です。

前、後半ともに大変な曲ですが、お楽しみください。僕は昨日のゲネプロ本番と今日のゲネともう3回登頂してます。一緒に登山してください笑。

こんな感じだったかなぁ。メモしてましたがあやふやなところもあるので、間違いあったら教えて下さい。

マエストロ袖に戻り照明が落ちいよいよオケ入場。アダムズの協奏曲も結構な大編成でおぉ!ってなりました。

黒シャツに黒スーツの角野さん、燕尾服えんじシャツのマエストロも登場。いよいよです!


肉眼での見え方

ジョン・アダムズ「Must the Devil Have All the Good Tunes?」

1楽章
1音目からピアノ低音オクターブきたー!角野さん気合い入ってるぅ。フォルテでガツンと。カッコよ!!!でテンポアップ、情熱乗せていくぅ!(もしかしてここでホンキートンクも入った?!音色が違って聴こえた。残念ながらアップライトピアノ奏者はコントラバスに隠れて自分の席からは見えず…)と同時に右手のコントラバスやチェロの低音弦楽器がビンビンくる。2階席にも振動伝わる。これが生の醍醐味ですよね〜!奏法も目でいろいろ確認。ピチカートやコルレーニョもあった様な…。バシッバシッていう弾ける音も低弦部隊の方々が出していた。弦と管とピアノのかけ合いもバッチリ。よく合うなーと感激。でドラムのバスドラみたいな音はどこからくるのか予習で不思議だったんだけど、多分パーカッションの方が足で叩いてたんだと思う。パーカッションの方といえば、ガムランみたいなカウベルみたいな鐘の音(バチで叩いて結構な音量で響き、音源と全然違ってました)、スネアドラム、大太鼓、そしてバスドラム(足)と右往左往しながら1人で何役もこなしていてすごかった。(もう1人の方は後半の鐘役の方でずっと座っておりましたw)ところでここだけの話、大編成の弦と管が鳴らすと2階席の方はグワーンと響いてしまってピアノの音がかき消されちゃって残念でした。かてぃん来い!もっと来い!って心の中で応援笑。昨年のトーマスアデスも同じ席で聴いてて、すごく良くピアノの音は聴こえてたので、これは楽曲の構成(アダムズのこの曲はそれぞれの楽器が同時並行で音を出してリズムを作っていく)とオケ編成によるものなんだと自分なりに解釈。(2つのオケの合同演奏会で弦、大編成でした。皆さん角野さんとアダムズ、日本人による日本初演やりたいですよね〜笑)今回はピアノマイクあっても良かったような…なんて。5月の小曽根さんのカルテット(ピアノ、サキソフォーン、ウッドベース、ドラム)の時はPA入ってて大迫力なんだけどサントリーホール響いちゃって…ちょっと生音だけ聴きたいなぁ、BlueNote取った方が良かったかしら〜なんて思ってしまっていたので(聴衆は勝手ですスイマセン)音響難しいですよね。ユジャワンの演奏は音源収録用のマイクと収録後にミキシングが入っている訳でピアノが際立ってるんだなぁと再認識。という訳で、私の席からは既存音源とだいぶ違って聴こえた訳です。なので1楽章後半、ホーンの鳴りの後、静かになった後ホッと一息。ピアノ聴こえる!www。そこからの2楽章は美しかったですね〜。
2楽章
とりとめのないピアノ音型は「絶対譜面見るやろ」と私は思ってたのですが角野さん完全暗譜だった様な…iPadはピアノの中に置いてあったけど足で譜めくりする様子もなかった。てか足ボタンあった?わからなかった。(後日フォロワーさんのツイート等で足ペダルで譜めくりしながら楽譜を見ていたようだと判明。)脱線スイマセン。話、演奏に戻して…。ピアノの単音による旋律は、ユジャワンの音源だと1音1音が雨粒の様だったけど、角野さんの音はもっとこう冷たいの低温なの。氷の世界。ペダリングの妙なのかしら?氷、私はそう感じました。色のない氷の世界。出口のない何もない世界にぞわー。怖っ。途中から日本の民謡、お囃子の様な音階とリズムが出てくる。ちょっとホッとする。悪魔でも動きのある生き物が出てきて嬉しい笑。
3楽章
角野さんもリズムゲー魂が炸裂してきて休符で左手振って(第2の指揮者w)リズム取り、足もぴょこぴょこ時にダン!って。見ていて楽しい楽しい!中間部一瞬静かになった後、角野さんが結構なスピードで奏ではじめておおぉ!ってなる笑。鐘が鳴り響き「朝が来るぞー」って悪魔達がせわしなく動き回る。ラストに向けての盛り上がりは凄かった!多分前方の席の方はかてぃん悪魔のピアノにに震えたのではないでしょうか?何度か静と動を繰り返し、オーラス、映画でいうエンドロールに入った時のあの特徴的なリズムを刻む角野さんは、見た目に左手が規則的に上がって何かをひきむしっている悪魔の様で怖かった。ホーンが不協和音吹き鐘が一発鳴りジ・エンド。鐘の残響がおさまるまで会場シーン……。マエストロも、弦の方々の弦を持つ振り上げた手も動かない。ストップモーションを見てる感じでそれこそホラーでした。最後のこの場面だけ私は鳥肌が立ちました。静寂も音楽ってしみじみ感じました。

