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正式な実店舗の工事が始まりました

(こちらの記事は当初2022/06/03に公開されたものです)

「紡ぎ舎の正式店舗は現在準備中です」と言い続けて早1年。

ようやくこのご報告ができることになりました。紡ぎ舎正式店舗の工事がいよいよ始まります。

うすうすお気づきだった方も多いかと思いますが、これまで何度か公式インスタグラム(@tsumugiya_official)などにも登場していた築150年の「土蔵」が紡ぎ舎の店舗として生まれ変わります。

今回は、この土蔵と出会ってから紆余曲折を経てようやく着工の時を迎えられるまでの経緯を簡単にご紹介したいと思います。

蔵との出会いは1年以上前に

村内の方から「もうすぐ取り壊す土蔵があるけど見てみるか?」とご紹介いただいて、初めて見に行ったのがもう1年以上前の2021年4月9日。雪の降る寒い日でした。

初めて蔵を訪れた日

ずっと掃除も何もされていなかった蔵ですが、初めて中に入った時にカビ臭さが全くないことがまず驚きでした(普通、「古民家」と言われるような古い家に入るとまず湿った土のような香りやカビっぽい匂いがするものです)。

厚さ30cmほどはある分厚い土壁と漆喰によって土蔵の中の湿度や温度が程よく保たれ、中の状態が極めて良好なのでした。

さすがは物を保存しておくための建物です。先人の知恵や技術には度々感心させられます。

入口の見事な格子戸

私たちは古民家にこだわりがあったわけではないのですが、実際に見せてもらってすっかり魅了され、すぐに使わせて下さいとお願いをしました。

持ち主のWさんも「好きなように使っていいから」とご快諾くださり、早速地元の工務店さんなどと打ち合わせをしたり見積もりを作ってもらったりして、何とか夏の終わりくらいにはオープンしたいですねと話していた矢先、ある問題が持ち上がりました。

天井の梁には建造年や棟梁の名前、そして蔵内繁栄を願う文字が記されています

土蔵の持ち主が・・・

田舎ではよくある話のようなのですが、土蔵とその周りの土地の持ち主はWさんではなく、Wさんの亡くなったお祖父さんのままになってしまっていたのです。相続が行われていなかったのですね。
(それ以外にも、口約束で「この土地とこっちの土地を交換しよう」といったようなことが頻繁に行われていて、登記上の持ち主と実態がバラバラということは多々あるようです・・・)

何はともあれ故人から購入することはできないので、まずは相続の手続きからやって貰うことになりました。

トタンの板は雪対策で後から取り付けられたものです

本当に有難いことにWさんが終始全面的に協力して下さり、加えてWさんのご兄弟の仲が良く普段から交流もあったため、比較的スムーズに相続の手続きをすすめていただくことができました。

土地・建物の名義の問題が思ったよりスムーズに行きそうなので、何とか秋くらいにはオープンできるかな?と少しホッとしたのも束の間、次の問題が発生しました。

農地は買えない

土蔵の周りの土地は「農地」として登記されていました。実はこの「農地」というのは簡単に売買することができません。

まず農地を農地として買うことができるのは「専業の農業従事者」に限定されています(その他にも諸々条件があります)。私たちは専業の農家ではないので、この土地をそのまま購入することはできないことになります。

土蔵の周りの土地

ではどうすれば買えるのでしょうか?まずは、農地を農地ではない土地に変更(地目の変更)をしなければ買うことができません。

まず村の農業委員会に「農地転用」の申請をして、最終的には長野県知事の「許可」を得る必要があります(想像するだけで時間のかかりそうな響きです)。

しかも農業委員会は月に1度のみの開催。この事実を知ったのはその月の農業委員会が行われる2日前。翌月の農業委員会まで座して待つのみとなりました。

「雪ふりゃ工事出来ねぇで、春まで待つだね」

ようやく農地転用の許可が下りて売買が可能になったのが10月11日。もう後1ヶ月もすれば雪が降り始める頃です。

銀行との借り入れの話なども含めて諸々考えると、どんなに頑張っても工事が始められるのは11月半ば以降。いつ雪が降ってもおかしくない頃です。

雪ぐらい降っても工事は出来るだろう?と思われた方もいらっしゃるかも知れません。確かにそれは普通の感覚かも知れません。でもこの小谷村は日本でも有数の豪雪地帯。ピーク時は↓この写真の3倍以上の雪が屋根に積もります。

2月2日。今年の雪のピークは2月終わり頃。屋根の上に2m以上積もりました。

「へぇ、雪ふりゃ工事できねぇで、春まで待つだね(もう雪が降ったら工事はできないから、春までまつしかないね)」

ということで、この工務店さんのこの一言で年内オープンの夢は潰えたのでした。

うっすら雪の積もった土蔵の屋根(11月30日)

長き道のりを経て

とにかく今年こそは!ということで、雪が少しずつ減ってきた3月下旬から改めて工事の見積もりを取り直したり、工事の進め方の打ち合わせを重ね、雪が溶けたらすぐにでも動けるようにと準備を進めてきました。

そして5月30日に銀行の融資の最終認可が下り、無事工事を開始できる運びとなりました。

5月初旬の段階でほぼほぼ銀行の融資は大丈夫そうだったのですが、こればっかりは最後の最後に判子を押すまで安心はできないので、皆さんへのご報告は判子を押してからということで、このタイミングでようやくご報告できることとなりました。

完成時期は?

これまでのことを考えると、まだまだ色々なハードルが出てくるのでは・・・と思ってしまいますが、今の所3ヶ月くらいで工事は終わる予定をしています。

皆様にオープンのご案内をお届けできるのは秋の気配が感じられる頃になるのではないかと思います。

ぜひ楽しみにお待ちください!

いよいよ足場も組まれて工事を待つのみ

工事の進み具合はインスタで!

土蔵の改修工事の記録用のインスタグラムアカウントも開設いたしました。まずは改築前の写真から掲載しています。ぜひこちらもフォローして工事の進捗をご覧ください!

>>インスタグラムはこちらから(@tsumugiya_renovation)

私たちもまだどんな感じになって行くのか正直わからない部分もあるので、皆様と一緒に工事の進捗を楽しめればいいなと思っています。


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