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植物の自然を切り取る:「虫や菌の心配がない園芸」

 室内で植物を育てたいという人は多いですね。コロナ禍の巣ごもり生活では室内園芸が人気です。でも「虫がねぇ」という人も多くおられます。動物と植物の問題だけど、土からコバエが出てくるから鉱物との関係でもありますね。虫の心配のない「植物にとっての自然」とは何か考えてみませんか?

 答えは地球生命の悠久の歴史が教えてくれます。

【地球生命の誕生】
 地球は46億年前に誕生しました。そして生命の起源は38億年前にさかのぼります。「最初の生命はどんな形?」という根本的な質問への答えは難しいのですが、ここでは「小さな分子膜の袋の中に入っていて、膜の外から栄養を取り入れて自分の形を維持し、自分の複製を作ることができるもの」としましょう。アメーバのような単細胞生物のイメージです。

 原始の海は有機物に満ちていました。その中から生命は誕生したのです。生命体を構成する要素=核酸、たんぱく質、脂質=はいずれも炭素化合物、つまり有機物です。初期の生命体は外部の有機物を取り入れて増殖したに違いありません。

 生命体は原始の海で増え続けました。増殖を安定的に繰り返すことから、そろそろ「生命体」という物質みたいな呼び名をやめて、ダイナミックな感じの「生物」と呼びましょう。しかし原始の海の有機物には限りがあります。数億年にわたって生物が有機物を取り続ければ、海から有機物がなくなってくることでしょう。このままではせっかく生まれた生物は絶滅します。

【光合成の誕生:地球の生物は救われた!】

 しかし、ちょっと変わった生物が生まれていました。太陽の光エネルギーを使って、水と二酸化炭素(たまにはそれ以外の無機物質)から有機物を自分で作る生物です。

 これこそが光合成を行う緑の植物の祖先なのです。32億年前のことでした。この植物の祖先に近い生物は現在も生き続けています。写真にあるシアノバクテリアです。光合成の作用で地球には再び有機物ができてきたのです。地球の生物は救われたのです。

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                   シアノバクテリア

【独立栄養派と従属栄養派】

 この出来事で生物界は大騒ぎして、といっても何億年もかけてですが、無機分子のみを栄養として光合成によって有機物を作り、生命を維持する独立栄養派と、有機物作りは独立栄養派に任せて自分はそれを栄養として取り込んで生命を維持する従属栄養派が生まれ、その後生物はこの二派に分かれて進化してきました。この区別は現在に続きます。

 植物はもちろん独立栄養派です。無機物と太陽エネルギーだけで生長できるのです。従属栄養派では動物(昆虫や虫も動物)が代表的ですが、菌やカビも含まれます。従属栄養生物は必ず植物が作った有機物を餌にします。肉食動物もその餌になる草食動物は植物を食べて生きています。菌やカビは動物や植物を分解して有機物として取り込み生命を維持しているのです。

【植物にとっての自然】

 植物の生長に必要なものは光エネルギーと水と二酸化炭素、それに鉱物に含まれる無機栄養成分です。これが植物にとって必要な自然なのです。植物と鉱物だけの世界が可能なのです。これらの要素だけでは動物や菌は生存できません。植物と鉱物だけの世界が可能なのです。

 しかし、現在の地球では動物、鉱物、植物が一体となって「共存」の関係が出来上がっています。それは動物や菌が、それらの活動の結果、植物生育にとって良い環境を作ることになったからです。ミミズは土を小さな粒々にして(団粒化して)土壌の通気性や水の透過を良くします。昆虫は受粉を助けます。菌の働きは重要で、動物の死骸や落ち葉を分解して植物栄養素にします。根粒菌のように空中の窒素を植物が取り入れることのできる形にするものもあります。もちろん動物や菌の活動のすべてが良いとは限りません。病害菌が植物を枯らし、イナゴや草食動物が植物を根絶やしにすることもあります。とは言え、基本的には動物もやがて土に戻り植物栄養素になっていきます。動物、鉱物、植物の関係は調和に満ちているものなのです。

 ところが室内園芸では植物にとっての自然を菌や動物に頼らずに作り出し、虫の心配がない栽培を楽しむことができるのです。土に含まれる成分を38億年前の地球に近づけると、植物は成長できるけれど菌や動物(虫)は成長できないはずです。でも、そんな昔の地球にどうやって近づけるのか?

 私たち㈱ラテラはその答えを見つけました。生物の栄養の視点からは、有機物があるか無いかだけの問題になるのです。水や肥料を保持し、通気性を保つ素材で人工土壌を作り、有機物を入れなければよいのです。これで菌と虫は育ちません。https://laterra-crystal-ec.com/archives/57
 植物の輝かしい履歴、「有機物に頼らず独立して生命を維持してきたこと」を思う存分発揮して、野菜も花もこの無菌人工土壌で生長してもらいたいものです。

 私たち、ラテラの作る無菌土壌(アートグリーンソイル)は、室内で人間が衛生的に植物と触れ合うための小さな自然界を作ります。この小さな自然界で人々が他の生物を理解し合い、やがて大きな自然界に溶け込むこと、これがラテラの理想です。

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