マエストロがタクトを下ろし聴衆ひと息吐いてから〜大拍手ーーー。いや〜凄かった!日本人による日本初演大成功!おめでとうございます!立ち会えて良かったー楽しかったー!!!

何度もカーテンコール。今回大編成ゆえ奏者の雛壇が左右の客席の際まであったので、袖に戻るのにバイオリンの間をすり抜けて登って降りて一苦労。ハープとチェレスタの間が狭くてそこを通る際は頭上注意な感じで(だからあそこだけシート貼ってあるのかな?天井ハゲちゃってwww)頭ゴーンしないかヒヤヒヤ。2回目のコールで登場の時にわざと頭ゴーンして登場したのを私は見逃しませんでしたわよ、かてぃんw。調布音楽祭アゲイン。かわゆ笑。

角野さんと一緒に登場したマエストロがホルンの空き席に座って角野さんピアノの椅子に腰掛ける。ソリストアンコール!カプースチン?ん?いやなんだ?指パッチン!グルダだ!!単一音型の繰り返し少しずつコードが移る。まさにミニマルミュージック!さすがの選曲やるなーかてぃん!プレリュードからフーガに移るとボルテージはさらに上がってもうガンガン攻めてきた。2階席にはそのガン攻めのソロが音量的にちょうど良くってヒュー!でした。で、最後のほう、あれ?こんな曲だったけ?即興アレンジでアダムズの悪魔風…さすがっす先生。もう尊敬しかない!ラストまで駆け抜けて決まったーと思ったらトイピ風かわいい音でチャラン。もう…、お茶目さん(悶絶)。

拍手喝采。指笛の方ブラボー!(いい音いいタイミング!笑)相変わらずの持っていくソリストアンコール。かてぃん全開。ありがとうございました〜。

幕間、お決まりのツイートはこちらです。

20分の休憩後後半です!

ピアノが右奥に片付けられマエストロがしっかり見える。あら、譜面台ない?!暗譜なのかしら〜?えー長尺の曲なのにすごい!

Rシュトラウス アルプス交響曲

静かに始まるアルプス夜明け前。シュトラウス少年の大冒険の始まり。夜明けとともにステージの奥から鳴るホーン。これがバンダか!かっこいい演出だなぁ。その後ホルン3人トランペット1人袖から合流。えーすごい!管まだ増えるんだ!登山開始で気分上がり、森でさまざまな鳥のさえずりを堪能。小川のところの弦の演奏がとても素敵でうっとりでした。打楽器奏者を見ていると次の場面の準備をするので面白い。滝に出くわす場面はワクワクでした。シンバルで水飛沫。木管がキラキラ反射する光を表現。作曲者さん天才!山の牧歌のあたりはホルンの重なる旋律に鳥のさえずりカウベルの音も入って空間的奥行きも感じられて情景がブワーっと。すごいですよねこの曲。氷河の場面は圧倒的に威厳。スターウォーズの帝国の音楽の様な、短調だけど迫力あって大好き。トランペットの突き刺す様な音が響いてホーンの重なり本当にかっこいいです。登頂!やったー。オーボエの暖かい演奏が麓の人の営みを表している様で、余計に登って来た偉業を感じて悦に入っちゃう。畳み掛ける様に感動的な旋律が現れて、120人の大編成でこの曲を聴けたの奇跡に思えて泣けてきました。

山登り、登ってる時が華。登頂して少しするとさみしくなるんですよね。帰らなくちゃいけない。しかも登ってきた距離また降りなきゃいけない…。登りより下りの方が危ないんですよね。膝にも負担かかる…。(山岳部だった父に連れられて小学生の時に立山黒部縦走しますた笑)

後半は寂しげ切なさ不安でいっぱい。シュトラウスさんの経験から書いた曲なのでリアル過ぎー!嵐の前触れ、鳥達が騒ぎ出し遠くで雷鳴。弦の表現する風と共にティンパニ2台、大太鼓で大迫力の嵐!2階席まで地鳴りがしたよ。ウインドマシーン登場〜。回してるのが華奢なハーフ?の女性だったのもなんか面白かった。(6/13 14時追記:この方はウクライナ国立放送交響楽団の打楽器奏者の方で、日本に避難されているとの事です。ご縁があってPPTへ。飯森マエストロからツイートにリプライいただきお教え頂きました。)回せ回せー!www。嵐の終盤、後方の2枚の銅板?やはり別の女性奏者がバンバン、ガーン!!!落雷して嵐すぎ去る。ホーンから受け渡しでパイプオルガンが入る。圧倒的な太陽の存在感。日没を迎えて街に帰ってくる。窓から漏れる光が暖かい。シュトラウス少年おかえりなさい。ずぶ濡れだけど無事で良かった。15歳の大冒険。ひとつ成長しましたね!エピローグ美しくて、少年帰還でホッとしたのもありついうとうとーっと(笑)最後の最後はゆっくりと自然に短調になり、少年よ今回はうまく乗り越えられたが自然を甘く見るなよ、と。最初の主題に戻り新たな1日の始めり。現代人への自然からの警鐘とも思える、重い響きで終わる。

マエストロ、動かない、動かない…動かない。かなりの時間余韻に浸りゆっくりとタクトを下されました。

大喝采!ブラボー出る!!会場中から盛大な拍手!!!飯森範親マエストロ凄かった。この曲弦も管も打楽器も見どころ満載で吹奏楽部上がりの私はオケの奏者を凝視してしまってましたが、50分に渡る休みのない大曲、取りまとめていたのは間違いなくマエストロで……。しかも2つのオケの合同大編成。あっぱれでした。譜面も見ずに連日熱演。本当にこの曲を愛しているのだなぁ。素晴らしかったです!オケメンバーさんの紹介を含めて相当長い間大拍手が続きました。最後は照明が明るくなり終演〜!

いや〜すごかった。今回の公演も熱かった。前半の現代曲で会場中熱狂し、後半の交響曲は大編成で圧巻の演奏を全体を見渡せる2階席から鑑賞できて感謝感激です。

現代曲を取り上げる飯森範親×角野隼斗×PPT、サントリー公演。もう完全にファンです。箱推しです!これも前回の実績あってこそですよね。去年10月のアデス本番までの出演者、オケスタッフさんのSNSでの告知の入れようは下記noteで。本番当日までチケット攻勢をかけ、終演後の全体での盛り上がりも凄かった。(今年が2オケ合同との事で両オケお互いにSNSの騒ぎ方に遠慮があったかもしれませんね。)ラジオ放送あったのも大きかったかもしれない。かてぃんファンに限らず世間の注目が集まり、即完売とは言えないまでも、今年の2日間、大阪、東京公演ともチケット完売となり、大盛況に終わった。去年、立ち上げの際のかてぃんさんの功績、大きいと思います。

で、チケット完売なので頑張って宣伝する必要もないのに、かてぃんさん、帰国直後、練習合間にチャンネルコミュニティ登録者向けに6/7(水)夜かてぃんラボ開催して下さった。ありがたい。来たくても来られない遠方のファンを置いてけぼりにしない。

そして6/10(土)大阪公演当日の朝にジョン・アダムズのピアノ協奏曲に絡めてミニマルミュージックの解説noteまで上げてくださった。大阪移動、リハーサルあっただろうにいったいいつ書いたのだろう?。このnoteはラボメンバーでなくても見られ世間一般に開放されている。いつだって復習しに来られる。アダムズ以外のミニマルミュージックを知る機会にもなっている。何て方だろう。視野が広いよ。全体が幸せになる事を常に考え提案してくださっているようだ。改めてファンで良かったです。



終演後のツイート載せておきます

大阪公演後の日本センチュリー交響楽団さま

パシフィックフィルハーモニア東京さま

飯森範親マエストロ

角野さん

最後にアルプス交響曲でのこのホルンの演奏が素敵だったので載せちゃう

P.S.この飯森×角野×PPTシリーズ、来年以降も続きますように!
最後までお読みくださりありがとうございました。